
2009年10月の国連安全保障理事会の主な動き(議長国:ベトナム)
アフガニスタン
- 8日、アフガニスタンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)に対する安保理の承認を2010年10月15日まで12か月延長する決議第1890号を全会一致で採択した。
- 8日、同日カブールで発生したインド大使館を標的とした自爆テロ攻撃を非難するプレス・ステートメントを発出した。
- 28日、カブールで発生した、国連職員他が犠牲となったテロ事件を非難するプレス・ステートメントを発出した。更に29日、同事件を非難し、国連職員の安全確保措置の必要性を強調し、更に大統領選挙等(決戦投票)への国連の支援を改めて表明する内容の議長声明(S/PRST/2009/28)を発出した。
- 我が国は、安保理におけるアフガニスタン問題のリード国として、上記決議、議長声明、及びプレス・ステートメントの採択・発出にあたり、起案及び安保理理事国間等との調整にあたった。
ハイチ
- 13日、国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)を2010年10月15日まで1年間延長することを決定する決議第1892号を全会一致で採択した。
- 12日、ハイチでMINUSTAH機が墜落し要員11名が死亡したことに哀悼の意を表するプレス・ステートメントを発出した。
スーダン
- 13日、決議第1591号(スーダン制裁)委員会専門家パネルのマンデートを2010年10月15日まで1年間延長することを決定する決議第1891号を全会一致で採択した。
コートジボワール
- 29日、コートジボワールに対する制裁及び制裁委員会・専門家パネルのマンデートを2010年10月31日まで1年間延長する決議第1893号を全会一致で採択した。
女性・平和・安全
- 5日、キエム・ベトナム副首相兼外相の議長の下で、「持続可能な平和と安全のための紛争後の女性・女児のニーズへの対応」をテーマとする女性・平和・安全に関する公開討論が開催され、来年、決議第1325号採択10周年を迎えるにあたり、この間の進展を歓迎し更なる取組の強化を呼びかける決議第1889号を全会一致で採択した。
アフリカにおける平和と安全
- 26日、公開会合(討論)が行われ、アフリカ連合(AU)が国連安保理の授権を得て行う平和維持活動に対する国連の支援方法等に関する事務総長報告で提示された支援オプションについて更に検討していくことを表明する議長声明(S/PRST/2009/26)を発出した。
ギニア
- 28日、9月28日にコナクリで起きた騒乱に引き続き深く憂慮し、暴力を非難するとともに、事務総長が国際調査委員会の設置を決定したことを支持する10月17日付のECOWAS首脳会合声明を歓迎すること等を内容とする議長声明(S/PRST/2009/27)を発出した。
ソマリア
- 8日、パスコー政務局長とボイド国連アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)支援事務所(UNSOA)長より、最新の治安情勢と国連のAMISOM支援状況等につきブリーフィングが行われた。各理事国は、ソマリアの治安情勢は引き続き不安定であり、AMISOMの活動及びソマリア治安機関の強化の重要性、事務総長提案の漸進的アプローチへの支持、人道情勢の悪化懸念等の発言を行った。
コンゴ(民)
- 16日、ドス事務総長特別代表(SRSG)によるブリーフィングが行われ、昨年12月に比し、東部情勢には一定の進展があったが引き続き人道状況が懸念される等のを説明があった。各国は概ね事態の進展を評価しつつ、深刻な人道状況に対し懸念を表明、コンゴ(民)国軍(FARDC)との共同作戦の停止は支持しないが、国連コンゴ(民)ミッション(MONUC)は文民の保護を最優先としつつ、明確なマンデートを持つべきであり、治安部門改革の達成なしに拙速な撤退は避けるべき等と発言した。
チャド・中央アフリカ共和国
- 22日、ミュレ国連PKO次長によるブリーフィングが行われ、ブリュッセルのドナー会合で表明された統合治安部隊(DIS)への支援への謝意と、DISがチャド東部の治安維持及び司法強化の面で功績を挙げていることを説明。国連中央アフリカ・チャド・ミッション(MINURCAT)の要員展開率は52%だが、MINURCAT地位協定修正案の署名により部隊展開促進に資することへの期待、スーダンとチャド政府による二国間関係改善に係る努力の評価、等を述べた。
中東情勢
- 14日、公開討論が行われ、各国とも概ね、イスラエルによる入植活動の継続及び東エルサレムにおける最近の衝突、及び南レバノンで発生した爆発事件を懸念する旨発言。ゴールドストーン報告書(注:1月に人権理事会決議に基づき設置された、ガザ地区における人権法、国際人道法違反に関する事実調査団の報告書)への対応については、安保理理事国は概ね、慎重な取扱いを求め、また人権理事会の審議を尊重すべきと発言したが、非同盟諸国、イスラム諸国会議機構、アラブ連盟を代表するアラブ各国及びパレスチナは、安保理による同報告の検討と行動を求める発言を行った。
コソボ
- 15日、公開会合(討論)が行われ、ザニエ事務総長特別代表(SRSG)からのブリーフィングに引き続き、イェレミッチ・セルビア外相及び個人資格にて出席したヒセニ・コソボ外相が発言した。我が国を含むP3をはじめ欧米諸国等は、国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)再編完了を歓迎し、北部地域の治安情勢への懸念、幅広い参加を得た公正な地方選挙を通じ地方分権が促進されることへの期待等を表明。露は、セルビアの立場を概ね支持した。
東ティモール
- 23日、カレ事務総長特別代表(SRSG)の出席を得て公開会合(討論)が行われ、各国は同国の安定化に向けた進展、特に警察権限の移譲を歓迎しつつ、地域によっては情勢が依然不安定なところもあるので、国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)の規模と構成を現状で維持するとの事務総長の見解を支持した。
国際司法裁判所(ICJ)
- 29日、小和田恒・国際司法裁判所(ICJ)所長より、ICJの活動に関するブリーフィングが行われた。
安保理の総会に対する年次報告
- 29日、国連憲章第24条第3項に基づく、安保理の総会に対する年次報告(2008年8月から2009年7月までをカバーするもの)が採択された。同報告は11月12日の総会本会議にて審議予定。