広報・資料 報告書・資料

海南省定安県坡寨郷及び瓊中県吊羅郷飲料水供給計画

1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
(1)海南省定安県坡寨郷飲料水供給計画
(2)海南省瓊中県吊羅郷飲料水供給計画
(クリックすると画像が変わります)
2. 国   名: 中華人民共和国
実施機関名: (1)海南省定安県坡寨郷人民政府
(2)海南省瓊中県吊羅郷人民政府
3.援助形態:草の根無償資金協力
(1)97年度、74,765米ドル (2)98年度、24,192米ドル
4.評価実施機関名:在広州総領事館
5.現地評価実施期間:2001年4月4~5日
6.プロジェクト・プログラムの分野:
7.政策目的又は政策の方向性:生活環境インフラ整備
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
 飲料水不足が深刻である海南省において給水プラントを建設することにより、住民に清潔な飲料水を供給し、不衛生な水を飲用していたことに起因する各種疾病を防止する。また、水汲みの負担から住民を解放し、生産活動を活性化させる契機とする。
9.評価結果:
 海南省では、我が国の草の根無償資金協力による飲料水供給プロジェクト8件が実施されており、援助総額は約40万米ドル、裨益人口は約2万人となっている。(別表参照。)
 今回は、定安県、瓊中県における2件のプロジェクトを評価したが、いずれも所期の目標を達成し、地元政府及び住民から高い評価を得ている。具体的な評価結果は、以下のとおりである。
(1) 定安県坡寨郷飲料水供給計画
 給水塔(高さ25m、容量100t)、井戸(内径2m、深さ46.8m)、給水管(全長5,834m)、揚水ポンプを設置。水量(200t/日)、水質(飲用基準に合格)とも問題なし。同郷6カ村約800世帯(3,800人)に飲料水を供給。肝炎等の患者が約3割減少。各家庭は毎日計1時間の水汲みが不要になった。さらに、水が確保されたことから、海南省政府が進める「トイレ改造」運動と結びつき、各家庭にトイレが設置された。プロジェクト完成後の3年間、大きな故障はない。専用の管理者を置き、人件費及び維持修理費は各家庭から集めた水道代(1元/1t)をあてている。
(2) 瓊中県吊羅郷飲料水供給計画
 濾過・貯水タンク、給水塔(容量50t)、水道管(全長2,340m)を設置。水量、水質とも問題なし。同郷3カ村約96世帯(586人)に飲料水を供給。多発していた下痢、嘔吐等の病気が激減し、新村に常駐していた衛生所職員も必要なくなった。各家庭は毎日計1時間の水汲みの負担から解放された。さらに、「トイレ改造」運動と結びつき、各家庭にトイレが設置された。プロジェクト完成後、故障は1度もない。村長が管理し、維持修理費は故障があった場合住民から集金する予定。なお、水道代は1家庭につき1元/1月。
10.提言(今後のフォロー・アップ、改善すべき点、政策観点からの提言):
 飲料水の確保を目的とした本プロジェクトが地元政府の「トイレ改造」運動と結びつき、各家庭の衛生環境向上へと波及した成果の大きいプロジェクト。今後とも地元政府の活動と結びついたプロジェクトを積極的に発掘することが望まれる。なお、海南省では飲料水不足に苦しむ地域が多く、今後とも本スキームの重点分野として扱われるべき。
11.本省からの一言:
 21世紀は水の世紀とも言われ、地球規模の水問題がクローズアップされている中で、我が国がホスト国となり、2003年3月に「世界水フォーラム」を開催予定であり、水は今後とも重要な支援分野となると考えられる。更に、今回のケースのようにNGOによるコミュニティレベルでの衛生環境向上へと波及したプロジェクトは、ベスト・プラクティスとして参考としたい。


(表)海南省における飲料水供給プロジェクト・リスト
  プロジェクト地点 金額(米ドル) 裨益人口(人)
平成8 瓊山県十字路鎮永昌村 94,469 5,000
平成9 定安県坡寨郷郷政府所在地周辺 74,765 3,800
平成10 瓊中県吊羅山郷新村及び周辺村落 24,192 586
平成11 通什市毛道郷郷政府所在地周辺 51,881 1,867
平成11 文昌市錦山鎮美典村 36,785 1,500
平成11 保亭県響水鎮鎮政府所在地周辺 41,235 2,182
平成12 定安県坡寨郷木頭村 24,406 2,000
平成12 屯昌県楓木鎮大葵村、山頭村 47,019 2,782
  8件  394,752 19,717
今回評価対象となったプロジェクト


このページのトップへ戻る
目次へ戻る