外交政策

(9月23日(月曜日) 於:国連本部)

平成25年9月23日
議長、
御列席の皆様、
 
 本日、このサイドイベントを主催されたクラーク議長に、日本国政府を代表して感謝申し上げます。
 
 現行MDGsの達成に向けて国際社会が協力してきた結果、これまで多くの進展がありました。しかし、達成されていない目標はまだ多くあります。2015年の期限に向け、我々は目標達成のための努力を加速化しなければなりません。
 
 同時に、ポスト2015年開発目標のプロセスは、様々なステークホルダーを巻き込んだ包摂的なものであるべきです。そうした観点から、国連開発グループによる世界規模協議を高く評価します。ポスト2015年開発目標は、MDGsの成功と教訓を踏まえ、新たな発想と強い決意で策定する必要があります。日本としては特に以下の3点が重要と考えます。
 
 第一に、様々な開発目標を実現していくためには、経済成長と雇用創出が不可欠です。経済成長の基盤となるインフラを整備し、人材を育成し、成長で生み出された富を更に経済、社会の開発に投資していくことで、貧困の削減から更に踏み込んで、極度の貧困の撲滅を目指すことが可能になります。
 
 第二に、現行MDGsでは必ずしも十分対応できていない、社会の歪みへの対処も必要です。国内格差の拡大への対応、地球環境の限界への考慮なくして、持続可能な開発はありえません。また、女性、子ども、若者、障害者、紛争地域で苦しむ人々など、社会の脆弱層に配慮し、「誰ひとりとして取り残さない」という覚悟で目標を立てる必要があります。
 
議長、
 このような社会の脆弱層への配慮を含め、人間を中心にしたアプローチが重要です。また、開発の果実は、あくまで人間一人ひとりにもたらされなければなりません。個人の保護及び能力強化を通じた社会づくり、国づくりなくして、持続可能な開発はありえません。ポスト2015年開発目標においては、人間の安全保障こそ指導理念とすべきであると訴えたいと思います。
 
 人間の安全保障に直結する課題として、例えばユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、UHCが挙げられます。個別疾病中心から、人間個人を中心に捉える発想に立って、UHCを推進し、より高い健康、医療のニーズにこたえることを目標とすべきです。そしてUHCを実現する鍵は、女性や障害者など、脆弱な人々への対策です。9月25日、日本は、関係国・機関と共に、保健と開発に関するサイドイベントを開催いたします。
 
 最後に、災害に負けない強靱な社会を作ることも人間中心に考える必要があります。被災者を支援、保護するとともに、人々が被災から立ち上がり、自立していくことは、人間の安全保障の理念そのものです。2年前、未曾有の大震災を経験した被災地の仙台で、2015年3月に第3回国連防災世界会議を開催します。皆様の御協力をお願いします。
 
 エネルギーや食料、水、環境汚染、気候変動など、世界は山積する問題に直面しています。途上国も先進国も、現行MDGsの達成のため協力して取り組むとともに、2015年には、さらに包摂的で野心的な目標を立てる必要があります。日本は、人間の安全保障の理念を掲げて、そのような新しい国際開発目標の策定に向けて、引き続き国際社会と協力してまいります。
 
 御静聴ありがとうございました。

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