広報・資料 報告書・資料

中国・青島港拡充事業

1.評価対象プロジェクト・プログラム名:中国青島港拡充事業
(クリックすると画像が変わります)
2. 国   名:中国
実施機関名:中国交通部
3.援助形態:有償資金協力
 84年度~89年度 総計57000百万円
4.評価実施機関名:在中国大使館
5.現地調査実施期間:2001年4月9日
6.プロジェクトの分野: 運輸・交通
7.政策目的又は政策の方向性:経済基盤整備、特に不足している経済インフラの整備
8.当該プロジェクトの目的:
 中国山東省青島港に石炭バース、木材バース、雑貨バース、多目的バース、コンテナバース及び連絡鉄道を建設することにより、青島市及び背後圏(山東省、河南省、河北省、山西省、陝西省)の経済発展に伴う貨物輸送需要の増加に資する
9.評価結果:
 本事業のほか、青島港には96年度にも第2期拡張事業として27億円までの円借款が供与されており、青島港全体のうち円借款で整備されたバースは2割にものぼる。実施機関によれば、本円借款で整備されたバースは、中国中部で産出される石炭を青島港まで輸送し、広東省や上海等の中国沿海部のエネルギー消費地帯へと輸送するために利用され、重要な役割を担っている。中国ではエネルギー消費総量の7割近くを石炭に依存しているため、青島港の貨物取扱量は年々伸びている。
 エネルギー輸出港としての役割の他、青島港は、日本や韓国との貿易拠点(青島港はいわゆる「環黄海経済圏」に位置する)として、周辺地域で生産される工業製品の輸出や鉄鉱石の輸入の貿易拠点でもあり(貨物取扱量も順調に増加している)、地域の経済的関係の深化にも重要な機能を果たしている。
10.提言(今後のフォローアップ、改善すべき点、政策的な観点からの提言):
 「中国の改革開放を支援する」との対中円借款の目的からみて、円借款はその時々の中国経済の成長に対する制約要因に対処するものであることが求められる。本事業は、とりわけ80年代以降の大きな経済成長制約要因の一つである物流インフラの未発達やエネルギー制約等の課題に対処してきたものとして意義がある。また、将来も石炭資源の有効活用は中国全体のエネルギー政策における基本課題とされており、青島港の機能は引続き重要なものと考えられる。
 現地関係者からは、これまでの円借款による拡張事業がもたらした効果を踏まえ、更なる円借款供与による拡張の期待が表明された。しかし、現在の中国経済の経済成長制約要因は、このような沿海部のインフラ整備の遅れから、環境汚染への対応、沿海部と内陸部の成長格差、WTO加盟がもたらす一層の市場経済化加速等に対応できる人材育成等へと移行しており、今後の対中円借款はこのような現在の課題に対処する方向に変化させていくことが引続き必要となっている。
11.外務省から一言:
 今後の対中ODAは、現在策定中の「中国国別援助計画」に基づいて実施していくことになっており、本件のような沿海部のインフラ整備支援から、国別援助計画に重点分野として挙げられている内陸部の貧困対策や環境保全等を中心に実施していく予定。


このページのトップへ戻る
目次へ戻る