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5. 提言

5.1 セクターレベルの提言

外国援助まちの施設整備計画をから脱却して、自立した水道整備計画をたてて実行できるよう水道財政を健全化させることが必要である。水道事業が政府補助金から脱却するためにも、需要水量と漏洩を抑制する料金体系に改めること。ただし、貧困層に対するミニマムな配慮が必要である。
料金(改訂)設定や収支バランスのとれた経営や運営などのソフトや水道システム全体の効率的な管理システムをマネージメントできる組織(Institutional Capacity Building)および人材(Personal Capacity Building)の育成に取り組むこと。
水供給セクターと環境セクターの両者にかかわる下水処理と処理水の循環再利用計画を優先的に進め、地域の水環境と水資源を保全すると同時に有効かつ効率的に水供給のポテンシャルを高めるための持続的な開発・管理プログラムを策定に協力すること。エジプトの持続的・循環型社会を形成するために、環境開発・管理型プログラムの策定にあたってはキャパシティービルディングの視点が欠かせない。
局所的な水不足解消を事業のターゲットにした量的拡張主義の開発妄想から、節水や有効利用を含む需要コントロールへのパラダイム変換が必要である。開発から管理へ協力の方向性を変換していくことが肝要であり、特にデマンド(水需要)マネージメンとリスクマネージメント(危機管理)は重要であり、組織制度・料金制度を含む国レベルの総合的なマネージメント・マスター・プラン(Water Supply Management Master Plan of Republic of Egypt)の策定に協力すること。


5.2 政策レベルの提言

健康、教育、水供給がエジプト政府の新しい援助政策プログラム(Verbal Note (March 5, 2002)、Programmed Top Priority Sectorの最優先分野であるが、水供給プログラムは健康・保健・衛生プログラムとも密接にリンクしている課題でもあるため、水源⇒浄水⇒給水網⇒排水網⇒下水処理⇒再利用(資源循環)と人間の生活と接点をもつ生命体型水循環システムを総合的にとらえるアプローチを踏まえた包括的な水分野の援助プログラム形成に向けて第一歩を踏み出すこと。
自立して社会公共財を形成するための負担についての市民意識の啓発、惰報公開、住民意志決定過程の定着などが、社会墓盤整備を支えるための課題であることを認識し、技術移転型にとどまらずに市民参加型・生涯教育型のキャパシティービルディングのプログラム策定に協力すること。
貧困撲滅にむけて、大規模インフラ整備依存型の経済開発優先政策から脱却し、首都圏カイロから地方の開発に目を向けて構造的な貧困問題を解決するための自立した管理ができる住民参加型水供給援助政策プログラムの策定に協力すること。


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