広報文化外交

平成25年5月16日
 5月13日,第32期外交官・第16期公務員日本語研修の参加者(32ヶ国より外交官32名,6ヶ国より公務員7名)の修了証授与式が,外務省にて行われました。同研修参加者は昨年9月から8ヶ月にわたり,国際交流基金・関西国際センターにおいて,集中的な日本語研修を受けたほか,日本の政治・経済に関する講義を受け,また日本各地の研修視察を行いました。

 修了証書授与式では,冒頭,鈴木俊一外務副大臣が祝辞を述べ,吉尾啓介国際交流基金上級審議役,来賓代表のシドアリ・ケトランジ駐日アルジェリア特命全権大使の祝辞につづき,芝田政之国際文化交流審議官が研修生一人一人に修了証書を授与しました。
 最後に,研修生を代表して外交官代表のトルコ共和国外務省シャーヒン・メレキ女史,公務員代表のモンゴル国鉱山資源エネルギー省ボルガンフー・ガンゾリグ氏が,研修で培った日本語で挨拶を行いました。

1.鈴木俊一外務副大臣挨拶

皆さん,研修の修了,誠におめでとうございます。また,本日は各国の大使をはじめ,大勢の方々にお集まりいただき,心から御礼を申し上げます。

 昨年9月,皆さんが期待に胸を膨らませながら日本に到着してから8か月がたちました。この間,日本語の学習,日本文化との出会い,人々との交流を通じて,日本や日本人に対する新たな発見や驚きに満ちた毎日を過ごされたのではないかと思います。

 私は,本日,皆さんの晴れの門出をお祝いする機会に恵まれたことに不思議なご縁を感じています。このプログラムは,1981年,当時の総理大臣であった私の父,鈴木善幸が東南アジアを訪問した際に,日本語を専門とし,日本事情に詳しい外交官を育てたいという国々の希望を踏まえ,日本での研修を提案したことがきっかけとなって作られました。その後,このプログラムは,皆さんの出身国からも分かるとおり,アジアを越えて中南米からアフリカまで,ほぼ世界全域をカバーするまでに拡大しました。本日修了式を迎えた皆さんを含めますと,研修参加者は800名を超えると聞き,大変嬉しく思います。

 32年の間にインターネットが普及しグローバル化が進み,飛行機に乗らなくとも外国の文化や情報に簡単に触れたり,人々と知り合えるようにもなりました。皆さんの国でも日本のアニメ,マンガ,ファッションや音楽などのポップカルチャーが身近なものになっていると思います。

 しかし,国と国の友好関係を築き深めていくためには,その国の習慣,人々の考え方や生き方を理解し,そこに住む人々と同じ言葉で語り合うことができる皆さんのような存在が欠かせません。この研修プログラムが32年間一度も途絶えることなく拡大しながら継続されてきたのも,このような意義があるからだと思います。

 研修そのものは本日で終わりますが,皆さんには今回の経験をいかして,これから先10年,20年の長きにわたって日本と皆さんの母国との絆を強くするために,活躍していただきたいと願っています。

 研修では,東日本大震災とその後の被災地の様子を記録した映画をご覧になったと伺っています。3Dの映像で見る津波の傷跡の深さに驚かれたと思います。この震災では岩手にある私の家も津波で流されてしまいました。震災から2年が経過した現在も,被災地では復興に向けた懸命の努力が続けられています。皆さんには,震災から復興し元気を取り戻そうとしている日本の姿を広く世界に伝えていただきたいと思います。

 皆さんのますますの活躍を心から期待し,私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
 

2.トルコ共和国外務省シャーヒン・メレキ女史(外交官研修代表)の挨拶

 みなさま、本日は、私たちの修了式のためにお集まりいただき、まことにありがとうございます。
私はメレキと申します。トルコの外交官です。外交官32名を代表して、ひとことご挨拶させていただきます。

 私がこのプログラムに来ることは早くから決まっていましたが、日本へ来る前は少し心配しました。日本は私の国からはとても遠いですし、長い時間家族からはなれなければなりません。それに、日本は文化や生活スタイルや食べ物などがとてもちがうと 思ったからです。

 しかし、日本に到着したとき私の心配はすぐにきえました。また、私が決めたことが正しくて適切だったことが、この8ヶ月の間に証明されました。このプログラムを通じて得られた経験は、非常に貴重なものです。ぜったいに忘れられません。

 この外交官公務員研修で、私たちは日本語の勉強だけなく、日本の文化や歴史などについても、いろいろなことを習いました。

 いっぽう、わたしたちが自分ですべて準備した、自主研修旅行は私たちにとって大きなチャンスでした。私たちは、日本のいろいろな地方を訪問して、日本のさまざまな面を見ることができました。 

 私は、北海道の札幌へ行きました。この旅行はほんとうによかったです。いろいろなところへ行ったり、札幌のおもしろい歴史を少し習ったりしました。札幌の歴史は、大阪や東京の歴史と違います。そして、この旅行は日本の生活の多様性をよりよく理解するのを助けてくれました。

 そのほかに、関西国際センターの学校訪問やホストファミリーのプログラムなど、いろいろなイベントで、私たちは日本についてより深く知ることができました。同時に、日本の人たちと、おたがいに国を紹介しました。

 それだけではなく、この研修は参加した人たちがおたがいの国について知るチャンスにもなりました。いっしょに料理を作ったり、楽しんだり、旅行に行ったりするなかで、私たちはおたがいの国を、よりいっそう理解できました。

 このプログラムのおかげで、今わたしたちは世界中によい友達を持っています。 

 新しい外国語を学ぶことは、外交官にとって大切なことですが、ほんとうに簡単ではないと思います。それに、日本語にはひらがなとかたかなと漢字がありますから、もっと難しいです。多くの努力が必要です。 

 ですから、わたしはこの研修を修了する友人たちみんなを、ほこりに思っています。

 そして、日本語の勉強だけでなく、いろいろな面でわたしたちをサポートしてくださった先生がたや、関西国際センターのみなさまに、感謝いたします。ほんとうに、いろいろお世話になりました。

 この研修はこれで終わりますが、この終わりは私たちにとって、新しい出発だと思います。日本と私たちの国の友好関係をつづけるために、研修でまなんだ日本語や日本文化、そのほかの多くの知識を生かして、仕事をしていきたいと思っています。 

 この研修のおかげで、私たちはさまざまな方法で自分自身を向上させました。
この研修は、日本の平和的で、強力なイメージを守るのに役にたつと思います。ですから、この研修がこれからも発展することを、心からねがっています。

 最後に、もういちど、日本国、外務省、国際交流基金、関西国際センター、そして、日本のみなさまに、心より感謝を申しあげます。

 かんたんですが、これを私のご挨拶とさせていただきます。
どうも、ありがとうございました。

3.モンゴル国鉱山資源エネルギー省ボルガンフー・ガンゾリグ氏(公務員研修代表)の挨拶

 みなさんこんにちは、
 きょうは、私たちのために修了式をしていただいて、ほんとうにありがとうございます。
 わたくしはモンゴルの公務員で、ガナともうします。
 まず、このコースのベトナム、インドネシア, カンボジア, イエメン, モザンビークの公務員7名を代表して日本国政府、外務省、国際交流基金にお礼をもうしあげます。

 親切な日本のみなさまのサポートで、私たちは8ヶ月間 日本語だけではなく、日本のゆたかな文化、習慣、歴史も学びました。
 最初、ひらがなからはじまった日本語の勉強は簡単じゃありませんでしたが、関西国際センターの先生がたのおかげで今、日本語が 話せるようになりました。
 そして、勉強しながら、私たちは日本のいろいろなうつくしい所へ行ったり、すてきな文化イベントに参加したりしました。もしかしたら、その機会は、日本人より多かったかもしれません。それは、日本の生活や社会について深く理解するために、たいへん 役に立ちました。私の国では、「その国の水をのめば、その国の習慣にしたがえ」ということわざがあります。これは、「外国で生活するときは、その国の習慣や文化に敬意をはらうべきだ」という意味です。私たちは世界のいろいろな国から来ましたが、今、みんな日本に対して関心をよせ、いい印象をもっています。

 そのうえ、私たちの国が日本からまなぶべきことは たくさんあります。ほんとうに、「いつ私の国は日本のようになれるのだろうか」と、いい意味で日本のことをうらやましくおもっています。

 でも、私たちの国にも 日本の役にたてることがあると信じています。
 将来の二国間の関係拡大のために、私たちの国と日本の間のいろいろな課題を解決するために、私たちには多くの時間があります。毎日あたらしい問題がおきているこのとき、一番大切なのは、パートナーシップです。そして、二国間の課題だけではなく、世界的な課題を解決するためにも、私たちは 今、ともに協力することができます。
 そのために、日本でまなんだ日本語を使って、勉強もつづけて、がんばります。

 私たちはもうすぐ帰国しますが、今、家族に会いたい気持ちとどうじに、みんなと別れることに 少しさびしい気持ちも あります。
 8ヶ月はそんなに長い時間ではありませんでしたが、日本ですごした時間は一生わすれられません。

 最後にもう一度、みなさんに心より感謝したいとおもいます。ほんとうにありがとうございました。

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