外交政策

平成25年10月22日
10月20日,外務省は,国連工業開発機関(UNIDO),経済開発協力機構(OECD)及び北九州市との共催により「都市づくりの将来に関する国際会議」を北九州市で開催したところ,概要は以下の通り。
 
1 全体概要

(1)本会議は,昨年6月の国連持続可能な開発会議(リオ+20)において我が国が発表した「緑の未来」イニシアティブを受け,環境に優しい都市づくりを進めてきた北九州市の市制50周年記念事業「エコマンス」の機会を捉えて開催されたもの。

(2)「都市づくりの将来に関する国際会議」では,午前中の外務省セッションに続き,午後はUNIDOが「東南アジアにおけるエコ・シティの推進」,OECDが「首長フォーラム~躍動するアジア都市のグリーン成長」と題したセッションをそれぞれ実施。国内外から都市づくりに関与する政府関係者や学者,学生,民間企業関係者の参加を得て,持続可能な都市づくりの重要性につき議論し,各国の先進的経験・知見の共有やその国際的普及方策について意見交換を行った。

(3)その他「エコマンス」期間中には北九州市がエコテクノ(環境関連技術の展示)やエコライフステージ(市民団体,学校,企業などによるエコライフの提案)等一連の環境関連行事を実施し,持続可能な都市づくりの重要性について,北九州から世界に力強いメッセージを発信した。
 
2 外務省主催セッション 「持続可能な都市づくり~2015年より先の国際開発目標を見据えて」

(1)登壇者
パネリスト(発言順):
ウ・ホンバオ 国連経済社会局長
ジョアン・クロス 国連HABITAT事務局長
スレンドラ・シュレスタ 国連環境計画国際環境技術センター(UNEP/IETC)所長
北橋 健治 北九州市長 
モデレーター:香川剛廣外務省地球規模課題審議官
 
(2)議論概要

ア モデレーターより,近年の都市人口の急増等にともない都市づくりに関する国際的関心が高まっている旨,及び現在国連において2015年より先の世界の開発のための目標を策定する議論が進んでいる旨紹介。このような背景を踏まえ,世界の持続可能な開発に向けて,都市づくりはどのような重要性を持つのかについて議論するとのセッションの目的を紹介。
 
イ 上記紹介を踏まえ,持続可能な開発のために都市づくりが持つ意味について,パネリストが発言。
ウ国連社会経済局長は,持続可能な開発目標(SDGs)関連交渉等,ポスト2015年開発アジェンダ策定に向けた国連での議論を紹介するとともに,世界の都市に住む人々は今後も増加し続けており,持続可能な都市づくりの重要性はさらに増していくとの考えを述べた。
クロス国連HABITAT事務局長は,持続可能な都市づくりは今や都市ごとの問題ではなく国家レベルで取り組むべき喫緊の課題となっている点を指摘,政府は自治体と連携して自治体の取り組みをも包摂した計画作成等,新たなアプローチを取るべきである旨発言。
シュレンドラUNEP/IETC所長は,環境問題全般を概観した上で循環型社会および気候変動に適応できる都市づくりの重要性を強調。拡大を続けるアジアやアフリカの都市が環境問題を抱えてから対処するのではなく,問題が生じる前に予防をするべく,廃棄物処理や低炭素分野で優れた日本の環境技術を共有することが,各国における持続可能な都市づくりの鍵である旨発言。
北橋市長は,公害による環境汚染を克服した北九州市の努力と取組の歴史を振り返り,これら取組は市民とのパートナーシップによるものであることを強調。北九州市はすでに30年以上に亘りアジアを中心に技術支援を実施,地域同士が直接顔を合わせwin-winの関係を作ることの重要性を経験に基づき説明。
 
ウ 続いてフロアからの質問も交え,活発な議論を行った。ネパールやフィリピンの参加者から,途上国がスラム問題等を抱える中で,どのように環境に配慮した都市づくりを推進できるかについて質問があったのに対し,パネリストからは都市環境改善には政治的・技術的取組が両輪として機能する必要があり,バランス感覚が不可欠(クロス事務局長),ポスト2015年開発アジェンダに向けても都市の発展のあり方は重要であり,環境技術の共有が鍵となる(ウ局長)旨指摘する等した。
 
エ 最後にモデレーターより,都市づくりに関連する諸問題は増大・深刻化しており,今後の開発を考えるに当たって各国政府が重視し,また協力して取り組むべきテーマであること,このため,Think Globally, Act Locallyという考え方で,自治体と連携してその知見や現場の経験を活用しつつ,世界の持続可能な都市づくりに貢献する必要があることが確認されたとして,議論を総括した。

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