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ウクライナ共和国における民主化支援のための緊急無償資金協力について

平成26年4月25日

  1. 本25日,我が国政府は,ウクライナ共和国において,同国の民主主義の回復と安定化を図るため,欧州安全保障協力機構(OSCE)のウクライナへの特別監視団派遣に対して50万ユーロ,欧州評議会(CoE)によるウクライナ大統領選挙等に関する緊急支援に対し30万ユーロの緊急無償資金協力を,それぞれ実施することを決定しました。
  2. ウクライナにおける,力による現状変更や,暴力による少数民族の人権侵害等といった民主主義を蹂躙する動きが依然として見られる中,ウクライナの安定のためには,(1)経済状況の改善,(2)民主主義の回復,(3)国内の対話と統合の促進が重要です。民主主義の回復については,5月25日の大統領選挙が,少数派の参加を確保し,透明かつ公正な形で実施されることが最も重要であるとの観点から,我が国としてもCoEの緊急支援に30万ユーロの貢献を行うこととしました。更に,国内の対話と統合を促進し,同国の情勢を安定化させるため,OSCEの特別監視団への50万ユーロの支援を行います。
  3. 今回の協力をはじめとする国際社会の取り組みが,ウクライナ共和国の民主主義の回復,および同国国内の安定化に寄与することが期待されます。

(参考1)OSCE概要
  • OSCEは、北米,欧州,ロシア,中央アジアの57か国が加盟する世界最大の地域安全保障機構(事務局:ウィーン)。
  • 紛争予防,危機管理,紛争後の復興・再建等の分野に関し協議を行う枠組み。NATOやEUとは異なり,平和維持活動等に派遣する実力部隊・実行手段は有さない。
  • 安全保障を軍事的側面のみならず,経済・環境,人権・人道における問題を含め包括的に捉えて活動(「包括的アプローチ」又は「包括的安全保障」)。
  • 日本は,韓国,タイ,アフガニスタン,豪州とともにOSCEの「協力のためのアジア・パートナー」。アルジェリア,エジプト,イスラエル,モロッコ,チュニジア,ヨルダンは「協力のための地中海パートナー」。
(参考2)欧州評議会(Council of Europe: CoE)概要
  • 欧州評議会は, EU全加盟国,旧ユーゴ諸国,ロシア,ウクライナ,トルコを含む47か国の加盟のもと,人権,民主主義,法の支配の分野で国際社会の基準策定を主導する汎欧州の国際機関(仏ストラスブールに所在)。
  • 各種条約策定(2014年4月現在216本),専門家会合開催の他,国際問題などに関する勧告・決議採択,決議事項のモニタリングに取り組むとともに,冷戦終了後は,旧東側諸国の民主化及び市場経済への移行を積極的に支援してきている。
  • 日本は,米国,カナダ,メキシコ,バチカンとともに,欧州評議会のオブザーバーの立場。
(参考3)支援概要
  • (1)OSCEのウクライナへの特別監視団に対する支援:50万ユーロ
    ウクライナにおける国内の対話と統合の促進を目的として,国・地域・コミュニティー・レベルのステークホルダーとコンタクトを確立し,(1)緊張状況や,少数民族を含めた人権状況の情報収集・報告,及び(2)緊張を緩和するために,現地における対話の促進活動を,同国9都市にて行う。100名が4月から6か月間,追加の200名が5月から5ヶ月の間,活動を行う。
  • (2)欧州評議会による大統領選挙支援等に対する支援:30万ユーロ
    ウクライナにおける民主主義の回復を目的として,選挙関連の苦情や訴訟手続きの整備,選挙支援専門家の派遣,選挙監視に関するキャパシティ・ビルディングのための研修,選挙報道のモニタリング,選挙権を有する市民社会の意識向上等の活動を実施。
  • (3)なお,我が国は,ウクライナの経済状況の改善を目的として,3月24日に約15億ドル支援を発表ずみ。また,ウクライナにおける国内の対話と統合の促進を目的として,今回の協力に先立ち,OSCEの「政治対話促進及び少数民族監視ミッション派遣」に対し,3月7日に10万ユーロを拠出済み。
    報道発表「欧州安全保障協力機構(OSCE)の「政治対話促進及び少数民族監視ミッション派遣」に対する拠出」(平成26年3月7日)
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