広報・資料 報告書・資料

第1章 評価の概要

1.3  評価の方法

1.3.1  目的の評価

目的の妥当性を検証するものであり、ODA大綱、ODA中期政策、国際緊急援助隊制度概要、国際機関の報告書等の文献調査を中心に行うとともに、外務省国際緊急援助室並びにJICA国際緊急援助隊事務局へのインタビューを行い、補足情報を得ることとした。

1.3.2  結果の評価

第一に、国際緊急援助隊の過去の全派遣実績の整理を、過去の報告書等を参考とする文献調査を行い、中間目標の達成度に関しての全体的な動向を分析した。

第二に、ケーススタディーを中心として、文献調査、現地調査を実施し、中間目標の達成度について調査した。

「1)人的(肉体的・精神的)被害の軽減がどれだけできたか?」については、文献調査に加え、被災国関係実施機関に対する質問票(添付資料16:質問票A 7参照)およびインタビューを中心とする情報収集により行った。

「2)国際緊急援助隊の活動がどれだけ積極的に情報公開され、日本の実施した活動が国際社会・相手国および日本において認識されているのか?」については、前半部の「積極的に情報公開」については、在外公館、JICA事務所および現地実施機関に対する質問票(添付資料16:質問票B参照)、インタビュー、および彼らが出したプレスリリースなどの広報記録の収集等を中心に情報収集を行った。後半部「国際社会・相手国および日本において(国際緊急援助隊の活動が)認識されているか?」については、現地および日本国内メディアの報道記録の分析を中心として、国民の認知度について推量することとした。分析対象メディアは新聞、インターネット、雑誌の報道記録とし、テレビ報道は記録が網羅的に行われていないので、対象外とした。ちなみに、この調査に関し、統計的に信頼性が持てるサンプル数をベースとした、一般国民に対するアンケート調査の可能性も検討したが、本調査の調査範囲および予算の面で困難であっため、実施を見送った。

また、フォーカス・グループ・ディスカション(FGD)については、被災国関係機関と協議を行い、必要かつ実施可能性が高いと判断した場合に限って実施することとした。関係者の都合や準備の関係上、FGDの実施が困難な場合は、代替案として実施機関スタッフへの個別インタビューを実施し、その結果を活用することとした。本評価に関連してFGDから期待される情報収集は、ベトナムの場合は、(a)国際緊急援助隊「専門家チーム」と実施機関(ベトナムの事例の場合では保健省、バックマイ病院等)との連携がどのように行われたか、(b)国際緊急援助隊制度に対して何か要望や改善点があるか、(c)国際緊急援助隊の活動の現地における認知度について、などであった。

フォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)の実施について
  • ベトナムでは、バックマイ病院関係者とのインタビュー調査を進める中で、FGDが必要と判断され、インタビュー時にアレンジの依頼を行った。対象は、当病院の医師、看護師、ロジ担当者等とし、各グループから数名ずつ病院側に選出してもらった。また、一般市民による国際緊急援助隊に関する認知度を推量するために、ある国際NGOに勤務する1家族を対象にFGDを行った。FGDはベトナム語で行うため、ディスカッションの司会役として調査団が雇用した通訳がファシリテーターを努め、調査団員の代表者が同席し、議論のモニタリングを行った。

  • アルジェリアでは、FGDは実施しなかった。「救助チーム」の活動については、活動を実施したホテル関係者のインタビューにより、「医療チーム」に関しては現在、ゼンムリ市の診療所で働いている医師へのインタビューにより、情報を得た。

    1.3.3  実施体制の評価

    1.2.3「国際緊急援助隊」制度の実施体制の整理で整理された「実施体制」の「適切性」、すなわち、関係組織や手続きが「定められた実施体制のデザインに則って、実際に運用されているか否か」を検証することとした。

    具体的には、先述の表1-4、表1-5の点検項目に沿って、関連実施機関に対して、質問票(添付資料16:質問票C参照)を作成し、送付した。実施体制別の質問票送付先は、表1-1の「情報収集元」を参照されたい。ちなみに、被災国における活動に関しては、関係機関の実際に派遣された参加者の内、「救助チーム」は、中隊長以上、「医療チーム」は、副団長以上、「専門家チーム」は、全員に対して質問票を送付した。団長には別途、インタビューを実施した。

    質問票は、点検項目に沿った調査項目をデザインどおりに行ったかどうかにより、A~D(A=明確に行っている。B=行っている。C=あまり行っていない。D=全く行っていない。)の4段階にチェックする方式で作成した。質問票の回収後、必要に応じて面談または電話によるインタビューや電子メールによる情報収集を実施した。

    その上で、可能な限り、「結果」との関連性を推量し、実施体制の良い点と課題について整理した。

    1.3.4  総合評価

    「I. 制度の目的の評価」「II. 制度の結果の評価」「III. 制度の実施体制の評価」の評価結果をうけて、制度が「中間目標」を達成するための適切な制度になっているかを総合的に判断し、さらに、「最終目標」の達成度について可能な範囲で分析を行った。

    1.3.5  提言

    上記の評価結果から抽出された課題や問題点、また過去の国際緊急援助隊派遣事例より得られたスキームレベルの教訓を参考に、制度改善に資すると思われる提言をまとめた。


    7JICAの国際緊急援助隊派遣事業に関する個別評価と同時期に調査を実施したため、質問票は合同で作成した。(添付資料16参照)



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