G7 / G8

G8キャンプデービッド・サミットのワーキングディナー(概要)

平成24年5月18日

 5月18日(木曜日)午後8時半より約1時間半にわたり,G8キャンプデービッド・サミットのワーキングディナーが行われ,G8首脳は,イラン,シリア,北朝鮮,ミャンマーといった主要な地域・政治情勢について意見を交わしたところ,概要は次のとおりです。

1 イラン

  1. (1)イランの核問題に対する深刻な懸念を共有するとともに,「対話と圧力」のアプローチを通じて,イランの核開発の軍事的側面の可能性等すべての未解決の問題を外交的に解決していくことの重要性について見解が一致しました。この関連で,EU3+3とイランの次回協議における具体的な進展への期待が多くの首脳から表明されました。また,イランに対する「圧力」の効果で「対話」プロセスの再開に至ったのであり,引き続き効果的な圧力が重要であるとの意見もありました。
  2. (2)野田総理からは,イランの核問題について我が国も懸念を共有しており EU3+3とイランの次回協議に期待している,明後日には天野IAEA事務局長もイランを訪問し協議を行うこととなっており,あらゆる努力によって取組が進展することを期待する旨述べました。
     また,東日本大震災後の困難な状況下でもイラン産原油の日本への輸入が削減されていることを高く評価するとの他国の発言があったことを受けて,野田総理から,昨年は大震災及び原発の事故があり,現在は50基程度ある国内の原発はすべて稼働停止している,我が国は電力の3割を原発に頼ってきたが,化石燃料への依存を強めざるを得ず相当困難な状況にあるものの,国際社会の「圧力」が効果あるものとなるよう協力していきたい,同時にイランに対する圧力と世界経済への影響については注意深くマネージしていく必要がある旨発言しました。

2 シリア

 1年以上にわたる暴力の蔓延により人命の損失と人道危機が続いている現状について,各国首脳から深く憂慮する発言があり,市民に対する暴力の即時停止と人道支援関係者のアクセス容認,民主的な政治への進展を改めて求めることで一致しました。また,アナン特使の「6項目提案」を含む調整努力を評価しつつ,政治的移行を含む同提案の様々な側面につき今後いかに前に進むべきか,国連シリア監視団を今後増員・強化していく必要性なども含め活発な議論が行われました。

3 北朝鮮

  1. (1)野田総理から,4月のミサイル発射は明らかに安保理決議違反であり,米国による粘り強い努力により対話を通じた諸懸案の解決に踏み出そうとしていたことを裏切る行為であったとしつつ,G8が即座に緊急外相声明を出し,強い内容の安保理議長声明発出に向けた流れを作ったことを評価しました。また,国際社会として悪行に対価を与えない意思を明確に示していくべきであり,更なる挑発行為を防ぐためにもG8をはじめ国際社会が一致して北朝鮮に確固たる意志を伝えるべきである,特に北朝鮮のウラン濃縮活動を含む各関連活動は,安保理決議及び六者会合共同声明違反であると指摘するとともに,問題解決の上で,中国の役割が重要であることに言及しました。拉致問題については,G8各国の従来からの支援・協力に謝意を表明し,引き続きの支持を要請しました。
  2. (2)各国から,北朝鮮の挑発的行為は地域の安定を脅かすものであるとして野田総理に賛同する発言がなされ,G8が一体となって緊密に連携していくことが重要との認識で一致しました。更なる挑発行為がある場合には国連安保理の対応を求めていくべきであるとの指摘や,ウラン濃縮を含む北朝鮮の核計画に対する懸念の表明等もありました。

4 ミャンマー

  1. (1)各国とも,民主化・国民和解に向けた実質的な進展を歓迎し,ミャンマー政府及び市民社会の努力を高く評価するとともに,改革を後戻りさせないためにも国際社会として支援していくことが重要であるとの点で一致しました。議論においては,改革はまだ終わっておらず,後戻りすることを許さないようにすべきであるとの指摘や,援助におけるドナー間調整の必要性,外国投資が国民に裨益する形で行われることの重要性に関する意見もありました。
  2. (2)野田総理からは,4月の日メコン首脳会議の際に日本に迎えたテイン・セイン大統領とは三回ほど会談しているが,議論する中で,同大統領は改革に真剣であると確信を持った,同大統領が進めている民主化,国民和解,経済改革の取組は実質的な進展であり,我々は,足りないところを見つけて性急に批判するのではなく,前進したところは前向きに評価しながら更なる進展に繋げていくといったアプローチをとるべきである旨述べました。

5 このほか,政治や経済面(特に開発)において女性が果たす役割の重要性についても若干の議論が交わされました。


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