1.評価対象プロジェクト名:
黒龍江省ハルビン市再就業センター職業訓練設備整備計画
吉林省長春市地区職業訓練施設設備整備計画
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2. |
国 名: |
中華人民共和国 |
実施機関名: |
ハルビン市労働就業管理局
長春市就業服務局 |
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3.援助形態:草の根無償資金協力
99年度、9,889,800円、9,930,120円
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4.評価実施機関名:在瀋陽総領事館
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5.現地調査実施機関:2001年2月14日~15日 |
6.プロジェクトの分野:計画行政
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7.政策目的又は政策の方向性:
中国改革開放政策(国有企業改革)への支援 |
8.プロジェクトの目的:
大中型国有企業が集中する中国東北地域の代表的な都市(ハルビン市・長春市)において、国有企業改革に伴い生じた多数の失業者(各都市10万人規模)に対する、再就職のための職業訓練を行う「職業訓練施設」への職業訓練機材(服飾技術、調理技術、コンピュータ操作技術、自動車整備技術、簡易保健技術)を整備することによって、各都市の職業訓練能力(年間約4万人)を5%程度向上させる。
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9.評価結果:
今回調査を行った時点でハルビン市・長春市の職業訓練施設は、援助機材の到達・訓練開始からそれぞれ12ヶ月、6ヶ月が経過しており、本プロジェクトで供与した機材を利用した訓練受講者数は各2090名、670名であった。2000年の両都市それぞれの失業者数は約10万人で、この内国有企業からリストラされた労働者(下崗労働者)は約4~5万人にも上り、各都市全域での対下崗労働者訓練数は年間約2万人であった。本プロジェクトにより支援した施設ではこれら下崗労働者を対象に無料訓練を実施しているが、ハルビンの施設では市内年間訓練者数の約1割を担うことが出来た。一方長春では訓練の立ち上げに当たり講師不足などの問題が生じ、自動車整備訓練コース等で受講者数が伸びなかったが、今後問題を解消し年間2千人程度の訓練を行う予定である。
また、ハルビンでは受講者全員が職業資格試験に合格するとともにほとんどが再就職することが出来た。長春では就職率の取り纏めが終了していなかったが、受講者のほとんどは資格試験に合格したとのことであり、我が国の援助によって両都市に於ける再就職状況の改善が確認された。
また本プロジェクトは中国政府が重要政策として掲げる分野での協力であり、小規模ながら市長をはじめ政府指導者の関心も非常に高く、援助実施効果は大きかったと考える。
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10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
本プロジェクトでの訓練対象者は元々別職種からの転職者であるため新技術習得が困難であり、受講者の就職率をフォローする必要がある。また、下崗労働者では女性の割合が高いため、女性を対象とした職業訓練環境の充実も視野に入れる必要がある。
一方、中国の失業者対策は社会保障と合わせ制度改革の途中であり、流動的な部分もあるため協力に当たり注意が必要。
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11.外務省からの一言:
中国における下崗労働者への貧困対策として、今後一般プロジェクト無償においても教育訓練機材の整備を実施する予定。
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