はしがき
本報告書は、平成13年度、外務省より財団法人国際開発センターが受託実施した「人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ(GII: 以下GII)評価調査」について、その結果をとりまとめたものである。
1994年2月の日米首脳会談において、日本政府は、政府開発援助(ODA)における独自のイニシアティブとして「人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ」を発表し、2000年度までの7年間で、総額30億ドルをこのイニシアティブに投入することを目指し、人口・エイズ分野への国際協力を実施してきた。GIIは、人口・エイズ分野への直接的協力に加え、基礎的な保健医療、初等教育、女性を対象とした職業訓練・女子教育等の人口分野への間接的な協力を含む「包括的アプローチ」を採用し、さらに他ドナーとの連携やNGOを含む市民社会との連携を推進してきた。
本調査は、2000年度末をもって本イニシアティブが終了したことを受け、GIIのプログラムとしての成果を総合的に分析評価するものである。また、2000年の沖縄サミットにおいて、日本政府は、ODAにおける感染症対策強化のための「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)」(以下IDI)を発表している。これを受けて、本調査では、評価から得られた教訓に基づいて、IDI対象分野および人口・保健分野での日本のODAのありかたについて具体的な提言を行うことも目的としている。
本調査では、国内における調査・分析に加え、2001年10月にインドネシア、タイ、バングラデシュを、また、2002年1月にザンビアを訪問し、GIIのもとで展開された我が国の協力の現場を視察し、分析に必要な資料の収集を行うと共に、我が国の国際協力関係者、当該国政府機関、技術協力関係者との意見交換を行った。
GIIの実施に際しては、「NGOとの連携」及び「他ドナーとの連携」が重視されたため、今回の評価調査は、人口・保健分野と関連分野で活動するNGOによって構成される「GII/IDIに関する外務省/NGO懇談会」(以下NGO懇談会)及び米国国際開発庁(USAID)との合同で実施された。GIIのもとで推進されたNGOとの連携については、NGO懇談会からの参加者が、日米連携についてはUSAIDにより選定された米国コンサルタントが、それぞれ調査を担当した。
本調査は以下のメンバーからなるプロジェクトチームによって実施された。
プロジェクトマネージャー |
阿部 貴美子 |
(財)国際開発センター 主任研究員 |
コーディネーター |
本田 文子 |
(財)国際開発センター 研究員 |
メンバー |
林 英一郎 |
(財)国際開発センター 研究員 |
NGOとの連携担当メンバー |
池上 清子 |
(NGO懇談会より参加) (財)ジョイセフ(家族計画国際協力財団) 企画開発事業部長 |
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高橋 径子 |
(NGO懇談会より参加) (財)オイスカ 海外グループ 調査計画担当主任 |
日米連携担当メンバー |
Sallie Huber |
Principal Program Associate Management Sciences for Health |
池上清子氏と高橋径子氏は「第6章NGOとの連携」および「2.1.1.GIIの特徴」(第2章)を、Ms. Sallie Huberは「第4章 コモン・アジェンダ及びGIIにおける日米連携」を執筆した。
本調査では、外務省経済協力局評価室をはじめとする関係各課及び関係諸機関から種々のご指導とご助言を頂いた。また、現地調査に際しては、我が国の大使館並びに国際協力事業団現地事務所、国際協力銀行駐在員事務所、調査対象国政府、関連プロジェクト及び現地カウンターパート機関、その他の諸機関から、多大なるご支援とご協力を賜った。ここに甚大なる謝意を表するものである。
最後に、本報告書は当センターの責任において作成されたものであり、日本国政府あるいは外務省の見解や政策を反映するものではないことを附記する。
2002年2月