科学技術・宇宙

日・欧州原子力共同体共同発表
日本と欧州原子力共同体が核融合エネルギーの研究分野におけるブローダー・アプローチ活動の共同実施のための協力協定に署名

平成19年2月5日

 本日(2007年2月5日)、麻生太郎外務大臣とヒュー・リチャードソン駐日欧州委員会代表部大使は、東京において、核融合エネルギーの研究分野におけるブローダー・アプローチ活動の共同実施のための日本国政府と欧州原子力共同体との間の協定に署名を行った。この「ブローダー・アプローチ」により、核融合エネルギーの研究分野における日本と欧州原子力共同体の特別な協力が実現される。日本と欧州原子力共同体は、21世紀に向けてクリーンで持続可能なエネルギー源としての核融合エネルギーの実現を促進するために、この協定の下で3つのプロジェクトに共同して取組む。この協定は10年間に及ぶ実施期間を有する。

 この協定の署名が本日行われたことは、核融合エネルギーの研究分野における日本と欧州原子力共同体の強い協力関係において新たな標石を生み出すこととなった。この協力は、核融合エネルギーに関連する国際プロジェクトであるITERプロジェクトを補完し、将来の動力用原型炉(DEMO)のための研究開発を実施し及び先進的な技術を開発することにより平和的目的としての核融合エネルギーの早期の実現を目指している。

 この協定の枠組の下で3つの大型研究プロジェクトが日本において実施されることとなる。これらのプロジェクトはITERプロジェクトに密接に関連し、ITERの建設期に合わせて実施される。最初の2つのプロジェクトは青森県六ヶ所村で実施され、3番目のプロジェクトは茨城県那珂市で実施される。各研究プロジェクトは、他のITER加盟国が参加できるように開かれている。

1.国際核融合炉材料照射施設のための工学実証及び工学設計活動(IFMIF/EVEDA)

 核融合エネルギーを将来において実現するために、核融合炉内部での苛酷な熱及び照射条件下での耐久性があり、かつ放射化の小さい材料が求められている。IFMIFにより、将来の核融合動力炉の環境条件の下で先進的な材料の試験を行い材料の適性を調べることができる。工学実証及び工学設計活動は、詳細で完全な、かつ十分統合されたIFMIFの工学設計の作成を目指すこととなる。

2.国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)

 国際核融合エネルギー研究センターは、動力用原型炉の実現に向け、動力用原型炉(DEMO)の設計研究開発、計算機シミュレーション及びITER遠隔実験に関する活動を行うものである。

3.サテライト・トカマク計画

 JT-60トカマクは、この協定の枠組の下でITERの「サテライト」施設として、先進超伝導トカマクJT-60SAに改良され利用される。サテライト・トカマク計画は、ITER実験の効率的な運転開始及び動力用原型炉(DEMO)に向けた研究のために、運転シナリオの開発及び重要な物理学上の問題に取り組むこととなる。

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