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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成21年12月2日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 ヨルダン・ハシェミット王国

1-2.案件名

 「上水道エネルギー効率改善計画」

1-3.目的・事業内容

 首都近郊のザルカ地区の送配水システムのエネルギー効率向上を図るために、ポンプ設備、空気弁、流量計、配水管などの機材を供与し、送水システムの運転管理・設備の維持管理に係る技術指導を行う。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(1)本件は、大規模揚水、用地取得、住民移転などは発生しない上水道案件であるため、JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。

(2)ヨルダン側にて、必要な予算措置・人員割当てが行われ、案件実施に際するヨルダン側負担事項が実施され、案件完了後も適切な維持管理がヨルダン側にて図られる必要がある。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ヨルダンの1人あたりの水資源量は、世界平均7,700立方メートルに対し200立方メートルに留まる。2007年発表の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次報告では、中東地域全体が気候変動により水利用の可能性が減少する地域に特定されているが、同地域内の比較においてもヨルダンの1人あたり水資源賦存量は少ない。

(2)ザルカ県では、70年代の隣接する首都圏の急速な拡大と、過剰な新規水源開発がすすみ、一貫性のない送配水網が拡張された結果、起伏の激しい地形もあって送配水網は複雑かつ非効率なものとなった。限られた水資源の有効活用と水供給の安定化のために、送配水システムの効率化が喫緊の課題となっている。

(3)ザルカ県では、我が国の技術協力等により効率的な送配水システムへの移行が進められている。新システムの下での更なるエネルギー効率の向上と料金徴収率向上の対策には、システムの運営にかかる技術指導とともに、老朽化したポンプの更新、流量計・空気弁の設置による維持管理体制の整備が不可欠となっている。

2-2.効率性

(1)自然流下を利用して配水効率を高める長期的な全体計画を基準にして事業対象地の優先順位を付し、供与機材の数量とスペックを最小限に絞り込んでいる。

(2)我が国のこれまでの給水分野の協力事業及び他ドナーによる支援との重複を避け、相互補完的な支援となるよう配慮している。

2-3.有効性

(1)送配水のエネルギー効率が向上することで年間の消費電力量が868.7万キロワットアワー抑制され、年間5,386トンのCO2が削減される見込み(緩和策)。

(2)対象地域への送配水が安定化し、これまで無収水となっていた年間190万立方メートルの水を有効利用できる(適応策)。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)JICA基本設計調査報告書

(2)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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