第3章 我が国の援助実績と特徴
3.2 我が国援助供与額の動向とシェア
1990~99年までの我が国ODA実績額は約86,771百万ドル(支出純額ベース)で、そのうち57.1%の約49,535百万ドルがアジア地域へ供与された。また、同期間における我が国援助の地域別配分割合(累計割合)は、下図の様に東南アジア(28.7%)、南西アジア(14.4%)、北東アジア(12.9%)、アフリカ(11.3%)の順となる。
図3-2-1 我が国援助の地域別累計割合 (1990~99年)
出典:ODA白書各年版より作成
|
我が国援助の重点地域はアジア地域であるが、同地域におけるサブ地域(北東アジア、東南アジア、南西アジア、その他)への平均援助割合(1990~99年)、及び平均伸び率(1991~99年)を見ると、同地域に占める東南アジアの割合は約49.9%(伸び率:11.7%)、南西アジアは約25.8%(伸び率:10.5%)、北東アジアは約22.2%(伸び率:14.8%)、その他のアジア地域は2.0%(伸び率:94.4%)となっている。バングラデシュ国を含む南西アジア地域への援助は、他のアジア地域と比べ伸び率は低いが、これまでに東南アジアに次いで多額の援助が供与されており、我が国援助の重点地域の1つとなっている。
図3-2-2 アジア地域別配分割合
|
図3-2-3 アジア地域別ODA供与額
出典: |
ODA白書各年版により作成 |
備考: |
1998年における東南アジア地域への供与額の急増は97年のアジア通貨金融危機に伴い、経済構造調整支援の一環として円借款と無償資金協力(ノンプロジェクト無償)が増大したため。 |
|
南西アジア地域はバングラデシュ国の他、インド、ネパール、パキスタン、スリ・ランカ、ブータン、モルディヴの7カ国からなる。1990~99年までの援助累計額では、インドへの援助が最も多く約1兆150億円、同地域における供与額全体の約44.6%を占めている。同期間におけるバングラデシュ国への援助累計額は、パキスタンに次いで3番目に多く約3,766億円(16.6%)供与されており、バングラデシュ国は我が国援助の重点国の一つとなっている。
表3-2-1 南西アジア諸国へのODA供与額の推移 (単位:億円)
南西アジア諸国 |
1990-99年度累計額 |
累計割合 (%) |
インド |
10,149.8 |
44.6 |
パキスタン |
3,926.4 |
17.3 |
バングラデシュ |
3,766.1 |
16.6 |
スリ・ランカ |
3,666.3 |
16.1 |
ネパール |
934.1 |
4.1 |
ブータン |
169.0 |
0.7 |
モルディブ |
139.1 |
0.6 |
合 計 |
22,750.8 |
100.0 |
出典:ODA白書各年版により作成
|
下表で示したように、バングラデシュ国は域内で2番目に低い低所得国であり、人間開発指数においては域内で最も低い下位人間開発国に分類される。バングラデシュ国はネパールと同程度の開発状況であると言えるが、人口は1億人を越え、我が国と同程度であるなど、開発需要が極めて大きい後発開発途上国である。同国に対して我が国がこれまでに(1990~99年度累計)域内第3位の規模に達するODA(約3,766億円)を供与してきた理由の一端がここにある。
表3-2-2 国別開発状況 (1999年)
南西アジア諸国 |
Per Capita GNP
(単位:US$) |
HDI(注) |
人口
(単位:100万人) |
モルディブ |
1,200 |
0.74 |
0.28 |
スリ・ランカ |
820 |
0.74 |
19.0 |
ブータン |
510 |
0.48 |
0.66 |
パキスタン |
470 |
0.50 |
134.5 |
インド |
440 |
0.57 |
986.6 |
バングラデシュ |
370 |
0.47 |
128.1 |
ネパール |
220 |
0.48 |
22.4 |
出典: |
ADB[2001]、UNDP『人間開発報告2001』 |
備考: |
人間開発指数(HDI)とは、人間開発の3つの基本的側面(寿命、知識、生活水準)を通して各国の平均的達成度を測定した合成指数である。各国の人間開発状況はHDIの大きさにより、三つのグループに分類される―(1)HDI0.800以上:上位人間開発国、(2)HDI0.500~0.799:中位人間開発国、(3)HDI0.500未満:下位人間開発国。 |
|