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日本カンボジア友好技術訓練センター支援計画

1.評価対象プロジェクト名:
 日本カンボジア友好技術訓練センター支援計画
2.国名:カンボジア
3. 援助形態:
 草の根無償1998・1999年度、1.8百万円/5.7百万円
4. 被供与団体:
 日本カンボジア友好技術協力センター
5. 評価者:
 下岡明子 グローバル リンク マネージメント(株) 社会開発部研究員
 小川陽子 グローバル リンク マネージメント(株) 社会開発部研究員
6. 現地調査実施期間:2001年7月22日~8月12日
7. プロジェクトの目的:
 日本カンボジア友好技術協力センターでは、1994年度より青年海外協力隊が木工・縫製・電子の分野で教官の指導にあたっている。しかしながら、使用機材の不足と安全性が問題となり、訓練の効率が悪い状態であった。本プロジェクトは、縫製・電子機器・木工コースの職業訓練に必要な資機材、及び教材作成のために使用される事務機器を購入することにより、訓練の効率性・安全性を改善することを目的とし、訓練コースの教官や訓練生がより実践的な授業・実習を実施できるよう知識と技術の向上に貢献するものである。
8. 評価結果:
(1) 草の根無償資金で購入された訓練用機材は、教官または生徒に行き渡り、老朽化し安全性の低い機材と替えられ、訓練の効率性と訓練環境の改善に貢献したといえる。
(2) 供与された機材は工場で実際に使用されている規格品が多く、教官や訓練生がより実践的で、就業に役立つ知識と技術を身につけることが期待される。また、同センターは、中高等学校の敷地に隣接して建っており、草の根無償で供与された機材は、希望する中高生を対象にした工作技術や家庭科クラスにおいても、貴重な実技体験の機会を提供している。
(3) 同センターには、青年海外協力隊や日本のNGOを始め、今回の草の根無償支援、同センターのスタッフによる日本での研修など、日本の援助が多く入っており、以前から日本への理解と友好を深める役割を果たしてきた。今年は秋篠ノ宮御夫妻のご訪問を得たこともあり、日本の職業訓練分野での開発協力活動が広報される機会も多かったため、外交効果が高い案件と言える。
(4) カンボジアでは失業率が高く、また大学進学率も5%と低いことから、中・高校生の就業を促進する職業訓練事業は重視されており、同センターの活動の妥当性は高い。同国では職業訓練分野での人材育成が遅れており、技術レベルの基準化もなされていない為、同センターが青年海外協力隊の協力を得られることが大きな強みとなっている。今後は、雇用ニーズに合わせたカリキュラムの策定や、訓練生の技術レベルと就業率を向上させるための施策を充実させていくことが課題となろう。
(5) 同センターは、国家施設であることに加え、カンボジアでは数少ない「工業高校」への転進計画も出ており、組織としての継続性には問題がないと思われる。技術面では、協力隊員の派遣が引き続き計画されており、既に電子器機シニア隊員派遣の要請が出されている。しかしながら、1993年から事業運営の全般について支援を続けてきた日本のNGOが1-2年後の撤退を決めており、この部分で多少不安が残る。事業としての自立発展性は、日本で研修を修了した教官による円滑な技術移転がなされること、雇用のニーズに合ったコース作りで就業率を上げることなど、引き続き同センターの組織運営に委ねられる部分が大きい。
9. 提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点など):
(1) 全体的に、組織運営の面を強化することが必要であると考えられる。実習コースに重点が置かれているが、訓練生の就業先の開拓、民間工房での実習など就業を促進する助けが必要と思われる。
(2) 修了生の就業状況を追跡調査し、雇用ニーズおよび重要の高い職種にあったカリキュラムの改訂が必要と思われる。
10. 外務省からの一言:
(1) 当該訓練センターには継続的に青年海外協力隊の技術指導が入っており、機材供与を行った草の根無償資金協力と有機的に連携した例である。
(2) 草の根で供与した機材は工場で実際に使用されている規格品が多かったとの点で、ニーズ査定の面でも成功した例と言える。
(3) 今後の自立発展のため、当該訓練センターとして、社会のニーズにあった訓練内容・就業指導・事業運営費の確保等について検討してもらいたい。


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