経済外交
2013年インドネシアAPEC閣僚会議(概要)
平成25年10月5日



10月4日及び5日,インドネシア・バリにおいて,APEC閣僚会議(議長はマルティ・インドネシア外務大臣,ギタ同商業大臣)が開催され,21ヶ国・地域の外務大臣,貿易担当大臣等が参加した(我が国からは,岸田文雄外務大臣,茂木敏充経済産業大臣が出席)。
2013年インドネシアAPECのテーマ,「強靱なアジア太平洋地域,世界の成長エンジン」の下,貿易・投資の自由化・円滑化,地域の経済連携の推進,衡平性を伴う持続可能な成長の達成,地域における連結性の促進等,幅広い分野について意見交換が行われた。今次会合の成果として,「閣僚声明」が発出された。議論の概要は以下のとおり。
1 地域の現状・課題,APECと地域の経済枠組み
(1) アジア太平洋地域の経済成長に向けた各APECメンバーの幅広い取組につき意見交換が行われた。地域の経済成長のためには,地域の平和と安定が重要であることを確認した。
(2)アジア太平洋地域に併存する経済枠組みについて議論が行われ,APECと他の国際的・地域的な枠組みとの間で相乗効果を生むとともに,相互補完関係を確保することの重要性を確認するとともに,本件については,2014年に向けて議論を行っていくこととなった。
(3) 日本からは,概要以下を発言。
ア 成長戦略をはじめとする日本の取組の実施がAPEC地域,ひいては世界経済の成長への貢献となる。
イ APEC地域が安定したビジネス環境を実現し,一層の経済成長をしていくためには,地域全体で「航行の自由」をはじめとする「法の支配」が確立することが重要。
ウ APECの意義として,(1)域内の地域貿易協定の透明性の向上,(2)非拘束性を原則とするAPECの特性をいかした,他のフォーラムよりも先進的な取組,(3)ビジネス・ニーズへの的確な対応が指摘できる。
2 WTOドーハ・ラウンド交渉,第9回WTO閣僚会議,ボゴール目標
(1) 第9回WTO閣僚会議の成功に向けた各国の政治意思が表明されるとともに,多くの国から,情報技術協定(ITA)の拡大に向けてAPECとして強いメッセージを出すべきであるとの発言があった。
(2) また,ボゴール目標の達成については、2020年の目標に向けた進展が歓迎される一方で、多くの国から、サプライ・チェーンの効率性のさらなる向上、人材育成支援を含むキャパシティ・ビルディングの必要性などについて指摘があった。
(3) 日本から,概要以下のとおり発言。
ア 第9回WTO閣僚会議(MC9)の成功に向けて,貿易円滑化などの交渉加速、情報技術協定(ITA)拡大交渉のMC9までの妥結を図るとともに、スタンド・スティルの約束の期限を2016年末まで1年間延長すべき。
イ 日本はFTAAPのインキュベータ(育ての親)としてのAPECの役割を重視。TPP,RCEP等の地域経済統合に向けた交渉が進み,2010年に横浜で合意された「FTAAPへの道筋」が着実に進展していることを評価。
ウ こうした地域経済統合の全てに関与する我が国は、その強みをいかして橋渡しの役割を主体的に担いリードする。
3 衡平性を伴う持続可能な成長,地域における連結性
(1) 出席者から,衡平性を伴う持続可能な成長の実現に向けた取組として,中小企業支援,女性の社会進出,再生可能エネルギー等の分野における取組につき説明があった。
また、APEC地域の連結性の促進については、インフラ整備,サプライ・チェーンの整備,国境を越えた教育協力等の取組を進めることで一致した。
(2) 日本から,衡平性を伴う持続可能な成長については、中小企業と進出先の現地企業のパートナーシップを強化する「中小企業海外展開支援現地プラットフォーム」の整備、女性の活躍推進に向けた我が国の成長戦略などを紹介。また、環境分野の投資促進等に寄与する取組として、我が国が主導する「二国間クレジット制度」を紹介し、その重要性が確認された。
(3)また,日本から、APEC域内の連結性促進に向けては,インフラ整備におけるライフサイクルコストの重要性を指摘するとともに、インフラの輸出,災害への取組,青少年交流,ビザ発給要件の緩和による観光・ビジネス交流,女性の社会進出支援をはじめ,これまで培ってきた日本の経験・知見を用いて貢献していく考えを示した。
- 閣僚声明(骨子)(PDF)
(71KB)
- 閣僚声明(英語)(PDF)
(587KB)