2.1 国際緊急援助隊制度の沿革
1970年代後半にカンボジア難民が国際的問題となり、欧米諸国に並び、日本も1979年12月にタイ国境へ「医療チーム」を派遣した。しかし、この対応が遅れたという反省から、迅速に医療機関関係者の出動が可能となるような体制を作る気運が高まり、1982年に国際緊急医療チーム(JMTDR)、現在の国際緊急援助隊(「医療チーム」)の前身が創設された。1985年、メキシコ地震、コロンビア火山噴火へ「医療チーム」を派遣した際に、「救助チーム」、「専門家チーム」の派遣実施体制整備の必要性が認識された。
その後、国際緊急援助隊の体制整備が進められ、1987年9月には「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」が公布、施行され、「救助チーム」、「医療チーム」、「専門家チーム」を派遣する体制が確立された。国際緊急援助隊の目的は、「海外の地域、特に開発途上にある海外の地域において大規模な災害が発生した場合、被災国政府または国際機関の要請に応じ、救助活動、医療活動および災害応急対策や災害復旧のための活動を行う国際緊急援助隊を派遣し、国際協力の推進に寄与すること」とし、創設された。
以後、国際緊急援助隊は、活動範囲を広げていく中、1)災害の規模によってはさらに大規模な国際緊急援助隊を派遣する必要があること、2)被災地において自己完結的に活動できる体制を充実すべきこと、3)輸送手段の改善を図る必要があること、等の必要性に直面し、自衛隊の派遣を可能とすべく、国際緊急援助隊法の一部改正が行われた(1992年)。同時に、紛争に起因する難民支援は、国際緊急援助隊法ではなく、「国際連合平和維持活動などに対する協力に関する法律」(国際平和協力法)で対応することと、整理された。