
2009年5月の国連安全保障理事会の主な動き(議長国:ロシア)
不拡散/北朝鮮
- 5月25日(日本時間)に北朝鮮が核実験実施を発表したことを受け、我が国が安保理会合の緊急招集を要請し、26日、非公式協議が開催された。終了後、議長より、北朝鮮の核実験に対する強い反対と非難を表明し、北朝鮮に関連安保理決議に完全に従うよう要求し、また安保理決議につき直ちに作業を開始することを決定した旨のプレス向け発言が行われた。
中東情勢
- 11日(以下NY時間)、中東情勢に関する閣僚級会合が開催され、我が国伊藤外務副大臣の他、議長国露、英、仏等、10か国の閣僚級代表を含む安保理理事国代表及び事務総長が出席した。伊藤副大臣はステートメントを行い、イスラエル軍によるガザ地区攻撃後の人道状況に懸念を表明し、これまでの安保理決議の完全な実施の必要性を主張。さらに、対パレスチナ支援等これまでの我が国の中東和平への貢献につき説明し、イスラエルと共存共栄する「パレスチナ国家」の樹立という二国家解決が重要であるとの我が国の立場を述べた。同会合において、中東地域の包括的和平達成の緊急性を強調する内容の議長声明(S/PRST/2009/14)が発出された。
キプロス
- 29日、国連キプロス平和維持隊(UNFICYP)のマンデートを2009年12月15日まで6か月間延長する決議第1873号を賛成14,反対1(トルコ)、棄権0で採択した。
ソマリア
- 15日、ソマリア暫定連邦政府に対する、過激派による攻撃を非難すること等を内容とする議長声明(S/PRST/2009/15)が発出された。
- 26日、アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)への国連による支援継続等を内容とする決議第1872号が全会一致で採択された。
アフリカにおける平和と安全
- 5日、一部アフリカ諸国における非合法な政府転覆を非難する議長声明(S/PRST/2009/11)が発出された。
チャド・中央アフリカ
- 8日、チャド東部で発生したチャド政府と反政府勢力の戦闘について、チャド反政府勢力による攻撃を非難する議長声明(S/PRST/2009/13)を発出した。
コートジボワール
- 29日、コートジボワールにおける2009年11月29日の大統領選挙第1回投票に至る包括的な選挙日程を提示する5月18日付協議継続枠組コミュニケを歓迎する趣旨等を表明する議長声明(S/PRST/2009/16)が発出された。
安保理アフリカミッションの報告
- 14日から21日にかけて、安保理ミッションが、エチオピア、ルワンダ、コンゴ(民)、リベリアを訪問し、現地関係者との協議や視察等を行った。28日、その結果概要が報告された。
ネパール
- 5日、公式会合にてラングレン国連ネパール政治ミッション(UNMIN)代表からのブリーフと討論が行われた。各国は、ネパールにおける最近の政治危機に懸念を表明するとともに、UNMINの現行マンデート終了時までの活動終了に向け必要な措置をとるようネパール政府に求める議長声明(S/PRST/2009/12)を発出した。
レバノン
- 7日、決議第1559号の履行状況に関するラーセン事務総長特使のブリーフが行われた。同特使は、現地情勢は1年前の武力衝突以降改善した旨述べ、6月7日予定の議会選挙が同決議履行上の大きな里程標になると述べた。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ(BH)
- 28日、討論が行われた。冒頭ブリーフを行ったインツコBH上級代表は、現地当事者間の分断を煽るようなレトリックに懸念を示した。発言各国は和平履行のペースが遅いことを懸念し、BH当事者間の協力を呼び掛けた。
テロ関係3委員会の合同報告
- 26日、決議1267(アル・カーイダ・タリバーン制裁)委員会、CTC(テロ対策委員会)及び決議1540委員会(不拡散委員会)各議長からの合同ブリーフと討論が行われた。各議長は、委員会間の調整と、委員会の作業方法を定期的に見直す必要性等につき発言した。