(1998年10月、在タイ大使館)
<プロジェクト概要>
援助形態 |
有償資金協力 |
協力年度 |
1987年9月 |
協力金額 |
26億5100万円 |
相手国実施機関 |
農業協同組合省水産局 |
協力の内容 |
プンポラベット湖、ノンハン湖、カンパヤオ湖のリハビリテーション、水産開発などを実施 |
<評価要旨>
1.案件の維持・管理
今回の評価では、カンパヤオ湖について現地調査した。カンパヤオ湖ではゲートの改修、漁業センターの新設、廃水処理施設の建設が行われた。これらの施設の維持管理は現在農業共同組合省水産局パヤオ湖漁業センターがおこなっている。プロジェクト実施後10年が経っているが各施設ともおおむね良好な状態で維持管理されており、特に機能に著しい支障が生じている状況は見受けられない。
2.案件の選定・形成の適正度
プロジェクト実施当時の第6次国家経済社会開発5カ年計画(1987-1991)においては「生活の質の改善」が目標のひとつに掲げられている。この目標を達成するため、所得向上と富の分配に資する地方開発が重視されていた。
3.当初の目的の達成度及び効果
水産局で作成した統計データによれば、カンパヤオ湖の漁獲高は増加している。さらに、漁業センターで飼育された稚魚が主に出荷されるパヤオ県内の漁獲高の推移をみると1988年に444トンであったものが1997年には2334トンまで増加しており、水産局職員の説明によると当漁業センターの貢献が大きいとのことであった。
イン川へ通じるゲートの改修はパヤオ市内の洪水防除、流域の農業用水の確保に貢献している。湖畔の廃水処理施設は湖沼の水質汚染防止に一定の効果を上げている。
4.環境への影響/WID(開発における女性)への配慮
特記すべき事項なし
5.今後必要とされるフォローアップ
ゲート底面に漏水が確認されたが、現状では機能上問題はない。今後漏水の程度がひどくなった場合にはタイ側で修理するよう指導しておいた。
6.将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として生かされるべき事項
市内から流れる汚水の処理施設について、汚水を滞留させておく池を4総に設けて自然の作用で簡易処理する方式がとられている。プロジェクトサイトが山間部の貧しい地域であることから、特に維持管理に多大な労力と費用がかからない方式が採用されたものと思料するが、現状においても問題なく機能している。水質改善の観点からすれば、より高度な処理方法があるが、それには維持管理に相当費用がかかる。プロジェクトサイトの経済情勢、人材などを適切に考慮して設計されたものと評価できる。