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タイ 職業教育短大強化事業

1.評価対象プロジェクト名:職業教育短大強化事業
教育省職業教育局
の様子

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2. 国名: タイ
実施機関名: 教育省職業教育局
3.援助形態等:有償資金協力  1994年 78.06億円
4.評価実施機関名:在タイ日本国大使館
5.現地調査実施期間:2002年3月12日
6.プロジェクトの分野:人材育成
7.政策目的又は政策の方向性:
 本事業への借款供与が決定された1994年当時、タイでは経済発展に必要となる技術系労働力の不足が慢性化していた。また、第7次経済社会開発5ヶ年計画(92~96年度)においても技術系人材育成の重要性が謳われており、本件事業はタイのかかるニーズに応える事業であった。その後1996年に日本政府が経済協力総合調査団をタイに派遣した際に、深刻な不足に悩んでいる技術系の人材の育成に資する職業訓練などへの協力を行う旨の方針が出されており、人材育成は援助重点分野と位置付けられている。
8.プロジェクトの目的:
 タイにおける職業教育短大は、3年間の初等職業訓練課程とその後の2年の上級職業訓練課程からなる教育機関で、対象者は小学校6年及び中学校3年の学業修了者である。上級課程を修了した者には、短大レベルの修了証書が交付される。本プロジェクトでは、技術系短大のうち、電気系6校、電子系7校、生産技術系5校、石油化学系1校、臨海工業系1校、の計20校及び教員研修所に対し教育機材供与を中心とする支援を行い、経済発展の要となる技術者育成教育の底上げを目的とする。
9.評価結果:
 概ね満足のいく結果が得られた。カラシン職業教育短大の電気学科卒業生は1998年から2001年の間に2,275名に上り、教育省によれば、他の支援校においても多数の卒業生を輩出しているということである。また、本件事業においては、機材供与というハード面での支援のみならず、教員の研修というソフト面の支援を実施し、タイ国内の研修参加者は20校合計で359名(1998年8月から99年6月までに2回実施)、日本における研修への参加者は17名(1996年9月から1997年4月までに3回実施)に上り、カラシン校教員からは、特に研修を含めた支援を行ったことに対して高く評価する旨の声が聞かれた。
10.提言:
 円借款の実施が終了した後の、機材の維持修理費の確保が課題である。カラシン校での聞き取り調査では、機材の質が高いため故障した際の修理費も相当額に上り、その予算確保は容易ではない旨の発言が複数の教員からなされている。機材供与後の修理費は被援助国側負担で行うことが原則であることから、タイ政府として然るべき維持管理費を確保することが必要であるが、日本側としてもタイ側に対し、機材が長期間に亘り有効に活用されるためには然るべく予算確保が必要である点理解を求めていくことが必要と考える。


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