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第1章 調査の概要

 

1.1 調査の目的

 調査対象としたタンザニアでは、1986年以降、世銀・IMFの支援を得て、金融部門改革、公営企業改革等の構造調整、市場指向型経済政策を推進し、1992年には革命党の1党支配から複数政党へ移行し、民主化を進めてきた。同国に対しては、これまで多くの経済協力がなされてきたが、GDPの約50%、労働人口の8割を占める農業部門を中心に依然として貧困は深刻な問題である。また、多額の対外債務残高の返済も大きな課題となっている。

 我が国は、民主化、市場経済化に積極的に取り組んでいるタンザニアを、タンザニアが東・南部アフリカ諸国において指導的な役割を担い積極的に活動していること、タンザニアの開発政策の方向がDACの新開発戦略に沿っていること等から援助対象国として重視している。

 経済社会開発に課題を抱えているタンザニアに対し、1995年にデンマークによってへライナー・レポートがまとめられ、タンザニア側の開発におけるオーナーシップとドナーの援助協調が提言され、CG会合でへライナー・レポートに沿ったタンザニア支援が確認された。その後、タンザニアは、我が国も含めた他ドナー・国際機関、NGOとの連携によりタンザニア支援戦略書(TAS: Tanzanian Assistance Strategy)や貧困削減戦略ペーパー(PRSP: Poverty Reduction Strategy Paper)を作成し、開発に取り組んでいる。PRSPを社会開発の中核とし、セクター・プログラム・アプローチに基づく援助協調といった新しい援助環境のもとでタンザニア支援が展開されている。

 本調査の目的は、タンザニア政府の開発計画や我が国を含めたドナー及び国際機関の援助動向を把握し、新しい援助環境の下で我が国が効果的な援助を実施するための方向性を示すと共に、こうした援助を可能にする実施体制の整備に関する提言を行うことである。

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