平成17年6月23日
G8外相は、6月23日、ロンドンにて会合を開催し、グローバル及び地域の幅広い諸課題について議論した。会合の焦点はアフガニスタン情勢(別途の声明を発出した。)、中東及びイランであった。我々は国連改革、武器の国際取引、西バルカン、スーダン、北朝鮮、イラク、レバノン、ジンバブエ及びハイチの情勢の進展についても意見交換を行った。
我々は、中東における状況につき議論し、ジェームズ・ウォルフェンソン・カルテット・ガザ撤退特使及びウォード米国中将・治安調整官による作業を歓迎した。ウォルフェンソン氏は、これまでの作業及びイスラエルのガザ及び、西岸の一部からの撤退計画により提供された機会をいかに最大化するかにつき我々に説明した。特に、同氏は、パレスチナの改革並びに機構建設への支援及びドナーによる支援の効果的導入確保のための具体的提案の概略を説明した。我々は、イスラエル及びパレスチナ暫定自治政府が、撤退の計画にあたり、同氏との間で、また、相互に調整を行うよう求める。我々は、ガザ撤退は成功しなければならないことを明確に認識している。
我々は、ロードマップを通じ、平和及び安全のうちに併存する二つの国家という目標に向けて、当事者及び国際社会とともに取り組むコミットメントを強調した。我々は、パレスチナ自治政府に対し、改革計画、特にロードマップの下での治安に係る約束の実施を前進させることを求める。我々は、イスラエルに対し、ロードマップに基づく約束、特に入植地に関するものを満たすことを求める。我々は、関連する国連安保理決議に従って、中東紛争を協議を通じて解決することへのG8としての支持を確認した。
外相たちは、イランの計画が専ら平和目的のためであることに係る客観的保証を提供するイランの核計画に係る長期合意について協議を行うとのフランス、ドイツ及び英国並びにEU上級代表による作業に対し、G8としての完全な支持を強調した。我々は、このプロセスが継続し、信頼を醸成するためには、イランがパリ合意を遵守し、すべての燃料サイクル活動を完全に停止することが不可欠であることに合意した。
イランの弾道ミサイル計画及びテロに対する姿勢について懸念が表明された。本会合は、中東和平の成功は、テロ集団に対する支援の終結に依拠することに留意した。
我々は、イランにおいて人権及び基本的自由の尊重を増進するために行われている取組へのコミットメントを再確認した。この関連で、いくつかのG8メンバーが、イランにおける大統領選挙の準備及び実施に関し懸念を表明した。
外相たちは、コソボにおける水準の進展について包括的レビューを実施するために国連事務総長がカイ・アイダ氏を任命したことを歓迎する。レビューの結果が十分に肯定的であれば、これは、安保理決議に沿って国連により主導されたコソボの最終的地位を決定するための政治プロセスへとつながるものである。
来る7月11日のスルブレニッツァの虐殺事件10周年にかんがみ、我々は、すべての当事者に対し、和解促進及びデイトン・パリ合意の遵守を呼びかけた。残された被告、特にカラジッチ、ムラジッチ、ゴトヴィナをハーグに引き渡すことが、スルブレニッツァの犠牲者に対する最大の敬意の表明及びバルカンにおける恒久平和に向けた大きな一歩となるものである。
我々は、9月のミレニアム宣言に関する首脳会合について議論した。同会合は、開発、安全及び人権という相互に関連した挑戦並びに行政改革に係る提案を突き合わせることにより、国連を強化し、より実効的なものとするまたとない機会を提供するものである。我々は、ミレニアム開発目標に向けたより早い進展をもたらす措置に係る合意、国連の人権機構に改革、紛争から抜け出た国に対して持続的平和及び持続可能な開発への移行を支援するために平和構築委員会を創設することを含む同首脳会合の成果が、バランスのとれたものとなるよう作業することに関する共通のコミットメントを強調した。我々は、21世紀の諸課題に効果的に取り組むことができるよう、拡大され、より代表性を有する安保理が必要であることにつき合意した。
我々は、紛争及び不安定地域における通常兵器の拡散に関する共通の懸念につき議論した。英国は、武器貿易条約に係る提案につき説明した。
我々は、政府の責任についての共通認識を作り出すことは、望ましくない通常兵器の拡散に対処する上で重要な一歩となることに合意した。我々は、その他の関連イニシアティブを完全に勘案しつつ、行動のためのコンセンサスを形成するために更に作業する必要性につき合意した。
我々は、ダルフールにおける人権及び人道に係る深刻な危機につき議論し、紛争の当事者に対し戦いを停止し、文民保護を含むすべての約束を遵守し、早期に政治的解決に到達するよう呼びかける。我々は、部隊が展開されている地域で肯定的な影響が生じているスーダンにおけるAUミッションの活動を歓迎する。部隊の拡大は状況の安定に資するものであり、我々は、それを支持するためにできることをいつでも行う用意ができている。我々は、ダルフールにおいて永続的な解決を達成するためには、我々の努力の調整及びAUの能力向上の継続が重要であることに合意した。
スーダンにおける大規模な人権侵害に責任を有する者すべては、国連安保理決議1591及び1593に基づき、訴追され、司法手続にかけられるべきである。
我々は、ダルフール及びスーダンにおける人道上の努力への支持を継続する。今年を通じて、更に努力が必要となろう。しかし、ダルフールにおいて長期的な平和及び安定を作り出すことができるのは政治的解決のみである。我々は、アブジャにおけるAU和平協議の再会を歓迎する。包括和平合意の完全かつ時宜を得た履行は、ダルフールにおいても含め、民主的及び包含的な統治システムへの道筋をつけるために不可欠である。
我々は、北朝鮮の大量破壊兵器関連活動の経歴につき議論した。本件は、我々にとって引き続き深い懸念である。我々は、北朝鮮が、検証可能な方法による核兵器関連計画の廃棄を含む包括的解決について協議を継続するために、6者会合に迅速に復帰することを求める。
我々は、拉致を含む、その他の安全保障問題及び北朝鮮における人権侵害について議論した。我々は、北朝鮮当局に対し、これらの懸念に取り組むために迅速に措置をとることを求める。
我々は、外国からの干渉なく政治プロセスを完了し、国家を再建し、反乱を終結させるために努力しているイラク国民及びイラク移行政府に対する国際社会の強い支持を示した昨日のイラクに関する国際会議の結果を歓迎した。我々は、イラクの周辺諸国に対し、イラクにおける安全かつ安定な環境に貢献するよう呼びかけた。我々は、また、シャルム・エル・シェイク・プロセスへの我々の支持を再確認した。我々は、バグダッドにおけるドナー調整メカニズムを設立するとの決定を歓迎し、イラク復興に対する効率的な国際支援を実施するためのフォローアップを期待する。
我々は、国連安保理決議1559及び1595に基づく進展について議論した。我々は、ラーセン国連事務総長特使によるこれらの決議の履行を確保するための活動を歓迎した。選挙が平和裡に実施されたのに続き、我々は、新たなレバノン政府が、両決議を遵守し、民主主義の確立を確固たるものとし、レバノン経済を強化するために行動することを奨励する。我々は、これまでの一連の政治的暗殺を非難する。我々は、レバノンの周辺国、特にシリアに対し、国連安保理決議の完全な履行を確保するとともに、地域の安全と安定に積極的に貢献するよう呼びかける。
我々は、ジンバブエの現在の情勢、及び何千人もの最も脆弱な住所不定者及び貧窮者を生み出したと報じられている、現在進行中の警察による作戦について議論した。我々は、ジンバブエ政府に対し、法の支配及び人権尊重を守るよう呼びかける。
我々は、ハイチについて議論し、本年後半の選挙を視野に、悪化している治安状況について懸念を表明した。我々は、マンデートが更新・強化されたハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)に対する支持を表明し、長期間の国際的コミットメントが求められているとの点で一致した。