2007年7月13日更新
日本
日本の熱延鋼板の対米輸出に対するダンピング防止税賦課に係る調査手続(商務省のダンピング防止税の決定の基礎となっている米国国内法の一部及び決定の方法、並びに国際貿易委員会(ITC)の損害認定にかかる米国国内法及び認定の方法)。
パネルが米国の措置をWTO協定違反と認定したことを受けて、米国は、2001年4月25日、上級委員会に申立てを行いましたが、上級委員会報告は、概ねパネルの判断を支持し、さらに、損害認定方法に関する日本の主張が新たに認められるなど、米国に不利なものとなりました。
同年8月23日のDSB特別会合で、パネル・上級委員会報告が採択され、1)商務省による「知ることができた事実」(facts available)の利用方法、2)「知ることができた事実」に基づき算定されたマージンの違法な利用により計算されたマージンを調査対象外の企業に適用することを義務付ける米国の法令、3)一定の関連企業への国内販売を除外して行われた商務省によるマージンの計算(arm's length test)、4)次工程向け産品に関する規定のITCによる適用の4点についてのWTO協定違反が確定しました。
日本が付託した紛争解決了解(DSU)第21条3に基づく仲裁により、勧告実施のための妥当な期間(RPT)は2002年11月23日まで(パネル・上級委員会報告書の採択から15ヶ月)と判断されました。米国は、同年11月に商務省の規則改正及びダンピング・マージンの再計算を行いましたが、関係国内法の改正等を行うに至らず、同年11月22日、日本と協議の上RPT延長の要請を行い、同年12月5日に開催されたDSB会合で承認されました。この結果、RPTは、2003年米国第108議会第1会期の終了日又は2003年12月31日のいずれか早い日までとなりました。米国は、延長されたRPTの期限である2003年の米国第108議会第1会期の終了日(12月9日)までに関係国内法の改正等を行うことができず、同年11月21日に再度RPT延長の要請を行い、12月10日に開催されたDSB特別会合において2004年7月31日まで延長することが承認されましたが、米国は右期限内にも関係国内法の改正等を行うことができませんでした。
2005年5月19日に関係国内法の改正案が米国議会に提出されましたが、上記期限内に必要な改正等を完了することは困難な見通しとなったため、日本と米国とは、2005年7月に、1)米国が引き続き措置の是正に取り組むことに留意しつつ、2)日本が今後必要な場合に対抗措置を申請することのできる権利を留保するとの内容に合意することとし、同年7月20日に開催されたDSB会合で、この二国間了解が承認されました。