
第62回国連総会
「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」決議(仮訳)
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総会は、
-核兵器のない平和で安全な世界を実現するために、すべての国が核兵器の全面的廃絶に向け、更なる実際的及び実効的措置をとる必要性を想起し、かかる措置をとる決意を新たにし、
-軍縮の過程における各国の努力の究極的目標は、厳重かつ効果的な国際管理の下におかれた全面完全軍縮であることを認識し、
-2006年12月6日の決議61/74を想起し、
-核戦争及び核テロリズムを回避するためにあらゆる努力を払うべきことを確信し、
-核兵器不拡散条約(NPT)が国際的な核軍縮不拡散体制の礎として、決定的に重要であることを再確認するとともに、日本の広島・長崎の被爆60周年である2005年のNPT運用検討会議における実質的な事項に関する合意の欠如及び同年9月の国連総会首脳会合成果文書における核軍縮及び不拡散に関する言及が削除されたことに遺憾の意を表明し、
-1995年NPT運用検討・延長会議の決定及び決議、並びに2000年NPT運用検討会議最終文書を想起し、
-国際の平和及び安全の増進と核軍縮の促進とは、相互に強化し合うことを認識し、
-核軍縮における更なる進展は、国際的な核不拡散体制を強化し、国際の平和と安全の確保に資することを再確認し、
-拡散ネットワークが引き起こすものも含め、大量破壊兵器、特に核兵器の拡散により増大しつつある危険に関する深い懸念を表明し、
-六者会合により得られた最近の進展を歓迎しつつ、北朝鮮が2006年10月9日に実施を発表した核実験に関し、国連安保理決議第1718号の実施の重要性を認識し、
- NPTの全締約国が、同条約上の義務を履行することの重要性を再確認する。
- 効果的なNPTの運用検討プロセスの重要性を強調し、2007年の第一回準備委員会をもって2010年運用検討会議に向けた運用検討プロセスが成功裡に開始されたことを歓迎するとともに、NPTの全締約国に対し、2010年運用検討会議が成功裡に成果を上げられるようにするために、2008年の第二回準備委員会が建設的に開催されることを確保すべく協働するよう要請する。
- NPTの普遍性の重要性を再確認するとともに、同条約の未締約国に対し、遅滞なくかつ無条件に同条約に非核兵器国として加入することを要請し、また、同条約に加入するまでの間、同条約の目的を損なう行動を抑制し、同条約を支持する実際的な措置をとるよう要請する。
- NPT締約国が同条約第6条の下で同意する核軍縮につながる、すべての種類の核兵器のなお一層の削減を含む更なる措置を慫慂するとともに、核兵器廃絶に向けた取組みの過程において、不可逆性及び検証可能性、並びに国際の安定及びすべての国にとって損なわれない安全保障を促進する方法で向上した透明性を適用することの重要性を強調する。
- ロシア及び米国を含む核兵器国による核兵器削減の着実な進展を歓迎しつつ、ロシア及び米国が更なる核軍縮への一歩となるべき戦略攻撃能力削減条約(モスクワ条約)を完全に実施し、同条約を超える核兵器削減に着手することを慫慂する。
- 核兵器関連物質の削減を目的とした国際的協調の枠組みにおける努力を引き続き追求するよう各国に慫慂する。
- 核兵器国が国際の安定と安全を促進する方法で核兵器システムの運用状態を一層低減させるよう要請する。
- 国際の安定を促進し、かつすべての国にとっての安全保障が損なわれないとの原則に基づく方法で、核兵器が使用される危険性を最小化し、核兵器の全面的廃絶の過程を促進するために、安全保障政策における核兵器の役割を低減させる必要性を強調する。
- CTBTの早期発効のために、同条約の未署名・批准国に対し早期に署名・批准するよう要請し、同条約が発効するまでの間、核実験爆発の既存のモラトリアムを維持することの重要性を強調し、CTBTの遵守を確保するために求められる国際監視システムを含むCTBT検証体制の継続的な開発の重要性を再確認する。
- ジュネーブ軍縮会議における本年の進展を考慮して、同会議に対し、その実質的作業を速やかに再開し、最大限に行うよう要請する。
- 兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)交渉の即時開始と早期妥結の重要性を強調し、すべての核兵器国及びNPT非締約国に対し、同条約発効までの間、兵器及びその他の核爆発装置用核分裂性物質生産モラトリアムを宣言することを要請する。
- すべての国家に対し、核兵器及びその他の大量破壊兵器並びにその運搬手段の拡散を防止し抑制するための努力を倍加することを要請する。
- 1997年5月15日に国際原子力機関(IAEA)特別理事会により承認された、IAEAと各国との間の保障措置適用のための協定のモデル追加議定書(IAEA追加議定書)の普遍化及び安保理決議1540(2004年4月28日採択)の完全実施を含む不拡散の更なる取組の重要性を再確認する。
- 57会期において国連総会に提出された、軍縮・不拡散教育に関する国連事務総長報告書の勧告を全ての国が適宜実施すること、及びこのために各国が行っている努力についての情報を自発的に共有することを慫慂する。
- 核不拡散・核軍縮を促進する上で、市民社会が果たす建設的役割を奨励する。
以上