2.3 GII重点16ヶ国における活動分析
2.3.1 重点16ヶ国 地域別分析
GIIの協力重点国16ヶ国を5地域に分類し4、GII関連分野の協力の実績額及び案件数の分析を行った5。
図2.9に地域別協力案件数を示す。重点16ヶ国への協力案件総数550件のうち、東南アジアへの協力件数は256件で、総数の約半数を占めている。これに南アジアへの協力件数を加えると、アジア地域へのGII分野の協力件数は、協力案件総数の約60%を占める。
地域別協力実績額を図2.10に示す。実績額でも、東南アジアへの協力が最も多く、重点16ヶ国の協力実績総額の60%以上を占める。
図2.9 GII重点16ヶ国 案件数地域別内訳 (総案件数550)FY94-99 ![]() |
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版 |
図2.10 GII重点16ヶ国 実績額地域別内訳 (総実績額1,914億3,156万円)FY94-99 ![]() |
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版 |
2.3.2 重点16ヶ国を対象とした分野別実績額及び案件数
図2.11に、1994年から1999年までの重点対象国16ヶ国へのGII分野の協力案件数の推移を分野別に示す。人口直接及び人口間接分野の協力件数は増加傾向を示している。特に1999年の人口直接分野の協力案件数は1994年のそれと比べ、2.8倍となっている。HIV/AIDS分野の協力案件数は、1999年に若干減少している。
図2.11 重点16ヶ国分野別案件数推移 (総案件数579件)FY94-99 ![]() |
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版 |
GII分野の協力案件数を地域別、分野別に示したのが図2.12である。いずれの地域でも、人口間接分野は協力案件総数の7、8割を占める6。南アジアでは人口直接分野への協力の比率が他地域と比較すると若干多く、東南アジアでは、HIV/AIDS分野の協力の比率が比較的多い。
図2.12 GII重点16ヶ国 地域別案件数分野内訳![]() |
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版 |
2.3.3 重点16ヶ国へのサブ・プログラム別協力案件数7
図2.13に、人口直接分野の協力を地域別、サブ・プログラム別に示す。東南アジア、南アジア及びアフリカの3地域で、安全な妊娠・出産への協力が最も多く行われた。東南アジアでは、家族計画への普及への協力も多い。
図2.13 GII重点地域 人口直接サブ目標別案件数![]() |
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版、JICA事業案内「実績」(JICA国際協力事業団ホームページ:http://www.jica.go.jp/Index-j.html) |
安全な妊娠・出産分野を主要コンポーネントとするプロジェクト方式技術協力は、重点対象国16か国のうち、10か国で実施された。母子保健手帳の普及を目指した案件と子宮ガンの予防を目指した案件の2案件を除き、残り8案件のうち、5件8が妊娠および出産に関わる臨床従事者の育成を比較的広範囲に実施した。アジアの3か国において、無償資金協力により、国のトップ・レベルの母子保健センターの施設面を改善し(建設も含まれる)、プロジェクト方式技術協力により、1次から3次レベルまでの妊娠および出産に関わる臨床従事者(医者、看護婦、助産婦、保健所スタッフ、TBA等)に対して研修を行うという形態の協力が、実施された。アジアの2か国では、国レベルの母子保健センターの施設への無償資金協力の投入はないが、上記形態の地方版として、地方レベルで研修を行った案件があった。
図2.14に、人口間接分野の3分野(基礎的保健医療、初等教育、女性の職業訓練・女子教育)のうち協力案件数が最も多い「基礎的保健医療分野」の協力件数を地域別、サブ・プログラム別に示す。東南アジア、南アジア、アフリカ地域に共通して、保健サービスの改善に係る協力が最も多い。南アジア及びアフリカでは、次いで子供の健康改善にかかる協力が多く、東南アジアでは子供の健康改善と感染症対策への協力がほぼ同数で行われた。
図2.14 GII重点地域 基礎的医療サブ目標別案件数![]() |
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版、JICA事業案内「実績」(JICA国際協力事業団ホームページ:http://www.jica.go.jp/Index-j.html) |
図2.15に、エイズ分野の協力案件数を地域別、サブ・プログラム別に示す。まず、エイズ分野の協力は、東南アジア及びアフリカ地域で多く実施されたことがわかる。サブ・プログラム別に協力をみると、東南アジア及びアフリカにおいて予防活動への協力件数が多く実施された。
図2.15 GII重点地域 エイズ サブ目標別案件数![]() |
出所:JICA人口・エイズ分野実績、国際協力事業団年報 2000年度版、我が国の政府開発援助 下巻 2000年度版、JICA事業案内「実績」(JICA国際協力事業団ホームページ:http://www.jica.go.jp/Index-j.html) |
4 東南アジア5ヶ国(インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム)、南アジア3ヶ国(インド、パキスタン、バングラデシュ)、アフリカ6ヶ国(ガーナ、ケニア、ザンビア、ジンバブエ、セネガル、タンザニア)、中近東1ヶ国(エジプト)、中南米1ヶ国(メキシコ)。
5 本項では、分析の対象として、1994年から1999年の6年間に我が国が実施したGII関連分野の協力のうち、8スキーム(有償資金協力、無償資金協力、プロジェクト方式技術協力、機材供与、第三国研修、第二国研修、青年招聘、開発調査)を含んでいる。今回の評価調査では、GIIの全体像について入手可能な公式データが限られており、このような制約から各章、各項によって、分析の対象範囲が異なることについてはご了承いただきたい。
6「中南米」では人口直接と人口間接の比重がほぼ同じである。但し、「中南米」地域のGII重点国はメキシコ1ヶ国である。
7 協力案件数には、1994年度から2000年度の7年間に、我が国がGII重点国を対象に行ったGII関連分野の協力のうち、8スキーム(有償資金協力、無償資金協力、プロジェクト方式技術協力、機材供与、第三国研修、第二国研修、青年招聘、開発調査)を含む。
8 これら以外の案件にも助産婦やTBAの訓練を活動コンポーネントとして含む案件があるが、対象地域や訓練数が小規模であったり、プロジェクト実施時期がGII期間中の短期間しか重ならない案件は、ここに含めなかった。