G7 / G8

G8外相会合(概要)

平成17年6月23日

 本年のG8外相会合は、6月23日(木)、英国(ロンドン、ランカスターハウス)において開催され、G8各国から外務大臣が出席した。(我が国からは、町村外務大臣が出席。ただし、カナダは政務局長が代理出席)

 また、会合にはアブドラ・アフガニスタン外相及びウォルフェンソン・ガザ撤退担当特使、ウォード治安調整官も出席し、それぞれアフガニスタン及び中東和平についての議論に加わった。会合後、議長声明及びアフガニスタンに関するG8外相声明を発出。

1.アフガニスタン

 冒頭、アブドラ・アフガニスタン外相から、我が国が主導してきたDDR(元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰)を含め、G8によって行われてきた支援に対する感謝の意が表明され、9月の議会選挙によってボン・プロセスが完了した後も、引き続きG8が支援することに対する希望が表明。これに対し、G8各国から、治安、麻薬、教育等の分野における対アフガニスタン支援を一層強化していくとの一致した立場が表明。また、英及びアフガニスタンは、本年後半にカブールにおいて地域経済協力に関する国際会議をカブールにおいて開催したい旨表明。

 町村大臣からは、(イ)来月初めに旧国軍のDDRが完了することは、G8によって達成された最も目覚ましい成果の一つである、今後は非合法武装勢力の解体が重要となるので、G8としての一致した支持をお願いしたい、(ロ)現在日本が主導して行っている「中央アジア+日本」対話へのアフガニスタンによる何らかの関与についても検討したい、(ハ)治安は引き続き喫緊の課題であり、日本としてもできる限りの支援を行いたい旨述べた。

2.中東和平

 冒頭、ウォルフェンソン特使から、和平プロセスの現状につき報告し、イスラエルによるガザ及び西岸の一部からの撤退の円滑な実施及びその後のパレスチナにおける経済社会開発の重要性につき説明があり、G8をはじめとする国際社会による一致した支援を要請。G8各国として、撤退の成功及びロードマップを通じた二国家構想を実現するためにイスラエル、パレスチナ双方の努力の重要性を強調するとともに国際社会全体として協力することの必要性を確認。町村大臣から、我が国によるイスラエル、パレスチナ双方への働きかけとともに、対パレスチナ支援について説明するとともに、国際社会に対する支援の呼びかけとして、4月のバンドン会議における共同閣僚声明の中にロードマップに関する言及を盛り込む等、引き続きアジアのイスラム諸国への働きかけを行っていくことにつき説明。

3.イラン

 核問題につき、EU3(英仏独)から、現在行われているイランとの交渉の現状、特に5月のEU3とイランとの外相会合後の動きとして、7月末から8月上旬にかけてイランに対して包括的な提案を行うことについて説明。これに対し、G8として、イランの核計画が平和目的であることを担保するため、イランに対し客観的保証を求めるとのEU3による交渉を支持していくことで一致した。また、イランのミサイル計画やテロに対する対応に対する懸念の表明とともに、中東和平に対する対応、人権状況等についても議論された。その際、一部の国から、24日に決選投票が行われるイラン大統領選挙に対する懸念が表明された。

4.国連改革

 町村大臣から、安保理改革に関してはG8各国間で様々な意見があるが、60年前の国際情勢と現在とでは大きく変わっているとの現実を安保理の中にも反映させなければ、安保理が機能しなくなると述べた上で、9月のミレニアム宣言に関する首脳会合が成功を収めるためには、安保理改革、平和構築、人権、行財政改革等のそれぞれの分野で具体的な成果が得られる必要があることを強調。G8間で種々議論した結果、安保理改革を含む国連改革の必要性につき一致し、その旨が議長声明に盛り込まれた。

5.北朝鮮

 町村大臣から、北朝鮮の核問題は日本の安全保障にとって重大な懸念であり、本日(6月23日)で、前回の六者会合が開かれてからちょうど1年となるが、G8を含む国際社会全体が「切迫感」をもって取り組むことを要請。また、六者会合の目的は北朝鮮の核計画を完全に廃棄することであり、北朝鮮に対し、早期かつ無条件に六者会合への復帰を求めることを強調。また、ミサイル問題への対処の重要性及び人権状況に対する憂慮とともに、拉致問題についても、G8諸国からの理解と支持を求めた。かかる議論を踏まえ、議長声明の中で、北朝鮮の核問題に対する懸念の表明、六者会合への早期復帰の要請とともに、G8として、拉致を含む、その他の安全保障問題及び人権侵害について議論し、北朝鮮に対し、こうした懸念に取り組むために直ちに措置をとることを求めるとのメッセージが盛り込まれた。

6.その他

 上記の他、拡大中東構想、コソボ、スーダン、シリア・レバノン、ハイチ、ジンバブエと地域情勢とともに、通常兵器の国際取引に関する武器貿易条約(Arms Trade Treaty)等が取り上げられ、議論の概要が議長声明の中に盛り込まれた。


(別添)

1.議長声明

(1)外相会合での議論を踏まえ、中東、イラン、西バルカン、国連改革、通常兵器の国際取引、スーダン、北朝鮮、イラク、レバノン・シリア、ジンバブエ、ハイチにつき言及。

(2)国連改革及び北朝鮮に係る部分の概要は以下のとおり。

(イ)国連改革

 我々は、9月のミレニアム宣言に関する首脳会合について議論。同会合は、開発、安全及び人権という相互に関連した挑戦並びに行政改革に係る提案を突き合わせることにより、国連を強化し、より実効的なもととするまたとない機会を提供するもの。我々は、ミレニアム開発目標に向けたより早い進展をもたらす措置に係る合意、国連の人権機構に改革、紛争から抜け出た国に対して持続的平和及び持続可能な開発への移行を支援するために平和構築委員会を創設することを含む同首脳会合の成果が、バランスのとれたものとなるよう作業することに関する共通のコミットメントを強調。我々は、21世紀の諸課題に効果的に取り組むことができるよう、拡大され、より代表性を有する安保理が必要であることにつき合意。

(ロ)北朝鮮

 我々は、北朝鮮の大量破壊兵器関連活動の経歴につき議論。本件は、我々にとって引き続き深い懸念。我々は、北朝鮮が、検証可能な方法による核兵器関連計画の廃棄を含む包括的解決について協議を継続するために、6者協議に直ちに復帰することを求める。

 我々は、拉致を含む、その他の安全保障問題及び北朝鮮における人権侵害について議論。我々は、北朝鮮当局に対し、これらの懸念に取り組むために直ちに措置をとることを求める。

2.アフガニスタンに関するG8外相声明

(1)G8による支援の継続

 G8外相は、アブドラ・アフガニスタン外相と会談。9月18日の議会選挙によって終了するボン・プロセス後も国際社会の支援が継続することを確認。G8外相は、アフガニスタン国民の自由と安全の強化、法の支配への移行完了、人間開発・経済開発、非合法麻薬経済への依存排除に向けたアフガニスタン政府の努力を引き続き支持。

(2)各分野での取組への言及

(イ)治安

  • G8外相は、国際治安支援部隊(ISAF)及び不朽の自由作戦(OEF)を通じた国際社会の治安維持支援を支持。ISAF及びOEFの連携強化を歓迎。
  • 治安分野での取組は長期的な復興と開発のために重要。DDR(元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰)の進展を歓迎。政治プロセス、治安分野の改革及び麻薬撲滅に与える脅威を低減するため、非合法武装集団の解体が重要。
  • 2005年麻薬対策実施計画を支持。麻薬撲滅と代替生計支援のためにアフガニスタン政府及び国際社会が行っている努力を支持。

(ロ)政治プロセス

  • 国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)が引き続き調整的役割を果たすべきである。G8は、特に地方レベルにおいて法の支配、人権を強化するために努力。
  • G8外相は、今後のコミットメントとその実施の枠組みを提供する新たなアフガニスタンと国際社会とのパートナーシップの再構築に向け、アフガニスタン政府及び国連と協力することを期待。

(ハ)経済開発

  • G8外相は、インフラの再建、人的および制度的能力の向上、及び地域共同体ごとの開発を通じた貧困層に焦点をあてた成長を達成するためのアフガニスタンによる開発努力を引き続き支持。
  • G8は、本年中にアフガニスタン及びG8議長国英の共催によりカブールにおいて開催される地域経済協力の拡大に向けた会議を歓迎。
このページのトップへ戻る
目次へ戻る