平成21年3月4日
3月3-4日、東南アジア及び太平洋諸国の政府関係者(条約の締結及び刑事法制に携わる者)を招聘し、これら諸国のテロ防止関連諸条約及び国際組織犯罪防止条約の締結、国内担保の促進を図ることを目的としたセミナーを当省主催により開催した。本セミナーは、我が国及びその他主要国のテロ防止関連条約・国際組織犯罪防止条約締結の経験・国内法制並びに関係国際機関の取組を紹介すると共に、必要な知見等を提供することを通じて、招聘国のテロ防止条約および国際組織犯罪防止条約の締結に対する理解の増進、キャパシティ・ビルディングをはかるもの。概要は以下のとおり。
(1)テロ防止関連条約及び国際組織犯罪防止条約の概観と法的側面
国連薬物犯罪事務所(UNODC)から、テロと国際組織犯罪それぞれの分野における国際的な法的枠組みにつき紹介がなされ、関連する国連安保理決議や国連テロ対策戦略、テロ防止関連条約及び国際組織犯罪防止条約において規定されている、各国が実施すべき事項につき説明を行った。
(2)テロ防止関連条約及び国際組織犯罪防止条約に共通する法的課題
国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)より、相互主義や双罰性といった国際協力のための一般原則につき説明するとともに、犯罪人引き渡しを巡る法的、実務的課題とこれを解決するための可能な手段に言及がなされた。また、日本の法律上の相互援助モデルにつき紹介し、組織犯罪防止のために重要な財産没収のメカニズムと没収のプロセスにおいて発生し得る制約等に関する言及がなされた。
(3)各国によるテロ防止関連条約及び国際組織犯罪防止条約締結・実施の取組
豪から、国際組織犯罪防止条約、改正核物質防護条約、核テロ防止条約及び2005SUA改正議定書実施に向けた同国国内における法整備のプロセスにつき紹介がなされるとともに、米からは、未締結である2条約(改正核物質防護条約、核テロ防止条約)につき現在の国内での検討状況が発表された。その後、参加各国より、テロ防止関連条約及び国際組織犯罪防止条約の締結状況と国内担保法の整備につきプレゼンテーションを行い、それぞれの取組みについて報告を得た。多くの国が、未締結の条約につき作業を継続している旨発言し、昨年数本の条約を締結した国もある等、締結状況に進展がみられた。
(4)技術支援
UNODCから、テロ防止関連条約及び国際組織犯罪防止条約の締結・実施促進のために、同機関がこれまで行ってきている技術支援につき紹介がなされた。テロ分野では、これまで参加国のほとんどがUNODCにより直接支援を受けており、将来においても各国が地域に配置されているUNODCの専門家等を通じてUNODCの協力を得ることが可能である旨強調された。また、UNODCは刑事法制等を強化するための法律アドバイスプログラムを実施しており、支援の必要な国は同プログラムを利用できることが紹介された。
(その他)
3月3日、御法川大臣政務官の主催で、セミナー参加者等を招待し、「歓迎レセプション」が行われた。
時期 | 開催実績 |
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2003年10月 | テロ資金供与防止条約締結促進セミナー (カンボジア、ラオス、タイ、フィリピン、ベトナムの5ヶ国参加) |
2004年12月 | テロ資金供与防止条約締結促進セミナー (インドネシア、フィリピン、カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマー、東ティモール、フィジー、パプア・ニューギニア、タイ、マレーシア、シンガポール、ブルネイの13ヶ国が参加) |
2006年1月 | テロ防止関連条約締結促進セミナー (インドネシア、シンガポール、タイ、カンボジア、フィリピン、ブルネイ、ミャンマー、ベトナム、マレーシア、ラオス、東ティモール、パプア・ニューギニア、フィジーの13ヶ国が参加) |
2007年3月 | テロ防止関連条約締結促進セミナー (インドネシア、シンガポール、タイ、カンボジア、フィリピン、ブルネイ、ミャンマー、ベトナム、マレーシア、ラオス、パプア・ニューギニア、フィジーの12ヶ国が参加) |
2008年3月 | テロ防止関連条約締結促進セミナー (インドネシア、シンガポール、タイ、カンボジア、フィリピン、ブルネイ、ミャンマー、ベトナム、マレーシア、ラオス、パプア・ニューギニア、フィジーの12ヶ国が参加) |