
G8外相会合議長声明
(骨子)
平成20年6月27日
(全文仮訳・英文)
1.中東
- 2008年末までの和平合意実現に向けたイスラエル・パレスチナ間の交渉努力を支持し、関係者が交渉を阻害する行動を取らないよう求める。
- ガザの人道状況改善、パレスチナ統治能力強化等のための支援を継続。
- イスラエル・シリア間の間接交渉を歓迎。
- レバノンにおける最近の政治的進展を歓迎し、新政権の形成に早急に取り組むよう奨励。
2.イラン
- イランの核計画による拡散上の危険に深刻な懸念。イランが濃縮関連活動の停止を始めとする累次の安保理決議の要求事項に従うこと、IAEAと協力することを要求。
- デュアル・トラック・アプローチによる外交的解決にコミット。EU3+3の努力と議長国日本によるイランとの対話を支持。イランが包括的提案の改訂版に建設的に対応するよう求める。
- イランが中東和平、イラク、アフガニスタン等においてより責任ある行動を取るよう促す。
3.イラク
- 治安改善、国民和解、経済復興等に向けたイラク政府の努力を支持。特に、テロや宗派間暴力との闘いを支持。
- イラク周辺国に対しても、イラク安定に向けた建設的役割を期待。
4.パキスタン
- パキスタンの安定が地域と世界の安定に不可欠との認識に立ち、アフガニスタンとの国境地域を含めた対パキスタン支援を強化。パキスタン政府が効果的なテロ対策に取り組むよう後押し。
5.北朝鮮
- 朝鮮半島の検証可能な非核化実現へのコミットメントを再確認。
- 北朝鮮に、すべての核兵器と既存の核計画、弾道ミサイル計画を放棄するよう求める。
- 六者会合を支持し、北朝鮮が遅ればせながら申告を提出したことを歓迎。申告の検証の重要性を強調し、北朝鮮に対し、検証への完全な協力とすべての既存の核施設の迅速な無能力化を要請。
- 2005年9月19日の共同声明の完全な実施に向けた六者会合の加速化の重要性を強調。
- 北朝鮮に、拉致問題を含む人道上の懸念に早急に対応することを求める。
6.ミャンマー
- 支援がサイクロン被災者に届くよう、ミャンマー当局が国際的な援助要員のアクセスを改善するよう求める。
- ミャンマーの政治状況に懸念。民主的な文民政府への平和的な移行を助長するよう求める。すべての関係者を包括的で透明性のある政治プロセスに参加させるよう奨励。特に、スー・チー女史を始めとする政治的抑留者の即時解放を要求。
- 国連による周旋努力を支持。
- ミャンマーの政治プロセスの進展が実現する場合、G8は前向きに対応する用意。
7.スーダン
- ダルフールの治安・人道状況の悪化に懸念。即時休戦、和平プロセスの再開、UNAMIDの完全展開への協力を求める。スーダン側の対応に改善がない場合は、更なる措置を検討。スーダン、チャド双方に自制を呼びかけ。
- 南北スーダン間の包括和平合意の履行を求める。UNMISの活動を支持。
- スーダンに対する人道・復興支援の継続を確認。
8.ナゴルノ・カラバフ
- ナゴルノ・カラバフについて、OSCEミンスクグループの努力を支持。アルメニア、アゼルバイジャンの交渉努力を呼びかけ。
9.不拡散・軍縮
- 国際的な不拡散・軍縮体制に向けた努力を強化。
- G8の核兵器国(米露英仏)の核軍縮努力を歓迎し、すべての核兵器国が透明性をもって核兵器削減に取り組むことを呼びかけ。
10.原子力の平和利用
- 原子力の平和利用における3S(Safeguards(核不拡散), Safety(原子力安全), and Security(核セキュリティ))の重要性を強調。原子力インフラにおける3S確保のための努力を強化する必要性に合意。
11.平和構築
- 軍事、警察、文民の3分野における平和構築の世界的な能力強化の必要性に合意。