経済外交

G8ロック・アーン・サミット(概要)

平成25年6月18日

1.総論

(1)本年のG8サミットは,6月17日,18日に英議長の下,北アイルランド・ロックアーンにて開催された。(英:キャメロン首相(議長),露:プーチン大統領,独:メルケル首相,伊:レッタ首相,加:ハーパー首相,仏:オランド大統領,米:オバマ大統領,我が国からは,安倍総理が出席。) 

(2)議長国・英は,3T(貿易(Trade), 税(Tax),透明性(Transparency))を主要なテーマとし,世界経済や外交政策など幅広い問題について,首脳間で親密かつ率直な意見交換が行われた。

2.各論

(1)世界経済
 世界経済については,下方リスクは減少したが,回復は弱く,成長と雇用を強化する必要があることで一致。安倍総理からは,いわゆるアベノミクスを中心に日本の経済政策を説明し,TPP,日EU・EPA等貿易交渉の推進等を含む成長戦略の実施を通じて成長力を高める、不断の改革を続けるとの決意を表明した。これに対し、各国から高い評価が寄せられ、日本経済の再生が世界経済の発展につながることについて強い期待が表明された。
また,成長のエンジンとしての貿易の役割が再確認された。特に成長を続けるアフリカ貿易の深化のため,インフラ整備や人材育成の重要性が確認され,この点においてTICADVの貢献が歓迎された。

(2)地域・政治情勢
 国際社会の喫緊の課題について,首脳同士による率直なやりとりが行われた。

(ア)シリア:危機的な人道状況や過激勢力の伸張といった現状について強い懸念が表明され,更なる人道支援の必要性や政治的解決のための国際会議(ジュネーブ2会議)の早期実施の必要性等につき一致した。総理からは,政治対話実現の動きへの支持とともに、我が国の貢献として、人道支援(これまでの8,000万ドルに加えて1,000万ドルの新規拠出)、反体制派掌握地域への支援、近隣国支援としてのヨルダンへの1.2億ドルの円借款実施を表明した。
(イ)北朝鮮:総理より,北朝鮮の核保有を認めない,挑発行為を行わず安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきとのメッセージを送るべきと主張、また、拉致問題について各国の理解を求め、同趣旨がコミュニケに反映された。


(3)テロとの闘い
アルジェリア事件等を踏まえ,北アフリカ,サヘル周辺におけるテロ対策について議論。テロ対処国の治安能力の強化などにつき、国際的連携を強めることで一致した。総理から,国際的協力の重要性とともに、貧困等テロの根本原因への対処の必要性をTICADVで表明した支援策(サヘル諸国への10億ドルの支援と2,000人の人材育成策)を紹介しつつ指摘した。

(4)税・マネー・ローンダリング

(ア)税については、欧米を中心に社会問題化している多国籍企業による租税回避の問題(BEPS:税源浸食・利益移転)等への対応や,税務情報の自動的情報交換の強化に関するOECDの取組を政治的に後押しすべきとの議論がなされた。総理からは,各国が、税源獲得を目指した税負担の軽減競争を避けつつ、適切な税を徴収できるよう税制の調和を図ることが重要である旨指摘した。
(イ)法人の実質所有者の透明性については,犯罪者が法人を違法な資金の隠れ蓑として使うことを防ぐために,金融活動作業部会(FATF)の勧告を実施し,各国で行動計画を策定すること等が議論された。総理からも,自分の指示の下で今般公表する行動計画を誠実に実施し,必要な制度整備等に真剣に取り組んでいく旨説明した。

(5) 3T(非G8諸国との対話(注))
今回のサミットの主要なテーマである3T(貿易,税,透明性)について,アフリカを中心とする非G8諸国との対話を実施。非G8諸国から,資源の呪いを回避し,農業開発を促進するために,採取産業,土地取引等の透明性向上に向けた支援が重要であるとの指摘があった。
総理からも、貿易の重要性を再度確認し、地域貿易協定の推進とともに、年末のWTO閣僚会合を成功させることの重要性を指摘した。

(注)アウトリーチ諸国との対話を実施。ズマ・AU委員長,ハイレマリアム・エチオピア首相(AU議長国),サル・セネガル大統領(NEPAD議長国),サーリーフ・リベリア大統領(ポストMDGsハイレベルパネル共同議長),ペニャ・メキシコ大統領,ゼイダーン・リビア首相,ラガルド・IMF専務理事,キム・世銀総裁,グリア・OECD事務総長が出席。

以上を踏まえ,キャメロン首相が自ら起草した文書である「G8ロック・アーン宣言」と各国の合意事項をまとめた「G8ロック・アーン・コミュニケ」等が発出された。

3.次回G8サミット
 プーチン露大統領より,来年のG8サミットを2014年6月4-5日にソチ近郊で開催する旨発言があり,各国首脳よりこれを歓迎する旨の発言があった。

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