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総合的子どもの栄養改善プロジェクト |
(イ) |
目標の達成度・効果
プロジェクトの主要目標である中・重度の低体重栄養不良については、大幅な改善が見られた。また、急性の栄養不良についても、明確なプロジェクト効果が測定された。なお、長期的なスパンで効果が発現する軽度の低体重栄養不良及び慢性の栄養不良については、一部の地域を除いて、まだ十分な効果が現れるには至っていない。 |
(ロ) |
効果・活動の持続性
対象地域の村民から選ばれる「草の根保健婦(Health Volunteer)」を中心として、母親の意識改革及びそれによる行動変化を重視し、地元で手に入る食材を利用するなど、持続性、自立発展性によく留意してアプローチ方法を選択している。対象地域の人民委員会についても関係局間相互の連携が行われており、各関係者の当事者意識は高い。現地視察を行ったビンロック村では、すでに母親の行動変化が見られるなど協力効果はかなり浸透、定着しており、プロジェクト終了後も子どもの体重測定や誤った習慣の改善普及などの活動は継続されていた。今後、それらの活動が周辺地域へも徐々に波及することが期待される。 |
(ハ) |
開発福祉支援事業としての妥当性
このプロジェクトは、開発福祉支援事業の対象7分野のうち、「保健衛生」と「コミュニティー開発」に該当し、まさに開発福祉支援事業が目指している住民参加型の住民に直接裨益するプロジェクトである。最終受益者は3歳以下の子どもであるが、そのような子どもを持った母親達が活動に直接参加しており、コミュニティーレベルで事業を進めている「草の根保健婦」も地域の母親である。 |
(ニ) |
開発福祉支援事業によるインパクト
開発福祉支援により、活動地域の拡大やプログラムの規模の増大(家庭菜園事業の実施など)がもたらされ、総合的な栄養支援を組めるようになった。 |
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フエ市児童福祉総合支援プロジェクト
(注:2000年2月に行った南条読売新聞論説委員による有識者評価も参照可能) |
(イ) |
目標の達成度・効果
障害児に関しては、病気も含め障害を持った子どもに対して治療・リハビリテーションが行われ、支援対象となった子どもに直接効果が現れている。ストリートチルドレン等に関しては、具体的には、児童文化センターが建てられ子ども達に利用されていること、上級職業訓練センターが建てられたことが確認された。しかし、児童文化センターと上級職業訓練センターによる効果はまだ時を待たなくてはならない。 |
(ロ) |
効果・活動の持続性
このプロジェクトは、実施パートナーであるフエ市人民委員会にも高く評価されており、また地元のマスメディアにもしばしば取り上げられている。人民委員会はこの活動を継続して行きたいと考えているが、継続するためには資金が必要である。そこで、「子どもの家(児童文化センターもその一部)」の維持費創出のため、上級職業訓練センターで子どもに対してまずはバイク修理の職業訓練を行い、卒業生によるバイク修理による収入の一部を維持費に回すことを考えている。上級職業訓練センターは、プロジェクト活動の持続のためばかりでなく、子ども自身の自立のためでもあるが、このセンターが期待された成果を出せるかどうかは、まだ分からない。また病気・障害児の治療をさらに続けていくための資金目処もまだ立っていない。 |
(ハ) |
開発福祉支援事業としての妥当性
このプロジェクトの活動内容は、開発福祉支援事業の対象7分野のうち「社会的弱者救済」に該当し、既に記した通り成果を上げている。開発福祉支援事業の特徴の一つである住民参加の観点からは、プロジェクトの裨益者たる子ども達及びその家族は、プロジェクトに参加するよりむしろ客体に留まっているという印象を受けた。今後、子どもの依存心を生み出さないように配慮することや、子どもあるいは保護者などが自ら事業運営活動に参加できるような仕組みを整備することが望ましい。 |
(ニ) |
開発福祉支援事業によるインパクト
開発福祉支援事業が入ることによって、ベトナムの「子どもの家」を支える会による活動の規模が大きくなり、それ以前に出来なかった事業も手がけることが出きるようになった。しかしながら、以前に無給のボランティアによって一度行われた障害児を見つける仕事は、開発支援事業によってお金が支払われることになり、今後は無給では実施できなくなる可能性が考えられる。
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