外交政策
軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第7回外相会合(概要と評価)
平成25年9月24日



1 全体概要
9月24日,ニューヨークのインターコンチネンタルホテルにおいて,軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)第7回外相会合が開催された。NPDIは,2010年9月の国連総会の機会に日豪主導で立ち上げた,核軍縮・不拡散分野における地域横断的な有志国グループであり,本件外相会合は,今年4月にハーグで行われた第6回会合に続く7回目の会合。午前12時10分から13時まで外相会合,その後13時5分から13時20分まで共同記者会見が行われた。政治レベルの出席があった国,及び新規参加国のナイジェリアとフィリピン出席者は以下のとおり。
我が国 | 岸田外務大臣(議長) |
豪州 | ビショップ外相(共同議長) |
ドイツ | ヴェスターヴェレ外相 |
トルコ | ダーヴトオール外相 |
カナダ | イェリック外務担当国務相 |
ナイジェリア | アヨコ寿府代次席大使 |
フィリピン | ガルシア外務次官 |
- 2 会合の概要
(1)新規参加国の歓迎
岸田大臣より,NPDIへの新規参加国として,ナイジェリアとフィリピンの紹介があり,出席者から拍手で迎えられた。ナイジェリアからは,核兵器がもたらす人道的影響へ言及しつつ,NPDIの成功に向けた貢献への意欲が述べられ,フィリピンからは,NPDIが核兵器国と非核兵器国とのギャップを埋める役割を果たしていること,フィリピンが議長を務めた2010年運用検討会議の成果を2014年のNPT第3回準備委員会,2015年運用検討会議に向け前進させていきたいとの決意が述べられた。
(2)2015年NPT運用検討会議第3回準備委員会に向けた取組
岸田大臣より,核兵器の人道的影響が新たな動きとして注目を集めている点に言及し,共同ステートメントにおいて示された,核兵器の使用が直後の被害のみならず,社会経済や将来世代にわたって耐え難い損害をもたらすという考え方に強い支持を示したほか,本件に関する議論に積極的に参加し,全ての国にとってオープンかつ普遍的なアプローチで議論が進むよう努力したいと述べた。
メキシコのロブレド外務次官からは,2014年に本件に関する会合を開催し,オスロ会合のフォローアップとして,核兵器の使用がもたらす環境,食料安全保障を含めた長期的な影響について取り上げる考えである旨発言があった。
また,トルコのダーヴトオール外相から,人類の未来に責任を負う立場から核軍縮・不拡散に取り組む必要性を強調するとともに,広島外相会合に向けた連帯が表明された他,各国の出席者から,核軍縮の象徴である広島で来年外相会合が開催される意義が強調され,出席の意図表明がなされた。また,複数の出席者から,中東非大量破壊兵器地帯設置構想国際会議の早期開催に向け,関係者へ働きかけを含むサポートの必要性が指摘された。
(3)核軍縮ハイレベル会合における共同ステートメントの承認
ビショップ豪外相の締め括り発言の中で,26日の核軍縮ハイレベル会合における共同ステートメント(ティマーマンス蘭外相が実施予定)を承認した。
3 評価
(1) 今次会合では,ナイジェリアとフィリピンを新たにメンバーに加え,これまでグループの課題であったアフリカとアジアからの地域代表性を向上させ,核軍縮・不拡散分野におけるグループの存在感を更に高めることができた。
(2) また,来年4月の広島外相会合を含め,来年のNPT運用検討会議第3回準備委員会に向けた取組において,複数の出席者から,核兵器の人道的影響について議論し取り組んでいく意欲が示され,グループ全体にとっても,この課題が重要な関心事項となっていることが伺えた。
(3) その関連で,広島外相会合について,出席者から,核軍縮の象徴である広島に外相が集う重要性が述べられたほか,会合への出席の意気込みが語られたことは,広島会合への期待の高さを示すものであった。