評価年月日 平成21年4月10日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田 裕憲
1.案件名1-1.供与国名ザンビア共和国 1-2.案件名「ンドラ市及びキトウェ市道路網整備計画」 1-3.目的・事業内容ザンビア北西部に位置し、同国の重要な輸出産品である銅やコバルトの鉱業が集中しているコッパーベルト州において、その中心都市であるンドラ市(州都)及びキトウェ市の市内の約24キロメートルの道路の改修、整備を行うことにより、円滑かつ安全な交通を確保する。供与限度額は26.92億円(同21年度2.36億円、同22年度12.52億円、同23年度12.04億円)。アフリカにおける民主的、政治的安定国である同国を支援するものであり、昨年5月に開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)において我が国が表明したアフリカ向けODA倍増に資するもの。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点 以下の事項がザンビア共和国政府により実施される必要がある。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)ザンビアはその国家開発計画(第5次国家5カ年計画:2006~10年)において、持続的な経済成長と貧困削減を国の主要目標としている。運輸・交通分野では、同国が内陸国であることから道路が国際貿易を含む物資、旅客輸送上重要な役割を担っており、経済発展の基盤と位置付けられている。特に、道路整備第2期10カ年計画(2004~13年)では、地域の経済開発、社会サービスを支える地方中核都市の経済活性化のために、都市主要道路の整備を最重要課題と位置付けている。 (2)コッパーベルト州は、ザンビアの重要輸出産業の中核である銅やコバルトなどの主要鉱業地が集中しており、本事業対象地の州都ンドラ市と、精錬業等の中心であるキトウェ市は、地域のみならず、ザンビア全体の国家経済開発の最重要の地方中核都市とされ、両市の都市道路整備には開発上の高い優先度が付与されている。 (3)ンドラ市では、官庁街及び隣接する産業地域と南部の新興住宅地域の間を連結する幹線道路及び、各地域の補助幹線道路の整備が急務となっている。これらの道路は、損傷が激しいためバス等も低速走行を余儀なくされ、また歩車道が未分離なため通勤、通学及び商業活動等市民生活の安全にも問題が生じている。 2-2.効率性 車道の設計については、ザンビアの標準的な基準を基本とし、全体交通量、大型車交通量を分析した上で、対象区間の道路状況に応じて既存路盤を活用するなどによりコスト縮減を図った。 2-3.有効性本件の実施により、以下のような成果が期待される。 (1)道路の改修により、現在低速通行に限定されている自動車等の走行時間が短縮されて円滑な道路走行が可能となり、物資等の輸送が迅速になるとともに、輸送コストの縮減により価格競争力が高まることで、地域産業の活性化に資する。また路面の破損箇所で生じている急ブレーキ等による事故が減少するとともに、横断専用道路等の設置により、交通の安全性が改善される。 (2)ザンビアの政治情勢は1964年の独立以来安定しており、近隣国からの難民の受入れな ど、アフリカにおける民主的、政治的安定国であり、国連等国際社会の場における我が国との関係も良好である。ザンビア自身が高い優先度を置いている経済インフラ整備に対する支援は、いわゆる「日本の顔の見える事業」として、その外交的効果も大きく、両国の友好関係を強化するものである。我が国は、昨年5月のTICAD IVにおいてアフリカ向けODAの倍増を表明しており、本件は同方針に資するもの。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)ザンビア共和国政府からの要請書 (2)JICAの基本設計調査報告書 (3)第37回無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。) |