平成23年9月
日米両政府は、平成23年9月5日~16日、外務省において、国連平和維持活動の幹部要員候補となり得るアジア太平洋地域諸国の軍人、警察官、文民を対象とし、日米共催 第2回 国連平和維持活動(PKO)幹部要員訓練コース(U.S.-Japan Global Peace Operations Initiative Senior Mission Leaders Course (GPOI SML))を実施した。日米双方の実施主体は、各々外務省及び米太平洋軍(PACOM)・民軍関係センター(CCMR)。第1回目は、平成21年に開催。
本訓練コースは、平成16年のG8シーアイランド・サミットで採択された「G8行動計画 世界的な平和支援活動能力の拡大」に基づき、米国が平和支援活動に従事する各国要員の訓練等を行うことを目的として立ち上げたGlobal Peace Operations Initiative (GPOI)の一環として、我が国と米国が共催したものである。日米両政府は、昨年6月の日米安全保障協議委員会(いわゆる「2+2」)において、「脆弱な国家を支援するため、能力構築及び平和維持活動分野での日米協力の強化」を共通戦略目標の一つとして掲げており、本訓練コースはその具体的な取組として位置づけられている。
本訓練コースは、昨今、多機能型の国連PKOミッションが増加し、文民、軍、警察の間の統合的アプローチの重要性が高まっていることを踏まえ、国連が戦略レベルの訓練として作成し実施してきた幹部要員訓練コース(senior mission leaders course)のカリキュラムに則り、2週間にわたって実施された。 内容は、安保理、国連PKO局及び現場ミッションでの諸課題(統合計画、紛争の仲裁、対外広報、武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)、平和構築、法の支配、文民の保護、安全対策、人道問題、人権等)を包括的に網羅し、講義で習った基礎知識を実習で応用できるように構成されていた。また、国連PKOミッションの統合的な企画・立案の演習が行われた。
指導的役割を務めるメンターは、アジア、アフリカ、ヨーロッパで国連PKOの幹部ポスト(SRSG、軍司令官及び警察長官)に就いたことのある経験者5名が起用された他、平和維持活動における経験が豊富で専門性を有する講師を招いた。受講者は、メンターより、幹部に求められる資質や在り方、諸課題に対する姿勢などにつき体験談を交えた講義を受けるとともに、講師より複合化した国連PKOの諸課題につき学び、演習ではメンターや講師から助言を受けつつ受講者同士で議論を交わした。
豪州、バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、日本、マレーシア、ネパール、パキスタン、フィリピン及びタイの計10カ国から、将来、国連PKOミッションの国連事務総長特別代表、副特別代表、官房長、軍司令官、警察長官等の幹部候補となり得る軍人、警察官及び文民の計23名(軍人であれば准将、警察官であれば警察副本部長、文民であればD1レベルに相当する者)が参加した。我が国からは6名(自衛隊、JICA及び国際機関)が参加した。