G7 / G8

G8京都外相会合(概要)

平成20年6月27日

【ポイント】

  • 不拡散問題を重点的に取り上げた。北朝鮮については、26日提出の申告をしっかり検証する必要性、非核化の実現に向け粘り強く取り組んでいくことの重要性について認識の一致。更に、拉致問題については各国より力強い支持。イランについては、濃縮活動等を停止するようG8が一致して求めた。
  • その他、アフガニスタン、パキスタン、中東和平、ミャンマー、ジンバブエ、スーダン等、現下の国際社会の主要課題について議論し、力強い政治的メッセージを発出。特に、アフガニスタンとパキスタンの国境地域の支援について、G8として総額約40億ドル、150以上のプロジェクトの策定に合意。

 26日及び27日、京都迎賓館において開催されたG8外相会合の概要は以下の通り(G8各国より外相(一部代理)が出席。高村大臣が議長)。発出文書は、議長声明アフガニスタンに関するG8外相共同声明ジンバブエに関するG8外相共同声明の3本。

1.北朝鮮

(1)高村大臣がリードする形で、概要以下を発言。

(イ)北朝鮮がようやく核計画に関する申告を提出したこと自体は、前向きな動きである。しかしながら、重要なのはその内容であり、これをしっかりと検証していくことが重要。

(ロ)我々の目標は北朝鮮のすべての核兵器と既存の核計画の放棄であり、そこに至る道のりはまだまだ遠く、関係国が粘り強く取り組んでいくことが必要。

(ハ)拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、早期に国交を正常化するとの我が国の方針は不変であり、我が方としては真剣に日朝協議に臨んでいる。拉致問題を含む北朝鮮の人道・人権面での問題の改善を引き続き求めていく必要がある。

(2)これを受けて、各国より、申告自体は前向きなことだが、今後、その検証をしっかりと行う必要があること、完全な核兵器の放棄のためには多くの作業が残されているとの発言が多くあった。また、北朝鮮の人権状況についても懸念の表明が多く見られた。拉致問題については、すべての国より我が国の立場への支持が表明された。

2.イラン

 各国より、イランについては、国連安保理決議が数度出されているにもかかわらず、濃縮活動を継続していることに強い懸念が示された。今後の対応として、今月提示されたEU3+3の包括的提案の改訂版が、前進に向けた良いきっかけになることを期待するとの発言が大勢を占めた。また、複数の国から更なる圧力が必要との意見が示された。

3.アフガニスタン

(1)各国から、アフガニスタンの復興に一定の進展があった一方で、テロの脅威、麻薬といった問題は未だ深刻であり、アフガニスタン復興のためには長期的な取組が必要であることが強調された。

(2)議論を踏まえ、G8の包括的戦略ともいうべき「アフガニスタンに関するG8外相共同声明」を採択。その中では、テロ活動の温床となっているアフガニスタンとパキスタンの国境地域への支援の強化として、G8として、総額約40億ドル、150以上のプロジェクトの策定にも合意。

4.パキスタン

 各国より、パキスタンの地政学的な重要性や同国の内政・治安状況に対する見方が示された。これを受け、高村大臣より、テロとの闘いと核不拡散の双方の観点から、南アジア等の地域及び国際社会の平和と安定に直結するパキスタンの安定と経済発展を、G8としてしっかり支えていくことが重要である旨述べ、この点につき認識の一致があった。

5.中東和平

 本年末までにイスラエル・パレスチナ間の交渉をまとめるとのアナポリス合意の実現はなかなか困難だが、G8として、中東和平プロセスをしっかり後押ししていくことが必要との認識で一致。一方、イスラエルの入植活動の継続、依然不安要因の多いガザ情勢に対する懸念が複数の国から示された。高村大臣より、来月2日、東京にて「平和と繁栄の回廊」4者協議閣僚級会合を開催することを紹介。

6.ミャンマー

 高村大臣より、サイクロン被害に関しミャンマーに対し支援要員受入れの更なる改善を求めること、また、すべての関係者を含む対話と政治プロセスの進展を求めるとともに、ミャンマーが前向きな動きをとる場合にはG8としても前向きに対応することが必要との考えを示し、認識の一致が得られた。

7.ジンバブエ

 多くの国より、ジンバブエ情勢について極めて厳しい調子で懸念が示された。議論の結果、ジンバブエ当局による組織的な暴力、妨害、脅迫行為によって適切な条件が整っていないにもかかわらず、本27日、大統領選決選投票が強行されようとしていることを憂慮する、また、G8として、ジンバブエ当局に対し、国連やAUなどの国際社会と完全に協力するよう、また、ジンバブエ国民の民主的意思に沿った形で迅速かつ平和的に危機を解決するよう強く求めるとの「ジンバブエ情勢に関するG8外相共同声明」が発出された。

8.スーダン

 各国より、ダルフールの治安及び人道状況が依然深刻な状態にあることに対する強い懸念が示された。また、ダルフール国連ミッション(UNAMID)や国連スーダンミッション(UNMIS)への支援を強化することで認識の一致があった。

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