経済外交

2013 G8ロック・アーン・サミット 首脳コミュニケ(仮訳)

平成25年6月18日

前文

1.G8首脳として,我々は,永続的な成長及び安定の基礎として,開かれた経済,開かれた社会及び開かれた政府にコミットする。我々は,本日,安全かつ繁栄した世界を確保する役割を果たすため具体的な措置に合意した。

2. 我々は,引き続き経済が不確実な時に会合した。我々にとり急務の優先事項は,成長の促進並びに雇用,特に若者及び長期失業者向けの雇用である。我々は,需要を下支えし,国家財政を確保し,成長促進のために経済を改革することにより,引き続き世界的な景気回復をはぐくむ。

3.我々の経済は,世界経済のおよそ半分を占めており,世界の繁栄を支える責任を有する。我々は,次の3つの分野での行動に合意する:

●貿易-世界の経済成長の主要な原動力。我々は,保護主義を抑止し,野心的な貿易協定を締結することにより,内外での貿易障壁を取り除く。特に,我々は,EU米貿易協定の交渉立上げ,環太平洋パートナーシップ(TPP)の合意に向けた大きな進展及び日EU・EPAの交渉開始を歓迎し,EUカナダ貿易協定の完成を期待する。我々は,可能な限り速やかにこれらすべての協定の妥結を目指している。我々はまた,地域内の国々との間で,世界貿易機関(WTO)の原則に則って追求されるロシアの貿易及び経済の統合を歓迎する。我々は,多角的貿易体制を強化するとともに,国境を越える物品に関する手続の簡素化,迅速化に向けて官僚主義を排するための12月のWTOにおける合意を確保することにコミットする。同時に我々は,成長を阻害するような貿易障壁を途上国が大幅に削減することを支援するとの約束を守る。

●税制-すべての人々のための公正と繁栄に必要不可欠なもの。我々は,新たな国際的基準として税務当局間における自動的な情報交換の構築にコミットし,政府が脱税者を見つけ処罰することを容易にする多国間モデルを早急に策定するため,経済協力開発機構(OECD)と共に取り組む。租税回避については,我々は,税源浸食と利益移転に対処するOECDの取組を支持する。我々は,多国籍企業が世界のどこで利益を生み,税を支払っているか税務当局へ報告するための共通のひな形作りに取り組む。我々は,途上国が必要とする世界中の税情報へのアクセスとともに,自国に帰属する税を徴収するよう途上国を支援する。我々は,例えば企業の実質所有の中央登録機関を通じ,誰が実際に企業及び信託を所有し,また,利益を得ているかに関する情報を徴税当局及び法執行機関が利用可能にするため,国別行動計画を発表することに合意する。

●透明性-政府及び企業に対し人々が説明を求める能力強化。我々は,予算及びその他政府に関する情報を,容易にアクセスできる形で公開するため,変革的なオープンデータ憲章に合意した。我々は,採取産業の支出をより透明性の高いものにするための世界共通の基準に向け前進する。また,我々は,貧困と支援への依存から抜け出す手段を提供するため,天然資源が豊富な国が採取歳入をより良く管理するよう共に取り組む。

4. 我々は,援助の約束を守り,それらの説明責任を果たすことで,最貧国が人々を貧困から脱却させることを継続して支援する。我々は,何百万人もの命を破滅させる栄養不良に取り組む努力を加速化させる。持続可能な成長を進めるよう,アフリカ諸国政府及び人々と緊密に協働する。

5. 我々は,テロ対策を講じ,不安定性の原動力が見いだされる世界中のどこにおいて,特に北アフリカ及び中東において,これに対抗することに協働するコミットメントを共有する。我々は,モーリタニアからソマリアにかけての不安定性の弧に展開するテロリストによって引き起こされる増大する脅威に対処するため,5つの優先分野を特定した。それらの諸国とともに,我々は,共同の,政治的かつ実践的な支援に焦点を当てつつ,各国政府がテロのネットワークを発見し解体することを支援し,また実効性と責任ある政府を構築するため,協働する。

6. 我々は,我々の国民を守るとともにテロリスト・グループがその繁栄を可能とする資金を得る機会を減少させることにコミットしている。我々は,テロリストに対する身代金の支払を全面的に拒否し,世界中の国及び企業に対し,我々の後に続き,テロリストにとり格好の他の収入源と同様に身代金を根絶させるよう求める。我々は,ベストプラクティスを事前に共有するとともに,人質事件発生時には必要に応じて専門知識を提供することにより,事件の解決に向けて互いに協力し合う。

7. 我々は,2012年ジュネーブ・コミュニケを基礎としたシリアにおける甚だしい紛争の政治的解決を実現するための会議に向けた提案を強く支持する。我々は,人道的な支援のため最新の国連によるアピールに寛大に貢献する。我々は,シリアにおける化学兵器のすべての利用及びすべての人権侵害を最も強い表現で非難する。我々は,リビアの安全保障及び民主的移行に関する主導的な国際的支援並びに中東における永続的な和平のため緊急の取組にコミットしている。

世界経済

8. 成長及び雇用の促進は,我々の最優先事項である。我々は,需要を下支えし,我々の国家財政を確かなものとし,そして,すべての成長源を開拓することにより,世界経済の回復をはぐくむことに合意した。失業,特に長期的及び若年層の失業との闘いは,我々の国内及び我々全体のアジェンダにおいて,引き続き極めて重要である。

9. 世界経済の見通しは,引き続き弱いままであるが,米国,ユーロ圏及び日本においてとられた重要な政策措置や主要な途上国及び新興市場国の強じん性などにより下方リスクが減少した。その結果,ほとんどの金融市場で著しい改善が見られる。しかし,この楽観主義は,ほとんどの先進国における経済活動や雇用の広範な改善に完全に結びつくまでには至っていない。事実,いくつかの地域における成長見通しは,キャンプ・デービット・サミット以降弱くなっている。2012年に世界経済が直面したテール・リスク(注:発生確率は低いが,起こると非常に大きな影響をもたらす事象から発生するリスク)のうち最悪のものを回避するための措置を各国がとってきた一方で,ぜい弱性は2013年においても残っており,これは持続可能な成長と雇用を回復するために各国が必要な改革を推し進める必要性を示している。

10. 過去1年で,ユーロ圏の下方リスクは減少してきたが,依然として景気後退局面にある。金融市場の分断を更に縮小させ,銀行のバランスシートを引き続き強化することに寄与するため,銀行同盟の合意された要素の進展を通じたものを含め,欧州経済通貨同盟のアーキテクチャーの更なる強化が強く必要とされる。財政の持続可能性及び金融の安定性の回復は,成長志向の構造改革を含め,適切に策定された成長戦略と一体となって進められる必要がある。米国は,バランスのとれた中期的な財政の持続可能性に向けた進展及び成長を高めるための的を絞った投資が引き続き必要である。こうした中にあって,米国の回復は続いており,財政赤字は急速に減少している。日本の成長は,短期的な財政刺激策,大胆な金融政策及び最近発表された民間投資を喚起する戦略により支えられる。しかし,日本は,信頼できる中期的な財政計画を定めるという課題に応える必要がある。我々の中央銀行のいくつかは,それぞれの国内経済を支えるため,量的緩和といった非伝統的な手段によるものを含め,極めて緩和的な金融政策をとり続けてきた。ロシアは,低失業率及び好調な財政状況を経験しているが,世界経済成長の減速及び不安定な一次産品価格が課題となるであろう。

11. こうした背景を踏まえ,我々は,信頼を回復し,投資及び雇用創出を促進し,回復を支え,世界的な不均衡を縮小させるための更なる行動を直ちにとることにコミットしている。我々は,本日以下に合意した。

・持続可能な回復をはぐくみ,世界経済の強じん性を取り戻すには,断固たる行動が必要とされている。先進国は,信頼できる財政計画を実施しつつ,国内需要を支えることと,成長の重荷となる構造的な弱さに対処する改革とのバランスをとる必要がある。我々は,世界的な不均衡の持続的縮小を達成するために協力するとの我々のコミットメントを再確認する。これについては,黒字国及び赤字国が対処しなければならない。

・金融政策は,各中央銀行それぞれの権限に従って,引き続き回復を支え,国内の物価安定に向けられるべきである。

・中期的な財政の持続可能性を回復させることは依然として優先事項である。財政政策は,適切な場合には構造的財政赤字に焦点を当てることなどを通じ,経済状況に応じて短期的には機動的となることを可能とすべきである。財政健全化のペースは,我々の異なる国内の経済状況に応じ差異を設けるべきである。

・構造改革は,持続可能な成長及び長期的な生活水準の改善,競争力向上,中小企業(SMEs)などによる投資のための適切に機能する信用チャネルの提供及び信頼性強化にとり鍵となる。緊急かつ具体的な措置が質の高い雇用の創出,特に若年層及び長期失業者にとって,必要とされている。我々は皆,より強固な金融システム,健全な労働市場,雇用及び成長を支え,世界貿易を促進するために,我々自身の経済において必要な改革を行うことにコミットしている。

貿易

12. 貿易と投資は,世界経済の成長,雇用創出及び持続可能な開発にとって主要な原動力である。現在,ますます多くの製品が,世界中の国々からの部品を使う複雑なサプライチェーンにおいて生産され,国際貿易の性質は急激に変化している。今日では,物品貿易の60%近くを部品が占めている。サービス貿易も,世界経済に対する貢献を増大させており,物品貿易と一層密接に結びついている。こうした21世紀の現実は,公正で,強固なルールに基づく貿易体制に立脚した自由な貿易を推進し,投資を保護及び促進し,経済統合を深化させるための説得力のある論拠を提供している。

13. 我々は,したがって,成長,雇用及び持続可能な開発を促進するよう,貿易と投資の可能性を更に引き出すための措置をとることにコミットしている。我々は,また,保護主義的措置をとらず,導入された措置を是正するという我々の約束を守り,G20のスタンドスティルのコミットメントの更なる延長を支持する。我々は,他国にも同じ行動をとるよう求める。我々は,この分野における進展がグリーン成長を促進することを強調しつつ,環境に優しい物品及びサービスの貿易を自由化する取組に対する支持をコミットする。この点において,我々は,環境物品に対する関税を削減するとの2012年9月のアジア太平洋経済協力(APEC)の決定を,この目的を達成するための重要な貢献として称賛する。

14. 開かれた市場に対する我々のコミットメントを示すものとして,我々は,深く,野心的で,真に自由化をもたらす二国間,地域及び複数国間の協定を妥結するために取り組む。こうした協定は,関税の削減に加え,国内障壁,ルール,規制の調和や基準のより良い整合化を含め,広範な課題に対処する。これらはすべて,貿易の可能性を完全に引き出す上での中心課題である。このような協定は,WTOの枠組みと整合的で,かつ,それを支えるものであり,最終的には貿易障壁を世界的に削減する最も効果的な手段であり続けるWTOにおける将来の多数国間協定に向けた土台の役割を果たす。

15. 我々は,世界貿易を支えるルールを定め,世界の成長を現在阻んでいる貿易障壁を引き下げ,保護主義を抑止及び是正し,世界貿易における公平な競争条件のための適切なルールの執行を確保することにおけるWTOの中心的な役割に対する支持を再確認する。我々は,効果的な保護主義モニタリングのメカニズムの継続的な提供及びWTOにおけるピア・レビューのプロセスを更に強化するための措置を支持する。我々は,新事務局長を歓迎し,WTOの中心的役割を維持する強固なアジェンダを構築するための取組に対する支持を約束する。

16. 国境における官僚主義を減じ,効率化することによる貿易コストの削減は,すべての人々に恩恵を与え,世界経済に1兆米ドルの増加をもたらし得る。これは,途上国にとっての新たな輸出機会を開き,雇用と成長を促進する。国境手続の改善もまた,途上国における税関及び徴税を改善させる。我々は,したがって,貿易円滑化を中核とするパッケージに関し,12月にバリで開かれる第9回WTO閣僚会議で合意に達するために断固たる努力を行う。我々は,この目標を達成するためにはWTOのすべての主要なパートナーによる貢献が必要であることに留意する。バリ閣僚会議の成功は,WTO交渉アジェンダの再活性化への道を開く。

17. 貿易の官僚主義に対処するために費やされる1米ドルの「貿易のための援助」によって,被援助国の貿易を毎年約700米ドル増加させることができる。我々は,「貿易のための援助」の現行コミットメントの範囲内で,特に後発開発途上国の利益のために,WTO貿易円滑化協定の実施を後押しするため,十分な技術支援と能力構築を提供し続ける用意がある。我々はまた,我々が提供する援助について報告する際の透明性を向上させるとともに,資金がニーズにより良く適合していることを確保するため,途上国,特に最貧国と協力していく。

アフリカ貿易及びインフラ

18. アフリカは,世界貿易,投資及び経済生産に占める割合が増加しており,次なる新興大陸である。我々は,より高い透明性,インフラの改善,貿易円滑化の向上,貿易障壁の撤廃及び天然資源の管理を通じ,アフリカにおける包摂的で強じんな成長を促進するために,アフリカのパートナーと協力する歴史的機会を有している。我々は,こうした目的を推進するための第5回アフリカ開発会議(TICAD V)の貢献を歓迎する。

19. G8は,貿易障壁を削減し,引き続きアフリカ内部の可能性を引き出す,アフリカ自身の地域統合アジェンダを強く歓迎する。我々は,アフリカ連合(AU)のアフリカ域内貿易加速化のための行動計画(BIAT)を支持する。通過時間の短縮は,アフリカ大陸内の,また,世界市場との貿易を増加させる。G8は,アフリカ域内貿易を倍増し,2022年までに主要な国境地点における通過時間を50%短縮させるというAUの目標を達成するためにアフリカ諸国及びアフリカ地域経済共同体と共に取り組む。

20. より効果的な国境通過と貿易の増加には,運輸,エネルギー及び通信を含むインフラに対する投資が必要である。特に,民間投資を増加させるためには,案件形成の改善とリスク軽減努力が必要とされる。G8は,アフリカの地域インフラ・プログラムの案件形成を促進するための更なる支援をコミットし,アフリカ開発銀行によるアフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)インフラ案件形成促進ファシリティ及び同様のメカニズムの重要性を認識する。

21. G8は,国際開発協会(IDA)第17次,アフリカ開発基金(AFDF)第13次及び欧州開発基金(EDF)第11次増資における現在進行中の取組の一部として,多国間の開発機関に対し,アフリカインフラ開発プログラム(PIDA)のような,アフリカの地域的インフラ・プログラムの案件形成,資金調達,リスク軽減における連携のためのより効果的なメカニズムの確立及び優先化を要請する。G8は,アフリカにおけるインフラ整備のための財源につきG20が行っている作業を認識する。

22. G8は,我々の次回会合に先立ち,途上国における融資可能な貿易関連のインフラ・プロジェクトに対して制度的な投資の流れを促進するため,民間部門,国際金融機関(IFIs)及び他の国際機関と連携し,G8が共同で又は個々にとることができる更なる措置を探求し,特定することをコミットする。

租税

23. 我々が,我々の市民のために財政の持続可能性の維持及び雇用と成長の確保に努力する中,我々は,脱税及び租税回避の問題に対するグローバルな解決策を策定するための役割を果たすことにコミットする。我々は,我々の国際的な課税ルールと執行の公平さと有効性に対する信頼を回復するため,また,それぞれの国が帰属する租税を徴収できるようにすることを確保するとともに途上国もこのアジェンダに関して得られた進展の利益を確保できるようにするため,行動する。

24. 我々は,多国籍企業による税源浸食・利益移転(BEPS)に対処するためのOECDの取組を歓迎し,本年7月に開催されるG20の財務大臣・中央銀行総裁会議に向けてOECDが野心的で包括的な行動計画を策定することの重要性を強調する。我々は,OECDの勧告に期待しており,必要な個別及び協調的な行動をとることにコミットする。我々は,税源浸食・利益移転に取り組むため,また,あらゆる多国籍企業が低税率の国・地域に利益を人為的に移転することによって支払う税の総額を削減することを国際的な及び自国の課税ルールが許容又は奨励しないようにするため,共に取り組むことに合意する。現在進行中のOECDの取組は,途上国を含むすべての利害関係者との継続的な関与を伴う。

25. 多国籍企業の財務状況に関する包括的で関連する情報は,すべての税務当局が税務リスクを認識し評価することの効果的な助けになる。この情報は,利益及び支払われた税金のグローバルな配分に関する高い水準の情報に焦点を当てた標準化された形式によって示されたのであれば,途上国を含め,税務当局にとって極めて有用となる。我々は,OECDに対し,非協力的な国・地域に関する懸念を考慮しつつ,主要な多国籍企業による税務当局に対する国ごとの報告のための共通のひな形の策定を呼びかける。これは,透明性を向上しリスク評価を改善するための,多国籍企業と多国籍企業が活動する国々における税務当局との間の情報の流れを改善する。

26. 脱税との闘いにおける極めて重要な手段は,国・地域間の情報の交換である。我々は,税の透明性における最近の進展を新たな基準を形成していくものと見ており,また,既存のシステムを基礎とした多国間及び二国間での税についての自動的な情報交換のための単一の真にグローバルなモデルの策定にコミットする。我々は,多国間での自動的な交換の実施の実務性に関するOECDの報告を支持し,また,その提言を早急に実施するため,OECDと共に,また,G20において取り組む。我々は,すべての国・地域に対し,この新しい単一の国際的基準を最も早い機会に採用し,効果的に実施することを呼びかける。途上国を含むすべての国・地域が情報交換におけるこの新しい基準から利益を得ることが重要である。このため,我々は,OECDに対し,すべての国がこの新しい基準を実施することを支援するため関連するシステムとプロセスができるだけアクセス可能であることを確保するよう取り組むことを呼びかける。

租税と開発

27. 途上国が,安定した持続可能な国家を構築することを支援するため税源を強化できること,自らの国内の歳入を通じて予算の資金を調達できる能力を改善できること,そして,自らの開発プロセスのオーナーシップを増大できることは,すべての者の利益となる。我々は,自国に帰属する税を徴収するとともに,自動的な情報交換を含む情報交換に関する変化する国際的基準に関与し利益を得るための能力を構築するための途上国の取組に対して引き続き実務的な支援を提供する。我々は,すべての国・地域に対し,透明性及び税目的の情報交換に関するグローバル・フォーラム及び多国間税務行政執行共助条約への参加を呼びかけ,また,我々は,グローバル・フォーラムへの参加を追求する途上国のための実用的な支援を引き続き提供する。我々はそれぞれ,引き続き,成功を確保するための長期の協力の計画に関与することを含め,我々の専門性を共有し,能力構築を支援することにコミットする。

28. 我々は,特定の複雑な租税事案への税務当局による調査を支援するための国境なき税務調査官の提案に関するOECDによる実現可能性の調査を歓迎する。我々は,税務専門家を役立たせることを含め,このイニシアティブを支持するための実務的な措置をとる。

29. 国・地域を越えて関連する価格情報を比較するための税務当局の能力は,移転価格ルールの効果的な運用に不可欠であり,また,特に途上国においては,比較可能な取引に関するデータの不足は,効果的な徴税における重要な課題である。我々は,OECDに対し,移転価格を効果的に管理するために必要な比較可能な取引に関する情報の質と入手可能性について途上国が表明した懸念に対処する方法を見いだすよう要請する。

法人及び法的取極めの透明性

30. 信託を含め,法人及び法的取極めを最終的に支配し,所有し,そしてその利益を得る者についての認識の不足は,国境を越えて行われる場合が多い脱税や犯罪収益の洗浄を試みる者を利する。実態のない法人は,腐敗,脱税及び資金洗浄から生じる不正な資金の流れを助長するために悪用され得る。実態のない法人の悪用は,持続可能な経済成長と健全なガバナンスにとっての深刻な障害となり得る。我々は,この問題に対処し,法人及び法的取極めの透明性を向上するための協調的かつ集団的な取組を行う。透明性の向上はまた,投資環境を改善し,ビジネス取引をするための安全確保を容易にするとともに,腐敗と贈賄への対処となる。それは,犯罪ネットワークを追及し,制裁を執行し,そして奪われた財産を特定して回復するための法執行機関による取組を支援する。

31. 我々は,法人及び法的取極めの悪用に対処するために行動することを決意している。我々は,率先して,金融活動作業部会(FATF)基準の実施の範を示す。我々は,本日,共通の原則に基づく国別行動計画を発表することに合意した(添付)。我々の異なる憲法上の事情に従い,これらの行動計画は,法人に対し自らの実質所有に関する情報を入手及び保持することを要請することによって,法人が自らの真の所有者及び支配者を確認することを担保し,これらの情報が,例えば中央登録機関を通じて,法執行当局及び徴税機関,適切な場合には資金情報機関を含むその他の関連機関に対して適時に入手可能となることを確保し,そして,信託の受託者がその受益者を確認することを担保し,法執行当局及び徴税機関,適切な場合には資金情報機関を含むその他の関連機関が信託に関する情報へのアクセスを確保することによってこの問題に対処するために,我々の具体的な行動を設定する。我々は,関連するFATF勧告の評価を優先することを含め,野心的な進展を国際的に確保するため,他のFATFパートナーと共に取り組む。

資金洗浄対策

32. 我々の金融システムは,資金洗浄及びテロ資金供与がもたらす深刻なリスクにさらされている。我々は,FATF基準を完全に支持し,それらを効果的に実施することにコミットする。我々は,FATFによる,戦略的な資金洗浄・テロ資金供与対策(AML/CFT)上の問題を有する高リスク国・地域の特定と監視を支持するとともに,すべての国がFATF基準を満たすことを確保するための措置を講じることを奨励する。我々は,企業犯罪に関与した者が責任を追及されることを確保するため,我々のAML/CFTに関する義務の適切かつ効果的な監督及び執行を確保することにコミットしている。

33. 財務上の透明性を向上させる措置をとることは,アフリカのビジネス及び市場の拡大のための機会も改善する。アフリカの国々が成長するにつれ,アフリカの金融機関はますます不正な金融活動にさらされることとなり,アフリカ諸国のビジネスと市場が拡大する機会に悪影響を及ぼす。我々は,東部と南部のアフリカの国々と共に,G8及び当該地域の政府と金融機関が参加する,最初の官民対話を9月6日~8日にナミビアのスワコプムンドで開催する。これは,更に拡大し前進する連携,対話,そして官民パートナーシップのためのプラットフォームを提供し,また,我々はこの対話を年一回のペースで他の地域に拡大して開催することを検討する。

採取

34.天然資源は,国際的に認知された環境上の及び社会的な基準に沿って,責任ある形で開発され管理されるならば,特に豊富な天然資源を持つ途上国にとって,力強くかつ持続可能な成長の主要な推進力となる可能性を有している。例えば,2010年のアフリカのある一国からの石油輸出は,サハラ以南アフリカへの純援助総額を超えていた。これらの資源は,多くの途上国に対し,貧困から脱するための長期的な道筋及び対外援助への依存を低下させる機会を提供する。

35.しかしながら,天然資源が豊富な一部の国における,採取部門の管理の透明性及び説明責任に関する強力な体制の欠如により,あまりにも頻繁に国家における優先度の高いニーズ以外に収入が流用されることが許容されてきた。採取部門の透明性に関する世界基準を引き上げ,資源を有効に管理するための各国の能力を向上させることは,説明責任を改善し,腐敗や他の不法行為の余地を減らし,市民が天然資源の採取から完全に利益を得ることを確保する。

36.G8は,相当規模な国内採取産業を有する国と大規模な多国籍採取企業の母国の双方のため,採取産業の透明性に関する世界基準を引き上げ,報告に関する世界共通の基準に向けて前進するために行動する。このような共通基準の下で,企業は採取産業に関する支出を報告することを求められ,政府は,情報開示の遵守を確保するための行動をとり,また,採取産業透明性イニシアティブ(EITI)基準に向けて取り組むことを望む政府は,自発的に収入を報告する。これは,ビジネス上の報告の負荷を低減させ,腐敗との闘いを支援し,途上国におけるものも含め,より効果的かつ効率的な投資を促進する。

37.39カ国がEITIに参加している。EITIは,これらの国の天然資源について企業が行う支払や政府が得る収入に係る透明性と説明責任を向上させる。我々は,5月に採択された新しいEITI規則を歓迎する。この規則は,EITI加盟国によって作成されるデータの範囲及びアクセス可能性を増加させ,参加国が高い基準に沿うよう確保することを目的とする。我々は,他の国もEITIに参加することを奨励する。

38.米国は,株式を公開している特定の採取企業に対し,世界中で行う政府への支払について報告することを義務付ける法律を採択した。EU 会計透明性指令により,EU加盟国は同等の基準を導入することになる。EUに属する G8各国は,迅速にEU会計透明性指令を実施する。これらは,政府に対し,EUにおいて上場しているすべての採取企業及び上場していない大規模採取企業からの政府に対する支払について,すべての政府に対して義務的な報告を行うよう求めており,これは,米国ドッド・フランク法のセクション1504及び新EITI基準に整合的である。米国,英国及びフランスは,2014年までに新EITI基準に応じた候補国としての地位を目指す。カナダは,今後2年以内に,同等の採取企業に関する義務的な報告制度を策定することを目的として,国内の利害関係者との協議を立ち上げる。イタリアは,可能な限り早急に,新EITI基準に応じた候補国としての地位を追求する。ドイツは,将来のEITI実施国としての候補となるために,一地域においてEITIを試験的に実施することを計画している。ロシア及び日本は,EITIの目標を支持し,国内企業にEITIを支持することを奨励する。

39.我々は,ビジネス上の報告負担の重複を回避するための国際的な報告制度を創設することを目的として,主要な多国籍企業又は海外投資を行う国有企業を受け入れる他国に対し,同等の義務的な報告規則を実施することを奨励する。これらの世界的な基準は,プロジェクトごとの報告に向け前進すべきである。

40.採取透明性のコミットメントの一環として,我々は,金,ダイヤモンド及び他の宝石を含む,紛争地域からの責任ある,紛争と関係しない形での鉱物調達を引き続き支持する。我々は,前向きな経済発展及び特に紛争地域及び高リスク地域からの技巧鉱物部門における責任ある調達を促進する。我々は,認証,責任あるビジネス行為及び人権の尊重を通じて紛争鉱石の取引と闘うための世界的な多国間の,そして多様な利害関係者間の努力の一部として,「OECD紛争地域及び高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」及び大湖地域認証メカニズムに関する国際会議への引き続きの支持を再確認する。我々は,また,「紛争ダイヤモンド」の取引を防止するための世界的で,複数の利害関係者間のイニシアティブとしてのキンバリー・プロセスに対する支持を再確認し,キンバリー・プロセスが「紛争ダイヤモンド」の定義に関する議論に結論を出すよう奨励する。

41.我々は,アフリカ鉱業ビジョン,アフリカ鉱物開発センター及び鉱業政策フレームワークを通じたものを含め,採取部門の良きガバナンス及び透明性の促進における,AU及び鉱業に関する政府間フォーラムのリーダーシップを歓迎する。我々はまた,NEPADによるこれら課題に対する関心の高まりを歓迎する。途上国が天然資源に関する契約を交渉する能力を強化するために提供された技術的支援は,最も重要である。我々は,アフリカ開発銀行による「アフリカ法的支援ファシリティ」及び「アフリカにおける採取資源の公正な開発のためのファシリティ」へ提供された財政的支援を歓迎し,他国がこれらのファシリティにコミットすることを奨励する。これらのイニシアティブを支援するため,我々は,採取部門における能力を強化し透明性を高めるため,資源の豊富な途上国,民間部門及び市民社会と提携する。

42.我々は,ブルキナファソ(仏),コロンビア(EU),ガーナ(英),モンゴル(独),ミャンマー(米),ギニア(米),ペルー(加)及びタンザニア(加)と最初のパートナーシップを今週立ち上げた。イタリアは,あるアフリカの国とのパートナーシップを最終確定する過程にある。これらは,各国のニーズに応じたものとされ,2015年までに採取部門の透明性とガバナンスを向上させることを目的に掲げる国家開発計画を支援する。

土地

43.ぜい弱な土地のガバナンスと所有権制度は,不透明な土地取引をもたらしうるものであり,腐敗を助長し,生産的な投資のために土地へのアクセスを求める責任ある主体を苦境に立たせる。多くの途上国における脆弱なガバナンスは,非生産的な土地投機を許容し,農業生産性を低下させる。土地の権利の保護と土地のガバナンスの透明性を向上させることは,市民参加を育成し,政府の説明責任に貢献し,ビジネス上のコストを低下させ,責任ある投資のための環境を強化する。我々は,情報へのアクセスや意思決定への市民の参加を通じたものを含め,土地所有のガバナンスを改善するための世界的な活動を歓迎する。我々は,土地の透明性の更なる促進のための多国間の努力,特に,土地の良きガバナンス及び透明性のための世界的な政策指針を提供する上で国連食糧農業機関(FAO)の役割の重要性を認識する。我々は,土地部門における良きガバナンスは農村開発,食料安全保障及び持続可能な官民の農業投資において中心的役割を果たすことを強調しつつ,責任ある農業投資(RAI)の原則に関する協議の立上げを歓迎する。

44.我々は,早期段階のものも含む土地取引のより大きな透明性及び途上国における土地の良きガバナンス制度の発展のための能力の向上を支持する。昨年,G8は世界食料安全保障委員会による「国家食料安全保障の文脈における土地所有等の責任ある管理のための任意ガイドライン(VGGT)」を歓迎した。これらを実施し,AUの土地政策イニシアティブのような地域的なプロセスを支援するため,本年,我々は,ビジネス,特に農業従事者及び市民社会と共に,当事国における現行の土地のガバナンスプログラムへの支持を加速化し,目標とするため,特定の途上国及び関連する国際機関とのパートナーシップを構築しつつある。

45.我々は,ブルキナファソ(米),南スーダン(EU),ナミビア(独),ナイジェリア(英),ニジェール(EU),セネガル(仏)及びタンザニア(英)と最初のパートナーシップを今週立ち上げた。これらは,各国のニーズに応じたものであり,また,2015年までに土地のガバナンス及び特に土地取引の透明性を向上させることを目的に掲げる国家開発計画を支援する。加えて,日本及びイタリアは,途上国におけるVGGTの実施を支援するため,FAO及び世界銀行を通じた更なる支援を提供する。

オープンデータ

46. オープンな政府データは,情報時代の不可欠な資源である。データを公共の場に移すことは,市民の生活を向上させ,また,これらデータへのアクセスを拡大することは,イノベーション,経済成長及び良い雇用の創出を促進し得る。政府のデータを原則として一般に入手可能とし,機械判読可能で,容易にアクセス可能かつ開かれた形式にて無償で再利用可能とすること及び公衆がその内容や意味を容易に理解できるようにこれらのデータを明確に説明することは,民間部門のイノベーター,起業家,そして非政府組織によるイノベーションのための新たな原動力となる。オープンデータもまた,国々によりどのように天然資源が使われるか,どのように採取収入が使われるか,そしてどのように土地が取引され管理されるかについて認識を高める。

47. 我々は,本日,以下の原則を含むオープンデータ憲章に合意し,公表した。
• 原則としてデータを公表する ― 政府データが,プライバシーを引き続き守りつつ,オープンに公表されるとの期待を醸成する。
• 質と量 ― 質の高い,時宜を得た,そして十分に説明されたオープンデータを公表する。
• すべての者が利用できる ― 可能な限り多くのデータを可能な限り多くの種類のオープンな形式で公表する。
• ガバナンス改善のためのデータの公表 ― 専門性を共有し,データ収集,基準及び公表プロセスに関して透明性を確保する。
• イノベーションのためのデータの公表 - 利用者と協議し,将来の世代のイノベーターの能力を強化する。

48.このオープンデータ憲章は,保健,環境及び交通を含むいくつかの主要な項目にわたってオープンな政府データの提供を増加させ,民主的なプロセスを支持し,そして提供されたすべてのデータが容易に使用できることを確保する。我々は,他国に対してこの憲章を採用することを奨励する。G8各国は,遅くとも2015年末までにこの憲章及びその技術的な別添を実施するための国別行動計画を本年末までに策定する。我々は,2014年の我々の次回会合において進ちょくをレビューする。

49. オープンデータ憲章原則に従いつつ,G8による開発援助についての透明性のあるデータもまた,説明責任のために不可欠である。我々は皆,OECDの開発援助委員会(DAC)による債権国報告システム(CRS)及び国際援助透明性イニシアティブ(IATI)の双方を含む,援助透明性に関する釜山共通基準を2015年までに実施することに合意している。G8の更なる指導力を示すため,G8各国による開発援助についてのデータが,オープンで,時宜を得ており,包括的で,そして比較可能であることを確保する。

50. G8諸国は,長期にわたって透明性に関する釜山共通基準を,それぞれの開発金融機関及び国連気候変動枠組条約の下での気候変動資金に関する報告と整合的な形で国際的な気候変動に関する公的資金フローに適用していくべきである。

説明責任

51. 我々は,2009年にラクイラで合意されたとおり,オープンかつ透明性のある方法でなされた我々の約束に対し,説明責任を持つことにコミットする。我々は,2010年の包括的な説明責任報告書の56の開発コミットメント並びにムスコカ,ドーヴィル及びキャンプ・デービッドの各サミットにおいて我々が更に追加したコミットメントを対象とした包括的な報告書であるロック・アーン説明責任報告書2013を歓迎する。我々は,共通の経験に基づき,また,各国の戦略の下で新たな課題に対処しつつ,極度の貧困の終焉に向けて,パートナー国及びその他の関係者と共に,取組を続ける決意を再確認する。透明性及び相互の説明責任は,引き続き我々のアプローチの礎石である。

52. この報告書では,妊産婦と子供の健康に関する支援,きれいな水へのアクセス,食料安全保障の改善,特にアフリカにおける平和と安全保障の構築支援等の分野において,良好な進ちょくを示している。しかし,いくつかの分野では,我々の約束を果たすため,より一層の行動が必要とされることも特定している。既存のコミットメントに取り組むことに加え,我々はまた,他国との緊密な連携の下,新たな課題に向き合い対処する必要性を認識している。

食料安全保障及び栄養

53. G8各国は,持続可能な世界的食料及び栄養の安全保障の達成に必要な規模及び緊急性をもって応えるとのコミットメントを再確認し,我々が2009年のラクイラにおいて行った資金プレッジを達成したこと及び拠出を完了するよう取り組むことに留意する。我々は,食料安全保障及び栄養のためのニュー・アライアンスへのコミットメントを再確認し,2012年の立上げ以降の進展を歓迎する。我々は,ニュー・アライアンスを,包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)国家投資計画を支える民間セクターの投資を増加させる手段として認識しつつ,アフリカにおける農業変革に向けた手本となる枠組みとしてのCAADPへのコミットメントを再確認する。我々は,G8米国議長の下での実績を基礎にして,4分野において行動を進める。
・リーダーシップ: アフリカのオーナーシップを強化し,ニュー・アライアンスを監督する主たる機関としてリーダーシップ理事会を創設することによる
・説明責任: CAADPのモニタリング枠組みと整合性を持ち,透明性を持って進ちょくを追跡し,報告するための信頼に足る効果的な方法に合意することによる
・拡大: アフリカの国々,世界及びアフリカの民間部門並びに開発パートナーによるニュー・アライアンスへの参加を拡大させることによる
・影響の深化: 投資が貧困及び栄養不足を減少させる上で,特に小規模農家及び女性にとり,かなりの影響を有し,責任ある形でなされ,天然資源の持続可能な利用を支援することを確保することによる

54. ニュー・アライアンス・リーダーシップ理事会への進ちょく報告においては,アフリカ6か国におけるパートナーシップ合意の構築,政策改革を実施し民間セクターの投資の触媒となる上でなされた進展,及び,資金を動員し,新技術へのアクセスを向上させ,リスクを管理し,栄養を改善するための手段の立上げが強調されている。我々は,ナイジェリア,ベナン及びマラウイを含めるとのニュー・アライアンスの拡大並びにセネガルとの新たな協力枠組み構築のための初期の措置を歓迎する。我々は,小規模農家,特に女性が果たす重要な役割を認識する。我々は,CAADPのモニタリング枠組みに統合される結果を追跡する強固な制度の構築を歓迎する。G8諸国は,引き続き,国家主導の農業開発活動,特に栄養に関する前向きな成果を達成する活動に資金を供与し,低所得国における小規模農家及び農業ビジネスに対する民間資金のより大きな流れを推進するため,世界農業・食料安全保障プログラムを支持する。

55. 我々は,2020年に向けた栄養不良削減目標にコミットする,最近発表された「成長のための世界的な栄養コンパクト」を歓迎する。我々はまた,女性及び幼児の栄養不良の撲滅に向けた進展を加速化させる財政的及び政策的コミットメントを歓迎する。これらのコミットメントにおける進展は,我々が引き続き支持する栄養スケールアップ(SUN)運動を通じたものを含め,定期的に報告され,レビューされるべきである。

気候変動

56. 気候変動は,我々の将来の経済成長及び幸福のために最も重要な課題の一つである。我々は,科学に沿った形で,産業化以前の水準と比べて世界全体の気温の上昇を摂氏2度より下に効果的にとどめるために自らの役割を果たすよう,2020年までに温室効果ガスの排出量を大幅に削減し,その後の低炭素の道筋を追求する緊急の必要性に取り組むことに,引き続き強くコミットする。

57.我々は,以下を含む,ただし以下に限定されない他の関連フォーラムを通じて取り組まれる行動によって補完される,国連気候変動枠組条約(UNFCCC)における国内の,また,国際的な,野心的かつ透明性のある行動を追求する。
a.エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)において,我々は,MEF行動アジェンダの進展を確保し,2015年の世界的合意に向けた過程において相違を克服するため,パートナー達と共に取り組む。

b.国際民間航空機関(ICAO)において,我々は,航空による排出の増加に対処するための経済的及び非経済的双方の手法に関連する野心的なパッケージにつき,2013年9月の総会において合意することを求める。

c.国際海事機関(IMO)において,我々は,海運による排出の問題に対処するための更なる手法に関して,引き続き取り組む。

d.・我々皆が前回のサミットで参加することにコミットした,短期寿命気候汚染物質削減のための気候と大気浄化のコアリションにおいて,我々は,既に開始されている8つの世界的なイニシアティブに立脚して,科学的根拠の基礎及び民間部門の関与を更に進展させる。

58.我々は,気候変動を,増大する地球規模の経済及び安全保障上のリスクに寄与する要因として認識する。G8は,国際的な気候政策と持続可能な経済発展は互いに補強しあうものであることを想起しつつ,この課題及び関連するリスクにより良く対応するための手段を検討することで一致した。

59.UNFCCCにおいて,我々は,条約の下ですべての締約国に適用される新たな議定書,他の法的文書又は法的拘束力を有する合意結果が2015年までに採択され,2020年から発効し施行されることを確保するために取り組む。我々はまた,現在の各国のプレッジと必要とされているものとのギャップに重大な懸念を持って留意し,2020年までの期間に緩和に対する野心を増大させるよう取り組む。我々は,意味ある緩和行動及び実施の透明性の文脈において,2020年までに幅広い資金源から年間1000億米ドルの気候資金を共同で動員するという先進国の目標への我々のコミットメントを再確認し,国際的な気候変動資金の流れの透明性を改善し続けるための我々の努力を前進させている。我々は,2015年にフランスが議長国を務める用意がある気候変動枠組条約締約国会議における成功裡の世界的な合意に向け,2014年を通じて政治的意思を動員するための国連事務総長の努力を歓迎する。我々は,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書に期待する。

移行期にあるアラブ諸国とのドーヴィル・パートナーシップ
60. 中東・北アフリカ(MENA)の人々の自由,尊厳及び機会に対する願望は衰えていない。進展も見られるが,これらの地域は,引き続き深刻な課題に直面している。我々は,これらの地域における政治及び経済改革を引き続き支援することを誓約し,移行期にあるアラブ諸国の首脳に対し,民主主義,繁栄,開かれた経済並びに女性と女児の権利の尊重及び安全にかつ安心して信仰を実践する権利を含むより開かれた社会に向けた困難な移行を通じ,継続的に進展することを奨励する。

61. 我々は,協調された二国間又は多国間の支援を通じて,移行諸国が,持続可能かつ包摂的な成長を可能とし,雇用を創出するために必要となる経済的安定,構造改革並びに良きガバナンス及び腐敗防止のための改革を達成するために取り組むことを支援する。

62. 我々は,機構改革,更なる貿易,投資及び雇用創出を支援するためのプロジェクトを含む各国主導の改革を, MENA移行基金を通じたものを含め,パートナーからの他の支援とともに引き続き支援する。我々は,基金の初年において約100億米ドルのプロジェクトが承認されたことを歓迎し,250億米ドルの当初資金を確保するため,パートナーがこれまでに表明したプレッジを実現し,貢献を増やすことを奨励する。我々は,パートナーシップを超えて新たなドナーが基金に加わることを更に歓迎し,奨励する。

63. 我々は,野心的な二国間貿易投資協定並びに政府及びビジネスの資金アクセス改善等を通じ,この地域における更に拡大した貿易投資及び経済統合を引き続き支援する。我々は,近々イエメンがWTOに加盟することを期待し,リビアの加入への道筋を支援する。我々は,同地域におけるIFIs及び国際機関による投資を歓迎する。我々は,欧州復興開発銀行が移行期にある国へ更に投資を促進するために,同銀行の任務を地理的に拡大するための批准がすべての加盟国により間もなく行われることを歓迎する。我々は,若年層,女性及び中小企業(SMEs)が経済的安定及び成長のために果たしている極めて重要な役割を認識する。我々は,中小企業に対するメンター支援制度を提供する新たなイニシアティブと並行して中小企業行動計画を進めるため,IFIsと共に継続して取り組む。

64. 我々は,移行期にあるアラブ諸国への財産回復に関して,財産回復アラブ・フォーラムへの参加を含む高い水準のコミットメントを強調する。我々は,引き続き,二国間でのケースワークにおける協力を強化し,そして,実務家の協働を更に進める。G8各国は,2013年10月に開催される第2回財産回復アラブ・フォーラム(AFARII)に先立ち,2012年の財産回復行動計画の下でのコミットメントを果たすためとっている措置を提示するロード・マップを発表する。我々は,能力強化支援及び技術支援を行うために更に協調する。我々は,AFARIIの開催までに,法的文書上のアラビア語氏名の翻訳に関するグッド・プラクティスの原則に同意し採用するよう取り組む。我々は,中東・北アフリカ地域における財産回復のための活発な法執行ネットワークの発展を支援する。

65. G8の説明責任の伝統に従い,パートナーシップ諸国の外相は,2013年9月の外相会合においてコミットメントに対する進展評価報告書を検討する。

テロ対策

66. 我々は,どの地で起ころうと,あらゆる形態のテロ行為に対する非難を改めて表明する。我々は,アル・カーイダ及びその関連組織を含むテロ組織がもたらす,更に分散化し,地理的に多様化している脅威を引き続き懸念する。我々誰もがこうした脅威から逃れられない。実際に,キャンプ・デービッド首脳会議以降,すべてのG8諸国は国内又は海外においてテロ行為の影響を直接受けてきた。我々は,国連グローバル・テロ対策戦略を通じたものを含む国連の有益な指導的役割,G8ローマ・リヨン・グループの取組及びグローバル・テロ対策フォーラム(GCTF)の重要性を認識する。我々は,ホームグロウン・テロリストによるテロを含む自国民に対するテロの危険及び海外のパートナー国に対するテロの危険を減少させるために協働することにコミットしている。我々の対応は,人権と法の支配を尊重しつつ,強固で理知的で,かつ,過激化及び暴力的過激主義及びテロ資金供与(海外の国・地域を通じた資金の流れを含む)と闘い,また,テロリストが利用しようとする状況や不満に対し対処する包括的アプローチに基づかねばならない。

67. テロによる世界的脅威を認識する一方,アフリカ,特に西はモーリタニアから東はソマリアに至る弧を描く地域における最近の出来事は,いかにテロ行為が他の要因と組み合わさり安定と経済利益を脅かすかを示す。そのため,我々は,マリ北部においてテロリストの安住の地を解体する努力を支持する。我々はこの点におけるフランスの重要な貢献を歓迎する。5月15日にブリュッセルで成功裏に開催されたハイレベル国際ドナー会合に続き,我々は今,マリにおける国連安定化軍の早急な配置を支持し,マリ政府に対し長期的安定を構築可能な政治プロセスを強力に追求することを奨励する。我々はまた,テロ組織により激化された長年にわたる紛争後の平和と安全を再構築するソマリア連邦政府を支持し,アフリカ連合ソマリアミッション(AMISOM)のコミットメントを賞賛する。我々は,ソマリア政府の強固,公平かつ効果的な司法制度を構築する努力を支援する。我々は,ソマリアの国際金融機関との再関与という歓迎すべきプロセスの促進に寄与する経済改革の導入努力を支援する。

68. 我々は,テロの拡散を防ぎ北アフリカ及びサヘル地域における不安定化の要因に対処するための協調かつ一貫したアプローチを必要とする。我々は,国連,EU,AU,西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)及びGCTFによるものを含め,この地域において進められている取組の強化を追求する。我々は,テロ問題及びその要因が最も深刻な北アフリカ諸国における5つの行動優先分野を特定した。我々は,これらの諸国自身と緊密に協力し,この作業を進める。

69. 治安と法の支配に関する能力の構築:我々は,人権を尊重しつつ,テロリストの活動を特定し,中断させ,訴追するための能力を構築することを支援するために,国連,AU及びGCTFを通じた取組を含め,個別に及び集団的に取り組む。我々はまた,マリ及びソマリアにおけるEU訓練ミッションを含め,多国間の努力を支持し,チュニジアにおける国際司法・法の支配研修施設の設立を歓迎する。

70. 不法取引犯罪への対処及び国境保安の強化:我々は,各国による国境の監視及び管理能力を強化するとともにガバナンス及び法の支配を阻害し,いくつかの場合においてはテロリストへの重要な資金源となる,腐敗,国境を越えた組織犯罪,麻薬及び人身の不法取引といった要因に対する各国の対処に向けた努力を牽引している地域的機関及び国際機関に対し,政治的及び実践的な支援を提供する。我々は,この点において,国連薬物犯罪事務所(UNODC)の重要な取組を認識する。我々は,UNODCに対し,(GCTF及びECOWASの支持を得て,)国境を越えて移動するテロ組織に様々な手段により対処する上での協力を含む北西アフリカが直面する特有の課題を検討するため,この地域の諸国,ドナー及び適切な専門知識を有する者が一同に会するハイレベル会合の開催を奨励する。我々はまた,保護される又は絶滅の危機にある野生生物種の不法取引に対して行動をとる。

71. 暴力的過激主義への対抗:我々は,暴力的過激主義対策の取組を支持する。特に,GCTF及び,同フォーラムによる暴力的過激主義対策に関する初の国際センターであるヘダヤ・センター設立への支持を含め,各国におけるテロリスト活動を正当化しようとする過激主義の言説への対応を支持する。我々はまた,ぜい弱なコミュニティーに対する支援の提供及び暴力的過激主義に対抗する能力の構築を通じることも含め,勧誘と過激化という高まるリスクに取り組むための協力を強化することに専心する。

72. 多国籍企業のぜい弱性低減:海外直接投資は,経済成長をもたらす助けとなり,不安定化に対処する手段である。我々は,多国籍企業がスタッフと資産をテロから守りつつ高い脅威が存在する中で安全に展開することを支援するための我々の取組の指針となる一連の原則を策定しようとするG8ローマ・リヨン・グループの意図を歓迎する。合意されれば,我々は,これらの原則が世界規模で採用されることを奨励するよう目指す。

73. 不安定化のより広い要因への対処:貧困及び社会経済的格差は不安定化の要因となり,テロリストに利用されている。我々は, IFIsを含む国際的及び地域的機関が北アフリカにおける持続可能な開発と経済成長を促進する努力を支持し,安定,安全及び法の支配に市民が関与する状況を作り出すことを支援する。我々はまた,採取産業透明性イニシアティブ(EITI)及び適切な場合には義務的開示要求を通じ,鉱物資源の透明でかつ信頼できる管理を奨励する。我々は,「サヘル地域強靱性イニシアティブのためのグローバル・アライアンス」(AGIR-Sahel)プロセスの主導により農業及び生活を向上させるために行われた取組を支持する。そして,我々は,ドーヴィル・パートナーシップを通じ,開かれた経済及び包括的な成長に向け取り組む北アフリカに広がるアラブの春諸国の移行を支援する。

74. 我々は,これらの優先分野において進展をもたらすため,我々の共同の資源を利用することを決意する。この共同の努力は,我々の北アフリカ及びサヘル地域の国々との異なる歴史的,経済的,文化的及び政治的結びつき並びに我々の伝統的な能力構築に関する専門知識に応じた二国間協力により増大される。我々は,地域的及び国際的パートナーを含めた,国家安全保障補佐官または他の高級事務レベルによる更なるG8会合をこの後本年内に開催し,進ちょく状況を検証し,我々の目的を更に推し進めることに合意した。

テロリストによる身代金目的の誘拐による脅威及び国際社会が取り得る予防的措置
75. 国際社会は,テロ組織への資金の流入との闘いにおいて,大きな進展を成し遂げてきた。しかし,我々は,アル・カーイダ関連及び他の世界規模のイスラム過激派グループが,過去3年間で身代金支払により,数千万ドルを集めたと見積もっている。サヘル地域からアフリカの角に至るテロリストに対する身代金の支払が,地域の不安定化及びイナメナスのような大規模攻撃の誘因となった。テロリスト・グループへの身代金の支払が,彼らのリクルートに向けた活動を支え、テロ攻撃を組織し実行する彼らの作戦能力を強化し,将来的な身代金目的の誘拐事件に対するインセンティブを強める収入源の一つであり,それによって我々の国民に対するリスクが増大している。

76. 我々は,関連の国際条約に従って,我々の国民を守り,テロリスト・グループがその生存及び繁栄を可能とする資金を得る機会を減少させることにコミットしている。我々は,加盟国に対し資金及びその他の資産凍結を通じて国連アル・カーイダ制裁レジームの下で指定されたテロリストに対する直接又は間接的な身代金の支払を防止するよう求める国連安保理決議第1904号(2009年)に従い,テロリストに対する身代金の支払を全面的に拒否する。

77. 我々は,例えば,グローバル・テロ対策フォーラム(GCTF)により推奨されたもの,特に「身代金目的の誘拐によって利益を得ることを防止・否定するためのグッド・プラクティスに関するアルジェ・メモランダム」における努力など,誘拐を防止し,身代金を支払うことなく人質の安全な解放を確保するための努力を歓迎する。我々は,G8ローマ・リヨン・グループにおけるものも含め,この問題の理解を深めるための更なる専門的議論を奨励する。我々はまた,援助機関・メディア,旅行・保険会社及びその他の企業を含む民間部門のパートナーに対し,テロリストによる誘拐を防止し,これに対応するための類似のガイドライン及びグッド・プラクティスを作成することを奨励する。

78. 我々は,世界規模の資金洗浄防止枠組み及びテロ資金供与対策枠組みの改善に向けた金融活動作業部会(FATF)の現行の作業を通じてテロリスト・グループの資金及び金融サービスへのアクセスを減少させるための努力を、引き続き支持する。我々は,すべての国に対して,改訂されたFATF基準を効果的に実施するよう求める。

79. しかし,最悪のことが起きた場合,我々は,テロリストによる誘拐に対応している国家に対して、適当かつ可能な時には,情報共有及び専門家による助言又は支援若しくは人質救出に関連するリソースの提供を通じて相互支援を提供することに合意する。我々はまた,テロリストをより効果的に訴追すること及びテロリストが責任回避をしないよう確保することを通じたものを含め,将来的なテロリストによる誘拐を阻止し,これに対応する準備を行っている国家に対する能力構築支援のためのイニシアティブを支持する。

80. 我々は,身代金目的の誘拐という脅威に対する国際社会の認識を高めるため,国連における新たなメカニズムに関する議論を呼びかけるとともに,この脅威に対処し,これを緩和するための更なる国連安保理決議を検討するよう提案する。

81. 我々は,他の形態の誘拐に対処し,また,海賊の脅威を減らすための国際社会の努力を強く支持する。

外交政策

82. 我々は,シリアにおける流血及び人命の損失を止めるため協働すること及び政治的手段を通じ平和と安定を構築するためシリア国民を支えることを決意する。
我々は,9万3千人以上の命を奪い,420万人の国内避難民及び160万人の近隣国への難民を生み出していると国連が見積もる甚だしい人道上の悲劇を深刻に懸念する。我々は,紛争と難民の流入の結果として直面している重大な経済的及び安全保障上の圧力に対処する上で,近隣のシリア難民受入れ国,とりわけレバノン及びヨルダンが果たす重要な人道上の役割を認識する。

83. 2013年における52億米ドルの最新の国連によるアピールに反映されているような特別な人道上の必要性を踏まえ,我々は,問題の規模相応の格段の貢献を行う決意である。この会合においてG8首脳は,シリア及び近隣国における人道的ニーズを満たすため約15億米ドルの追加的貢献を確認した。我々は,課題の規模に鑑み更なる貢献が必要となると認識する。我々は,他の国及び機関に対しても同様のコミットメントを行うことを要請する。我々は,特にクセイルのように最も悪影響を受けている地域において,人道上の原則及び国際法に従い,援助を必要とするすべての市民に人道上の支援を提供するための即時のアクセスが援助機関に対し与えられるよう求める。

84. 我々は,この危機に対する政治的解決を,統一され,包摂的かつ民主的なシリアというビジョンに基づき達成することに引き続きコミットする。我々は,相互の同意により形成される完全な執行権をもつ移行統治機構についての合意を始めとするいくつかの主要な措置を詳述した2012年6月30日のジュネーブ・コミュニケを完全に実施するためのシリアに関するジュネーブ会議のできるだけ早期の開催の決定を強く支持する。ジュネーブ・コミュニケに述べられているとおり,公的なサービスは維持又は回復されるべきである。これは,軍及び治安部門を含む。すべての政府機構及び国の機関は,専門的かつ人権基準に基づいて任務を遂行しなければならず,国民の信頼を喚起するトップのリーダーシップの下で,また,移行統治機構の指揮下で機能しなければならない。

85. この会議における両者は,真剣かつ建設的に関与しなければならない。両者は,シリア国民を完全に代表すべきである。ジュネーブ・コミュニケの実施並びに安定及び和解の達成にコミットする者を含めるべきである。我々は,成功裏の結果を達成するために関係者と積極的に関与する。シリアは,少数派やすべての宗教団体を含め,すべてのシリア人に帰属しなければならない。

86. 我々は,シリアにおいてテロ及び過激主義の脅威が増大していること,また,紛争が一層宗派的な性質を帯びてきていることを深く懸念する。我々は,ジュネーブ会議においてシリア当局及び反体制派に対し,アル・カーイダに関連したすべての組織及び個人並びにテロに関連付けられる非国家主体を破壊すること及びシリアから追放することに共同でコミットするよう,呼びかける。我々は,特に移行期間を通じた国家機構の継続性の維持及び治安部隊が実効的で説明責任を有し,テロと過激派の脅威に対応することが可能であることを確保することにより,シリアの移行,回復及び復興ニーズに関する国連の計画を支援する。

87. 我々は,シリアにおけるあらゆる化学兵器の使用を非難し,国連事務総長により委任された国連調査チームにアクセスさせるよう紛争の全関係者に対して求め,化学兵器の使用に関する報告の中で客観的な調査を行うため,化学兵器禁止機関(OPCW)や世界保健機関(WHO)の専門的知見を活用する。国連調査チームは,報告を作成し,国連安全保障理事会での評価のために提出すべきである。我々は,化学兵器の使用に責任があると認められ得る者はその責任を問われることを決意する。我々は,国際的な検証の下でそれらが破壊されるまでの間,シリアにおけるすべての化学兵器の安全な保管を確保することの必要性を強調する。我々はまた,市民に対する無差別の攻撃を含め,シリアにおけるいかなる者によるあらゆる人権侵害及び濫用を最も強い言葉で非難する。我々は,この点に関しシリア当局が特に有している責任に留意し,両者に対して国際人道法及び人権法を尊重することを要請する。

88. 昨年のリビアにおける過去40年間で初めての選挙に続き,我々は,ゼイダーン首相の責務の下でリビア政府が果たした進展を歓迎する。我々は,具体的な成果を出しつつ,この進展を継続するよう,政府に奨励する。より安定し,民主的かつ繁栄した将来に向け効果的に移行することを確実とするために,我々は,国連リビア支援団(UNSMIL)により調整された国際社会による継続的かつ持続可能な関与を要請する。このような関与は,治安及び司法部門機関の実効性及び能力を強化し,民主主義への成功裏の移行を完了させ,そして,40年間に及ぶ不適切な運営を受け,リビア経済を発展させ,公共サービスの提供を向上させるためのリビア政府の努力を支援すべきである我々は,すべてのリビア市民に対し,法の支配の尊重の下,和解と平和的かつ包摂的な方法による憲法改正の政治的な過程に関与することを奨励する。

89. 我々は,すべての関係者が公平で,永続的かつ包括的な中東和平に向けて早急に取り組むべきことに合意した。我々は,イスラエル及び他の近隣諸国と独立した,民主的で,隣接しかつ存続可能なパレスチナ国家が平和的かつ安全に共存する二国家解決を支持する。我々は,2011年9月23日の中東和平カルテットの声明に留意し,信頼を構築するために必要な措置をとることを求め,また,両者に対し前提条件のない直接交渉の再開に向けて取り組むことを求める。我々は,パレスチナ自治政府及びその国家建設努力への支持を確認し,国際社会がパレスチナ経済の再活性化のための最大限の支援を行うよう奨励する。

90. 我々は,2013年半ばからアフガニスタン全土で治安に関する主導権を担うことにおいてアフガニスタン治安部隊により図られた進展を認識する。我々は,統治機構を強化し,腐敗及びテロの脅威と闘うというコミットメントをアフガニスタン政府が果たす上で,引き続き支援する。我々は,アフガニスタン政府が,国際社会の支援によって,麻薬の不正な生産,貿易及び取引により効果的に取り組むことの継続的な必要性を強調する。これは,ケシの栽培及びアヘンの生産,取引及び消費を減らすための更なる措置を含むべきであるである。2014年の大統領選挙及び県議会選挙は,「東京フレームワーク」の下で合意されたとおり,信頼でき,包括的かつ透明性あるものとなるべき。すべてのアフガニスタン国民が国の政治的将来に平和に参加できるようになるべきである。我々は,暴力を放棄し,テロ集団との関係を絶ち,かつ,人権規定特に女性とマイノリティー含む人権に関するアフガニスタン憲法を尊重するとの原則に基づく包摂的なアフガニスタン主導かつアフガニスタン自身による和解プロセスを支持する。アフガニスタンへの我々のコミットメントは,安定した地域内において,この重要な権限移譲の年を超えて続く。

91. 大量破壊兵器及びそれらの運搬手段の拡散の防止は,最優先事項である。このような拡散は,国際的平和及び安全に対する大きな脅威である。

92. 国連安保理決議及び国際原子力機関(IAEA)理事会の決議に反してイランが開発を継続する核計画は,引き続き深刻な懸念材料である。我々は,イランに対し,これらの国際的な義務を完全かつ遅滞なく遵守することを再度要請する。我々は,国連制裁の完全な履行を確保するよう国際社会に求める。我々は,イランが,軍事的側面の可能性に関する疑問の解決を含むイランの核計画のすべての面についてIAEAに完全に協力するとともに,我々の求める核問題の外交的解決を見いだすために,EU3+3(中国,フランス,ドイツ,ロシア,英国,米国)と積極的かつ建設的に関与することが不可欠かつ喫緊のものであることを強調する。我々は,国際社会の懸念にイランが即時に対応することによってのみ国連安全保障理事会が承認したデュアル・トラック・アプローチに沿ってイランが更なる孤立を回避し状況を改善することができることを再確認する。我々は,イランに対し人権の義務を完全に尊重することを強く求める。我々は,ローハニ次期大統領選出に留意し,イランに対し,国際社会との相違を解消するためにこの機会を生かすことを要請する。

93. 我々は,北朝鮮の核及び弾道ミサイル計画を引き続き深く懸念する。北朝鮮は,完全な,検証可能な,かつ不可逆的な方法で核及び弾道ミサイル計画を放棄することにより,自らの国際的な義務を果たさなければならない。北朝鮮は,信頼性のある真正な多国間協議に建設的に関与し,挑発行為を自制しなければならない。北朝鮮は,関連する国連安保理決議及び2005年9月19日の六者会合共同声明の下での自らの義務を遵守しなければならない。北朝鮮がこれらの義務を果たすことを拒否する中,我々は,北朝鮮に対する国連制裁の完全な履行を確保することを国際社会に呼びかける。我々は,北朝鮮に対し,拉致問題及び北朝鮮に戻された難民の取扱いを含む人権侵害に関する国際社会の懸念に取り組むよう求める。

94. 我々は,4月11日にG8外相により採択された歴史的な「紛争下の性的暴力防止に関する宣言」を歓迎し,その早期の実施を奨励した。この宣言は,国際的武力紛争下のレイプや重大な性的暴力がジュネーブ諸条約の重大な違反を構成するとのG8諸国による認識を含む政治的及び実際的要素を含んでいる。

原子力安全

95. 東京電力福島第一原子力発電所事故から2年が経過したが,世界中で最高水準の原子力安全を達成及び維持することは,引き続き優先事項である。我々は,国際協力の重要性及び原子力安全に関するIAEA行動計画に対する完全な支持を再確認する。我々は,自国の能力の範囲で及び共同して,引き続き行動計画の実施に最大限貢献していく。この点に関し,我々は,IAEAにおける原子力安全条約の実効性を向上させるための取組を賞賛及び支持し,原子力の緊急事態に係る準備及び対応に関する各国の能力並びに国際的メカニズムに加え他の関連する条約の実施を更に強化する必要性を強調する。

結び

96. 我々は,ロシア議長の下,2014年6月4-5日にソチにおいて会合することを楽しみにしている。

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