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はじめに


 21世紀に入った今日も、貧困、紛争や難民、環境破壊や感染症蔓延など、解決を要する課題は、途上国を中心に頻発しており、また、かつてに比べて著しく多様化かつ複雑化しているのが現状です。日本による政府開発援助(ODA)を通じてこれらの問題に取り組み、開発途上国の経済・社会開発を支援していくことは、国際社会の平和と安定に役立つものであるとともに、日本の平和と繁栄を維持・発展させるという国益につながるものでもあります。

 2001年10月の内閣府の世論調査によれば、国民の7割程度の人がODAに対して「積極的に進めるべきだ」、もしくは「現在程度でよい」と回答しており、前年よりもODAに対する支持率が高まっていることが判明しました。外務省では、ODAに対する国民の強い期待に応えると共に、厳しい国内の財政状況も鑑みながら、日本のODAをより一層効果的・効率的に実施し、国民に対してODAの実態や成果を明らかにすることが必要との考えから、ODA評価について積極的に取り組んでいます。しかしながら、依然として日本のODAについては透明性・効率性等に対する疑問・批判があることも十分承知しております。また、近く行政においても政策評価が導入されることになっておりますが、これは、行政の説明責任に対する最近の国民の高い関心を反映したものであり、特に行政における希薄なコスト意識への反省に立ったものであると承知しています。

 このような中、外務省では、川口大臣が就任直後に発表した「開かれた外務省のための10の改革」(骨太の方針)の中で、ODAの効率的・効果的実施、外部の方々の参加を得た透明性の高いODAの実施に向け、一層の努力を行うことを約束しています。また、3月末に「第2次ODA改革懇談会」の最終報告書が外務大臣に提出されましたが、その中でも「透明性の確保」、「効率性の向上」等を中心にした提言がなされています。ODAの効率化・透明化を計る上で、評価の果たす役割は重要であり、特に第三者による評価体制の強化、NGOとの連携等はこのための重要な要素でもあります。外務省としても、過去20年間にわたる評価経験から得た教訓を踏まえ、公平性、中立性が確保され、信頼性の高い、より意味のある評価が行えるよう、評価体制の見直しを行なっているところです。この中には、評価基準の明確化や、様々な形態で行ってきた評価の整理も含まれておりますが、評価体制の改善についての方針は、まとまり次第速やかにホームページ等で公表いたします。

 19回目となる今回の報告書では、主な評価結果の概要の取り纏めや、その分析に加えて、外務省による最近のODA評価への取り組みとして、「外部有識者評価フィードバック委員会」の設置、ODA評価分野における関係府省間の連携を推進するための「ODA関係府省評価部門連絡会議」の設立等を紹介しています。さらに、今回は、国民への迅速な報告を目指して1999年度及び2000年度中に実施した評価の結果を合わせて掲載した他、評価結果のより客観的な分析を目指し、新たな試みとして、第1章のODA評価に関する世界の動向と第3章の2000年の評価結果の分析 について外部有識者に執筆を依頼しました。また、今年から案件毎の評価報告書(全文)はホームページに掲載し、一層利用しやすくしました。

 本報告書を公表することにより、読者のODA及びODA評価に対する理解と支持が深まることに役立つことができれば幸いです。今後ともODA評価の更なる改善に向けて取り組んでいきますので、本報告書に対するご質問・ご意見等がありましたら、是非お聞かせ下さい。
(外務省経済協力局評価室メールアドレス:hyoka-iken@mofa.go.jp

2002年3月

外務省経済協力局長 西田 恒夫


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