外交政策
アジア諸国向け気候変動政策対話 結果概要
平成25年8月30日
8月27日(火曜日)から8月29日(木曜日)の3日間,東京においてアジア諸国13か国の気候変動交渉関係者を招待して,「アジア諸国向け気候変動政策対話」を開催した。1日目及び3日目は,気候変動分野におけるアジア諸国の取組,我が国のアジア諸国への支援,二国間クレジット制度の現状,そして,本年末にポーランドにて開催される国連気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)に向けた気候変動交渉について意見交換するとともに,民間を含めたさまざまなステークホルダーも招いてアジア諸国と我が国との今後の協力の方向性について議論を行った。また,2日目には我が国の先端的な環境技術を活用したスマートビルディングや高効率石炭火力発電所の視察等を行った。
アジア諸国の参加者からは,本政策対話は,我が国の気候変動対策に対する積極的な姿勢を理解する良い機会になったとの好意的な評価が得られ,地方自治体やNGO,企業関係者等との意見交換や関連施設への視察を含む包括的なプログラム設定に関して感謝の意が表明された。また,気候変動交渉においても,COP19に向け,アジア諸国として我が国と引き続き良く連携していきたい旨が述べられた。
それぞれの日程の概要は以下のとおり。
1. 気候変動分野における支援・協力についての意見交換(27日,29日)
(1)気候変動分野におけるアジア諸国の取組
我が国から地球温暖化対策のための税や再生可能エネルギー固定価格買取制度など我が国の取組を紹介するとともに,我が国のアジア諸国への気候変動対策支援の概要を説明した。フィリピン,パキスタン,ネパール,ベトナム等が,自国の取組について説明し,各国ともに気候変動による悪影響を軽減させるための適応策に取り組んでいることに加え,一部の国はCO2排出削減にも積極的に取り組んでいる状況にあることを共有した。
(2)マルチの枠組みを通じた気候変動協力
我が国から気候変動分野に関するマルチの資金協力の仕組みや主な援助機関・基金等について包括的な説明をするとともに,我が国のマルチの枠組みを通じた協力について,説明がなされた。参加国からは,我が国からの支援に対する謝意とともに,今後,正式に設立・活動が開始される緑の気候基金への期待が表明された。
(3)二国間クレジット制度の現状と今後の展望
我が国側から二国間クレジット制度の概要と各国との協議の現状,各国でのフィージビリティ・スタディの状況等の説明を行い,その後,二国間クレジット制度に合意済みであるモンゴル,バングラディシュが,それぞれの現状について説明した。一部のアジア諸国の参加者から同制度への関心が表明された。
(4)ナレッジプラットフォーム/LOCARNET
気候変動分野における我が国が主導するネットワークであるナレッジプラットフォーム,LOCARNET,AIMについて,我が国側からそれぞれの概要と現状について説明を行った。アジア諸国の参加者からは,情報共有は非常に重要であること,東アジアや東南アジアでのネットワークが活発であるが,南アジアにおいても同様のネットワークが活用できることへの期待が表明された。
2.COP19に向けた気候変動交渉についての意見交換(29日)
COP19に向けた気候変動交渉に関し,COP19で目指すべき成果,2020年以降の将来の枠組みの在り方,気候変動資金等について活発な議論が行われた。
3.様々なステークホルダーとの議論(29日)
気候変動に関する民間を含めた様々なステークホルダー(地方自治体,民間企業,研究機関,支援機関,NGO等)を交え,幅広い観点から我が国とアジア諸国の協力関係に関する議論を行った。地方自治体レベルでの低炭素成長に向けた取組とアジア諸都市との協力の現状,NGOを通じた協力の現状,アジア諸国のニーズに合った技術開発や支援の重要性,地球温暖化問題の広報の必要性等について問題提起が行われ,参加国との間で活発な意見交換が行われた。参加国からは,我が国の様々なステークホルダーから直接意見を聞く貴重な機会となったこと,それぞれのステークホルダー同士の協力関係も確認できたこと,また,我が国とアジア諸国との協力関係やネットワークを一層強化する機会になったことが評価された。
4.環境施設の視察及び我が国企業からのプレゼンテーション(28日)
環境負荷低減とエネルギー効率向上を世界最高水準で両立した高効率石炭火力発電所や,最新鋭の高層ビルにおけるコージェネレーション施設等の視察を行うとともに,複数の我が国企業から各社の気候変動対策に関する具体的な取組や地方自治体の経験とノウハウのアジアへの移転等に関するプレゼンテーションが行われた。参加国からは,我が国の省エネやCO2排出削減に関する先進的な技術・取組を直接見聞できる貴重な機会となり,大変興味深く有意義であった旨述べられた。