1.評価対象プロジェクト・プログラム名:
少数民族地区中等学校教育機材整備計画 |
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3.援助形態:一般無償資金協力
第一次(94年度)5.00億円
第二次(97年度)7.20億円
第三次(99年度)5.68億円
第四次(99年度)5.22億円
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4.評価実施機関名:在中国大使館 |
5.現地調査実施期間:
2001年2月22日~24日、3月7日~10日
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6.プロジェクト・プログラムの分野:人的資源
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7.政策目的又は政策の方向性
人材育成、沿海部と内陸部の格差是正 |
8.当該プロジェクト・プログラムの目的:
中国内陸・辺境地区は社会インフラが未整備の少数民族居住地区が多く、その発展と経済格差の是正は重要な政策課題となっている。このような状況下、本件計画は、主として以下の目的を達成するため実施されている。
(1) |
基本的な教育機材の供与により教育効果を高めること |
(2) |
職業技術教育機材の供与により社会に出て有用な技術の習得を可能とすること |
(3) |
視聴覚機材等の供与により語学教育の充実、教育の質の向上に寄与すること |
(4) |
当該学校がモデル校的な役割を果たし、地域への波及効果を図ること |
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9.評価結果:
本プロジェクトの実施により、対象中学(注:日本の中学・高校に相当)の教育水準は大幅に向上し、進学率の上昇及び生徒数の増加、教育の質の向上に多大な効果があったと考えられる。
具体的には、第一次計画の対象校の一つである銀川唐ライ回民中学では、93年から2000年の間に生徒数は2000名から2800名に増加し、大学進学率は36.1%から72.5%に伸びた。第二次計画の対象校の一つである大理白族自治州民族中学でも、97年から2000年の間に生徒数は850名から1050名に増加し、大学進学率は、21.8%から52.5%まで上昇している。
また、本プロジェクトは、単なる当該中学の教育向上にとどまらず、対象中学の近隣貧困地区に所在する他学校教員へのトレーニング、対象中学で従来使用していた一部機材の他学校への供与、地域における研修事業等を通じ、地域全体の教育水準の向上にも寄与していると思われる。
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10.提言(今後のフォローアップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
(1) |
今後のフォローアップ、改善すべき点:本件計画に関しては、機材供与後も、引き続き対象校との人的な交流を活発化させる(例;青年海外協力隊の派遣、日本の学校との交流等)ことは、機材の有効活用の観点からは勿論、人材育成の観点、対日理解促進の観点からも極めて有効であると考えられる。
また、広報の面については、第一次の機材供与から既に一定の年数が経過していることもあり、今後とも、継続し、強化を図ることが必要であると考えられる。 |
(2) |
政策的な観点からの提言:本件計画は主に内陸部の少数民族地区の教育レベル向上を目指すものであり、中央政府・自治区政府の重点政策とも合致している。その結果、政府・被援助機関の意識・体制も高いレベルにあり、効果的に進んでいるプロジェクトと言える。援助額に比しても援助効果は高いと判断されることから、今後、同様の性格をもつ機材整備計画を継続していくことを検討すべきものと考える。
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11.外務省からの一言:
(1) |
今後の対中ODAは、現在策定中の「中国国別援助計画」に基づいて実施していくことになっており、それに伴い重点分野も従来の沿海部のインフラ整備支援から、本件のような内陸部の民生向上や相互理解の促進、環境保全等を中心に実施していきたい。 |
(2) |
少数民族地区の教育、医療等の案件は、中国側の努力を促しつつ今後も検討していきたい。 |
(3) |
昨年4月にセネガルで開催された「世界教育フォーラム」の際に採択された「ダカール行動枠組み」の目標達成に向け、我が国としても基礎教育分野に積極的に支援していく考え。今回のケースのように高い効果の上がったプロジェクトは、ベストプラクティスとして今後のプロジェクトの参考としたい。
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