第3章 我が国の援助実績と特徴
3.3 我が国援助の形態別動向
我が国ODAの援助スキームは、有償資金協力(プロジェクト+ノンプロジェクト)、無償資金協力(プロジェクト+ノンプロジェクト)、技術協力に分けられる。3.2節で示したように、バングラデシュ国に対しては、1990~99年までの累計で約3,766億円のODAが供与されている。その形態別援助実績は、ノンプロジェクト型無償資金協力が最も多く約1,714億円(45.5%)、次いでプロジェクト有償資金協力が約1,259億円(33.4%)であり、これらで全体の78.9%を占めている。
表3-3-1 対バングラデシュ形態別援助実績 (単位:億円)
有償資金協力 |
無償資金協力 |
技術協力 |
合 計 |
1,422.67 (37.8%) |
2,156.04 (57.2%) |
187.35 (5.0 %) |
3,766.06 (100.0 %) |
プロジェクト有償 |
ノンプロジェクト有償 |
プロジェクト無償 |
ノンプロジェクト型無償 |
1,258.67 (33.4 %) |
164.00 (4.4 %) |
441.69 (11.7 %) |
1,714.35 (45.5 %) |
出典: |
ODA白書各年版により作成。
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備考: |
ノンプロジェクト有償とは主に商品借款、ノンプロジェクト型無償とは主に債務救済、災害援助、食料援助である。 |
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形態別援助の推移を見ると、ノンプロジェクト有償資金協力は1993年以降供与されていない。プロジェクト有償資金協力は94年以降隔年で供与されているが、供与額は減少傾向にある。一方、ノンプロジェクト型無償資金協力は増加傾向にある。プロジェクト無償資金協力は年平均約44億円、技術協力は年平均約19億円でそれぞれ安定的に供与されている。
図3-3-1 対バングラデシュ形態別援助の推移
出典:ODA白書各年版により作成
南西アジア諸国に対する形態別援助実績(1990~99年の累計)は次葉の表3-3-2の通りである。
表3-3-2 対南西アジア諸国の形態別援助実績 (単位:億円、カッコ内は%)
南西アジア |
プロジェクト
有償 |
ノンプロジェクト 有償 |
プロジェクト
無償 |
ノンプロジェクト型
無償 |
技術協力 |
バングラデシュ |
1,258.67 (7.5) |
164 (33.5) |
441.69 (17.2) |
1,714.35 (88.5) |
187.35 (19.0) |
インド |
9,542.59 (56.9) |
202.56 (41.4) |
252.78 (9.9) |
44.53 (2.3) |
107.33 (10.9) |
ネパール |
27.10 (0.2) |
0.00 (0.0) |
518.54 (20.2) |
137.81 (7.1) |
250.68 (25.5) |
パキスタン |
3,113.54 (18.6) |
122.47 (25.0) |
541.80 (21.1) |
20.80 (1.1) |
127.76 (13.0) |
スリ・ランカ |
2,835.54 (16.9) |
0.00 (0.0) |
585.44 (22.8) |
8.05 (0.4) |
237.25 (24.1) |
ブータン |
0.00 (0.0) |
0.00 (0.0) |
122.76 (4.8) |
0.00 (0.0) |
46.25 (4.7) |
モルディブ |
0.00 (0.0) |
0.00 (0.0) |
99.85 (3.9) |
12.30 (0.6) |
26.99 (2.7) |
形態別計 |
16,777.44 (100.0) |
489.03 (100.0) |
2,562.86 (100.0) |
1,937.84 (100.0) |
984.61 (100.0) |
出典:ODA白書各年版により作成
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南西アジア地域におけるバングラデシュ国の特徴は、まずネパールに次ぐ後発開発途上国(域内第6位の一人当り国民所得)であるにもかかわらず、域内で4番目に多いプロジェクト型の有償資金が供与されているということである。また、バングラデシュ国に対しては域内で最も多いノンプロジェクト型無償が供与されており、域内における同形態の供与累計額の88.5%を占めている。反面、プロジェクト型の無償資金協力や技術協力が相対的に少なく、後発開発途上国に対する一般的な援助形態とは異なる援助が行われてきている。バングラデシュ国に対するノンプロジェクト型無償の多くは債務救済に当てられている(8割~9割以上)。
表3-3-3 対バングラデシュ国ノンプロジェクト型無償資金協力 (単位:億円、カッコ内は%)
ノンプロジェクト型
無償 |
1990 |
1991 |
1992 |
1993 |
1994 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
債務救済 |
103.30
(88.8) |
116.73
(81.1) |
136.63
(90.7) |
147.73
(92.5) |
159.39
(94.9) |
160.91
(95.0) |
177.52
(95.3) |
188.02
(95.7) |
160.06
(94.1) |
245.11
(96.6) |
食糧援助 |
13.00
(11.2) |
15.00
(10.4) |
14.00
(9.3) |
12.00
(7.5) |
8.50
(5.1) |
8.50
(5.0) |
8.50
(4.6) |
8.50
(4.3) |
10.00
(5.9) |
8.50
(3.4) |
災害緊急援助 |
0.00
(0.0) |
12.26
(8.5) |
0.00
(0.0) |
0.00
(0.0) |
0.00
(0.0) |
0.00
(0.0) |
0.19
(0.1) |
0.00
(0.0) |
0.00
(0.0) |
0.00
(0.0) |
合 計 |
116.30
(100.0) |
143.99
(100.0) |
150.63
(100.0) |
159.73
(100.0) |
167.89
(100.0) |
169.41
(100.0) |
186.21
(100.0) |
196.52
(100.0) |
170.06
(100.0) |
253.61
(100.0) |
出典:ODA白書各年版により作成
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我が国の「顔」の見える援助である技術協力は、相手国の人材育成、制度造りの観点のみならず我が国国民と相手国国民との相互理解を促す観点からも戦略的に重要な援助形態である。バングラデシュ国に対する技術協力実績は供与金額ベースではスリ・ランカに次いで域内第3位である。人数実績については、研修員受入が1990~99年の累計で1,993人(域内第2位)、専門家派遣が同期間累計で443人(域内第3位)、調査団派遣が同1,152人(域内第3位)、協力隊派遣が同336人(域内第1位)となっている。
表3-3-4 南西アジア諸国に対する技術協力 (累計人数実績)
南西アジア |
研修員受入 |
専門家派遣 |
調査団派遣 |
協力隊派遣 |
バングラデシュ |
1,993 |
443 |
1,152 |
336 |
インド |
1,458 |
260 |
833 |
0 |
ネパール |
1,425 |
662 |
1,327 |
258 |
パキスタン |
1,596 |
323 |
921 |
39 |
スリ・ランカ |
2,263 |
469 |
1,391 |
242 |
ブータン |
413 |
22 |
243 |
142 |
モルディブ |
343 |
17 |
172 |
93 |
出典: ODA白書各年版により作成
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