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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年4月24日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 エチオピア連邦民主共和国

1-2.案件名

 「オロミア州給水計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は、エチオピア最大の面積と人口を有しているにもかかわらず、給水率が46.73%に留まっているオロミア州の西部3県(ウェスト・ショワ県、ホロ・グドクル県、ジンマ県)における給水施設を整備することにより、対象の46村落の住民の給水環境を改善する。
 供与限度額は10.29億円。ウェスト・ショワ県、ホロ・グドクル県、ジンマ県の計82箇所。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がエチオピア政府により実施される必要がある。

 (イ)本計画により改修される給水施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
 (ロ)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)エチオピアにおける安全な水へのアクセス率の現状は全国で約37%と、サブサハラ平均の54%と比較しても低い数値にとどまっており、人口の85%が居住する村落部の住民は、生活用水の確保に多大な時間と労力を費やさざるを得ず、貧困を助長する一因となっている。特に近年は、度重なる大旱魃による水不足が社会・経済に深刻な影響を及ぼしており、安全な水の供給は基礎教育・保健医療・農村開発等と密接に関連する横断的な課題となっている。

(2)エチオピアでは、94年から始まった地方分権化政策により地方給水事業は、各州政府に移管され、更に近年は、郡レベルの水利事務所が事業実施主体となるべく改革が進められている。しかしながら、地方行政の予算確保、人材育成は遅れており、各州政府が独自に給水事業を展開するには、技術者の早急な育成と給水施設の建設及び適切な維持管理が急務となっている。

(3)協力対象地域となるオロミア州は同国の中で最大の面積と人口(2,500万人)を有しながら、供給率は州全体で約47%に留まっており、多くの住民は不衛生な水の運搬に一日の大半の時間を割かれ、経済活動の発展の阻害要因となっている他、水因性疾患の発生、女子の低就学率など様々な問題の原因となっている。

2-2.効率性

 本計画を実施するにあたっては、エチオピア政府と十分に調整した上で、住民主体の運営維持管理が適切に実施されることを目的に、技術支援及び啓発活動を行うなど、本件協力の効率的・効果的実施に努める。

2-3.有効性

(1)本件の実施により、次のような成果が期待される。
 対象地域の給水施設の整備を行うことにより、住民が安全で安定した水の供給を受けることができるようになるため、衛生状況が改善され、水因性疾患率が低下することが期待される。

(2)エチオピア政府は、水セクター開発プログラムの中で2016年までに76%の給水率を達成すること、また、Universal Access Programの中で2012年までに100%の給水率を達成すること、を目標としており、本プロジェクトはエチオピア政府の開発計画に合致している。

(3)エチオピアは、サハラ以南アフリカ第2位の人口を有するアフリカの大国の一つであり、その潜在的な資源開発の可能性に鑑みても我が国にとり重要な国である。また、我が国は、昨年5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)で水分野での協力をを重点分野として支援していくことを表明しており、本計画はTICAD IVのフォローアップの一環として実施するものであり、その外交的効果は大きい。本計画の実施により、両国の友好関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)エチオピア連邦民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの概略設計調査報告書

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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