2011 ドーヴィル会議 26日の首脳ワーキング・ディナー
別添:ファクトシート
平成23年5月
外務省
我が国は,日本政府及び各種政府関係機関(JICA,JETRO,JBIC,NEDO,国際交流基金等)の連携,及び官民連携を通じ,中東・北アフリカ諸国に対する改革・移行プロセス支援を実施していく。
我が国として,体制移行の過程にあるチュニジア,エジプトの選挙の実施に際し,専門家の派遣等を通じた支援を行う。
我が国として,中東・北アフリカ諸国における公正かつ効率的な行政の確立に向けた支援を行う。そのため,JICA主催の行政官研修への当該諸国からの今後の参加を歓迎する。また,今後,要請に応じて,我が国の専門家を当該諸国の行政組織への派遣を検討する。加えて,我が国として中東・北アフリカ諸国地域における市民社会・メディアの形成に資する支援を行っていく考えであり,その一環として,現在,チュニジアの国営テレビ放送センターに対する機材供与・研修等の支援を継続中である。
我が国は中東・北アフリカ諸国における格差是正と安定のための支援を,地方農村開発,貧困削減,水,防災等の分野で行ってきている。この関連で過去5年間年平均約205億円(約2.5億ドル)以上の無償資金協力を実施してきているほか,中東淡水化研究センターへの協力,各種技術協力,円借款も活用した各地の給水事業等のインフラ整備への協力等を継続してきている。また,研修,専門家派遣,政策対話等を通じ,防災対策,水(淡水化技術等)等における我が国の経験・知見の共有も図ってきているほか,空港の検査機材の供与など中東・北アフリカ諸国の治安・テロ対策に資する支援を行ってきている。
我が国は中東・北アフリカ諸国における職業訓練施設・教育施設の整備を推進してきている。この関連で,過去5年間で,無償協力によって年平均で約2万人分の学校施設,約1,200人分の職業訓練施設の整備を行ってきたほか,イエメン,シリア等の5大学に合計1.6億円の支援を実施した。
我が国は,JICA, JETRO,中東協力センター(JCCME), 国際石油交流センター(JCCP)等のスキームを活用した人づくり・産業技術者育成(生産性向上,省エネ・新エネ,石油精製分野等における研修生の受け入れ・専門家派遣,セミナー・ワークショップの実施等)を推進してきている。JICA事業としては,過去5年間で中東・北アフリカ地域から年平均2,500名以上の研修員を受け入れ,また,年平均で約350名の専門家を地域に派遣してきている。
我が国は,産官学の連携等を通じ,中東・北アフリカ地域との科学技術教育の振興に関する協力を推進してきている。その一環として,エジプトのエジプト・日本科学技術大学(E-JUST),チュニジアのテクノパークの整備・運営を推進している。
我が国としては,産業育成を通じた雇用創出を促進する一環として,円借款等を活用したインフラ整備を行ってきている。過去5年間の円借款のコミット実績は年平均で約1220億円(約15億ドル)であり,今後,既往案件に対して約2,008億円(約25億ドル)を支出する予定である。また,新規案件の供与の可能性を検討していく。NEDO実証事業等を活用した事業として,チュニジアの太陽熱発電プロジェクト,また,モロッコの太陽光発電関係プロジェクトが進行中である。
我が国としては,中東・北アフリカ諸国が,中小企業を含む産業多角化を通じて雇用創出を図るため,各種の政策対話,官民ミッションによるビジネス・マッチング等を通じて支援してきている。具体的には,UAEで開催された「ワールド・フューチャー・エナジー・サミット」の機会を活用した省エネ・新エネミッション,イラクへの官民ミッションの派遣,今後実施予定の「日・サウジアラビア産業フォーラム」等がある。また,中東・北アフリカ諸国の政府による投資環境改善の努力を歓迎し,そのための政策実行を支援する方法を検討していく。
我が国としては,専門家派遣,研修員の受け入れ等を通じ,中東・北アフリカ諸国に対する生産性向上のためのものづくり技術,貿易振興,再生可能エネルギー・省エネルギー等の分野における我が国の経験・知見の移転・普及を図ってきている。
我が国としては,中東・北アフリカ諸国の諸改革・移行プロセスに対する支援に資するものとして,引き続きこれらの諸国との重層的な関係の発展を推進していく。そのため,経済外交,人的交流・対話,資源分野での関係強化を推進するとともに,上記のひとづくり支援等を通じて構築する人的ネットワークの強化を図っていく。
我が国として中東・北アフリカ諸国との政府間経済条約の締結を促進していく。現在,GCCとの間で自由貿易協定を交渉中である。また,現在,アルジェリアとは,投資協定の事前協議が実施され,クウェートとの投資協定については実質合意済みである。クウェートとの租税条約は先方の議会承認待ちであり,サウジアラビアとの租税条約については署名を了しており,今後締結作業を迅速に進めていく。
我が国は,官民連携を通じて,日本と中東・北アフリカ地域の間の民間経済交流の進展を側面支援してきており,燃料調達の重要性の高まりを踏まえ,その重要性は一層高まっている。昨年12月にチュニジアで開催された第2回日本・アラブ経済フォーラムにおいて,双方の官民が連携して太陽エネルギー,水資源,環境,インフラ(鉄道,衛星等),人材育成・教育・科学技術,金融分野等で協力を進めていくこととなった。2012年に次回会合を本邦で実施する。また,我が国として日・中東北アフリカ間の経済交流に大きな役割を担う諸団体(JETROとアラブ連盟,JCCPとアラブ石油輸出国機構,JCCMEとアラブ商工農会議所総連盟等)の協力関係の活性化や,民間企業による対話の枠組み(日本・クウェート民間合同委員会,日本・サウジアラビアビジネス・カウンシル,日本・アブダビ経済協議会,中東協力現地会議(本年はイスタンブールで開催))を支援していく。
専門家派遣,研修等による人材育成を通じ,民間レベルでの人的ネットワーク拡大を図る。
我が国は,中東・北アフリカ地域の社会発展,経済発展のヒントとなるようなテレビ番組素材の提供,ポップカルチャーの紹介,日本特集番組製作支援等を通じ,次世代層の対日関心の喚起を図っている。本年4月にサウジアラビアで開催されたジャナドリヤ祭の日本館ブースにて展示を実施。
日本とイスラム世界の有識者,青年等が特定のテーマについて議論することにより,相互理解を深めることを目的とした「日本とイスラム世界との未来への対話」の第一回会合が本年3月にアラブ首長国連邦のザーイド大学がホストして実施された。本セミナーは本年より合計3回にわたり開催される予定であり,次回(2011年度)も,イスラム側がホストし教育の役割に焦点を当てる。
我が国は,国際交流基金を通じ,次世代を担う人間の双方向の交流(招聘・派遣)の対象を,今後,100名以上に拡充する。具体的にはメディア関係者・文化関係者・有識者等の招聘・派遣プログラムを積極的に実施していく。
我が国は,中東・北アフリカ地域から,国費留学生として過去5年間で514名受け入れてきている。