経済外交

平成25年10月8日
(写真提供:内閣広報室)
 10月7日及び8日,インドネシア・バリにおいてAPEC首脳会議が開催され,我が国からは,安倍晋三内閣総理大臣が出席した。ユドヨノ大統領の議事進行の下,「多角的貿易体制」,「連結性の促進」,「衡平性を伴う持続可能な成長」について議論が行われた。
 また,会議の成果として,APEC首脳宣言「強靱なアジア太平洋,世界成長のエンジン」(骨子(PDF)PDF日本語仮訳(PDF)PDF英語原文(PDF)PDF)及び「多角的貿易体制への支持及び第9回WTO閣僚会議(MC9)に関する独立文書」(骨子(PDF)PDF英語原文(PDF)PDF)が発出された。
 
1.首脳会議の概要

 (1)議題1:多角的貿易体制

 (ア)安倍総理から,冒頭発言者の一人として,「結束した多角的貿易体制の土台としてのFTA・地域貿易協定(RTA)」をテーマに次の点を発言した。
  1. 「成長戦略」の着実な実施等による日本経済の再生に向けた取組により,APEC地域,ひいては世界経済の成長へ貢献していく。
  2. TPP,東アジア地域包括的経済連携(RCEP),日中韓FTA等経済連携の推進は,成長戦略の重要な柱。これらに参加する立場を活かし,地域経済の活性化の議論に積極的に貢献していく。
  3. WTOを中心とする無差別で開かれた多角的貿易体制は重要。地域経済連携の取組をWTOでの自由化・ルールづくりに結びつけるためには,12月開催の第9回WTO閣僚会議(MC9)で具体的成果を得ることが不可欠であり,その実現に向けてAPEC首脳が強い政治的意思を示すべき。また,情報技術協定(ITA)の拡大に向けた交渉を一刻も早く再開させ,迅速な妥結に向けた力強いメッセージを発したい。

 (イ)発言した全ての首脳からは,APECの経済成長を一層高めていくためには,保護主義を抑止し,域内の貿易・投資の自由化を進めていくべき,MC9を成功させ,ドーハ・ラウンドを一層前進させていくように,APEC首脳が強い政治的意思を示すべき等の意見が述べられた。
 
 (2)議題2:連結性の促進

 多くの首脳から,アジア太平洋地域の連結性の強化が地域全体の経済成長に資するという認識が共有され,特に,道路・港湾をはじめとするインフラ整備,ITの取組,国境を越えた教育協力,災害への対応,ビザの緩和を含む観光の促進等の取組を通じて,APEC地域の連結性の促進を進める旨発言があった。(安倍総理の発言はなし)
 
 (3)ワーキングランチ:衡平性を伴う持続可能な成長(食料・水・エネルギー安全保障)

 安倍総理からは,「責任ある農業投資」の概念に基づく農業投資,生産・加工・流通をつなぐバリュー・チェーンの整備の重要性等について発言した。
また,水と衛生分野の日本の経験・知見・技術を用いて積極的に貢献する旨発言した。
エネルギー分野については,経済成長と省エネ・エネルギー効率向上を同時に実現した先駆者として,高効率石炭火力発電技術等の共有,二国間クレジット制度の活用などを進め,この分野に貢献したい旨発言した。
 
 (4)太平洋島嶼国首脳との対話

 今次会議にゲストとして招待された太平洋島嶼国の首脳等と海面上昇など気候変動問題について意見交換が行われた。
 
2.ビジネスとの連携

 今次APEC首脳会議の機会には,安倍総理は,APECビジネス諮問委員会(ABAC)委員との対話を行ったほか,域内のビジネス指導者が集うAPEC・CEOサミットにおいて,日本経済の再生に向けた経済政策に関する講演を行い,高い評価を得た。
 
3.会議の評価

(1)世界の成長エンジンたるアジア太平洋地域の首脳が一堂に会し,多角的貿易体制の重要性について改めて認識し,MC9の成功に向けたコミットメントを再確認し,保護主義の抑止に取り組むとした独立文書が発出されたことは,国際社会に向けた強いメッセージとなった。

(2)アジア太平洋地域の連結性を強化し,地域統合へ向けた動きを促進するべきとの認識が共有された。今後,具体的な協力内容につき検討する必要がある。

(3)また,ABACやCEOサミットにおいて,ビジネス関係者をはじめとする多くの聴衆に対し,アベノミクスの推進を通じた日本経済の再生に向けた取組をアピールすることができた。


2013年APEC首脳会議(成果文書)

多角的貿易体制への支持及び第9回WTO閣僚会議(MC9)に関する独立文書(骨子(PDF)PDF英語原文(PDF)PDF
 

経済外交へ戻る