広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年4月20日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 セネガル共和国

1-2.案件名

 「タンバクンダ州及びケドゥグ州保健施設整備計画」

1-3.目的・事業内容

 セネガルの南東部に位置するタンバクンダ州及びケドゥグ州に新設された3保健区に保健センターを建設し、保健医療従事者を養成する州人材育成センターを増築するとともに、医療機材の整備、機材の保守・管理指導を行い、住民に質の高い医療の提供や両州の各種保健指標の向上を図る。供与限度額は、16.62億円(平成21年度:4.56億円、平成22年度:6.42億円、平成23年度:5.64億円)
 西アフリカの政治、経済で重要な役割を果たしているセネガルを支援する。また、我が国がTICAD IVで表明した「10万人の保健・医療人材育成及び母子保健の拡充」の具体化策の1 つ。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がセネガル政府により実施される必要がある。

(イ)本計画により整備される保健センター及び州人材育成センターの維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

 本件の対象州であるタンバクンダ州及びケドゥグ州は、セネガルの首都ダカールから南東部に460キロメートル~840キロメートル離れた内陸に位置し、交通、通信事情は未発達の貧困が深刻な州であり、また各種保健指標も他州の平均と比較して劣悪である(5歳未満児の死亡率200/1,000人、妊産婦死亡率850/10万人、医療施設での出産34.7%。他州は、5歳未満児の死亡率121/1,000人、妊産婦死亡率401/10万人、医療施設での出産61.8%。)。加えて、両州合わせてセネガル全土の面積の3分の1を占める広大な面積を有することから、2007年6月に保健予防省は保健医療サービスの向上を目的として保健区を見直し、タンバクンダ州(後に、タンバクンダ州とケドゥグ州に再分化)の保健区を6から9へ増加した。しかし、増加した3保健区における保健センターは保健診療所であった施設を暫定的に使用している状況であり、二次医療施設として必要な施設や機材等を有していない。

2-2.効率性

(1)本計画にて建設する保健センターは、タンバクンダ州及びケドゥグ州内の患者数、人 口、患者の季節変動等の実情を考慮して適正な規模・仕様を設定した。

(2)州人材育成センターの増築は、既存施設の活動状況、今後の人材育成計画(看護師、助産師の養成)の調査を行い、適正な規模・仕様を設定した。

(3)医療機材は、基本的診療機能を果たすものとし、また、医療従事者の技術レベルや維持管理を考慮の上、適正な規模・仕様を設定した。

2-3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。
 3保健センターの新設及び医療機材の整備により、タンバクンダ州及びケドゥグ州の人口 (約154,000人)に対して質の向上した医療の提供が可能となり、各種保健指標の向上が期待できる。

(2)サラヤ及びマカ・コリバンタンの保健センターでは、現在対応できない妊産婦の超音波検査、帝王切開手術が可能となる。

(3)州人材育成センターの増築及び実習用機材の整備により、学生(看護師及び助産師)の受け入れ人数が90名から180名に増加するため、地方に対して資格を有した保健人材の持続的・安定的な供給が可能となる。

(4)機材に係る維持管理指導を行うことにより、州医務局及び各施設において、維持管理体制の構築が図られ、機材の持続的かつ有効使用が可能となる。

(5)セネガルは、西アフリカの政治、経済で重要な役割を果たしており、我が国とも良好な関係にある。我が国は、TICAD IV横浜行動計画において、10万人の保健・医療人材育成及び母子保健の拡充を目標に掲げており、本計画は右目標に資する案件である。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)セネガル共和国政府からの要請書

(2)JICAのニーズ調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



このページのトップへ戻る
目次へ戻る