評価年月日:平成21年12月14日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚 英樹
1.案件名1-1.供与国名コンゴ民主共和国 1-2.案件名「ンガリエマ浄水場改修計画」 1-3.目的・事業内容コンゴ民主共和国においては長年の内戦の影響により、経済社会施設の整備が行われず、都市部の給水能力が大幅に不足しており、内戦終結後の急激な人口増加と相まって、首都機能が大幅に低下している。本件は、老朽化により水供給能力が非常に不安定となり断水・給水圧低下が頻発している首都キンシャサにおいてンガリエマ浄水場の能力の低下を解消するため、改修計画を実施するもの(供与限度額は19.44億円)。 1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき事項我が国は、JICA環境社会配慮ガイドラインに沿った調査を実施しており、本件は用地拡張を伴わないものの、引き続きコンゴ(民)側の実施機関であるエネルギー省水道公社との綿密な連絡調整を実施する。コンゴ民主共和国は海岸線の狭さと一定規模の港が無く事実上の内陸国であり経済危機後の物価上昇の影響を大きく受けることから、物資調達のコストの変動に留意する。また、紛争後国として安全管理体制を十分に確保する。 |
2.無償資金協力の必要性2-1.必要性(1)コンゴ民主共和国においては長年の内戦の影響により、経済社会施設の改修が行われず、都市部の主要浄水場においても施設の老朽化が進行し、特に人口800万人を要する首都キンシャサにおいては、内戦終結後の急激な人口増加と相まって、首都機能の大幅な低下が問題となっている。 (2)コンゴ(民)政府は開発の「重点5分野」の中に水とエネルギーの供給改善を位置付け、貧困削減戦略文書(PRSP)および優先行動計画においても、水と衛生分野の供給の改善と強化を優先課題に挙げている。特に、キンシャサ市内の水供給改善は、社会の安定化、経済活動の再活性化、首都機能の回復を図るため、コンゴ(民)にとって緊急の課題である。 (3)ンガリエマ浄水場は、首都の主要4浄水場の1つとして1952年の建設以降、内戦期間においても、最低限の機能を維持し、現在約92万人に給水している。ほぼ全ての機器が耐用年数を大幅に超過し、水供給能力が非常に不安定になっており、断水・給水圧低下が頻発していることから、浄水能力の低下を解消するため、早期の改修実施が不可欠である。 2-2.効率性首都の主要浄水場としての機能を早期に回復させるために、これまでの他機関・他ドナーによる協力事業を十分に踏まえるとともに、改修対象となる施設・機材を必要性・緊急性の高い部分とするなど、事業の効率化を図っている。 2-3.有効性(1)本計画の実施により、以下のような成果が期待できる。 (イ)老朽化により約10%低下した浄水能力の低下を解消する。 (ロ)日最大水需要量、日平均水需要量の不足量をそれぞれ20%、30%改善する。 (ハ)老朽化した機器の故障による給水量13.0リットル/人/日減少リスクの解消に加え、給水量を5.1リットル/人/日増加させる。 (ニ)キンシャサ市における水供給が安定することで、首都機能が回復し、経済活動が活性化する。 (2)我が国は、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)において、アフリカにおける水開発を重点的な支援分野に位置付け、「650万人に安全な飲料水を提供」等の支援策を表明しており、本案件はその達成に大きく貢献する。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)JICAの基本設計調査報告書 (2)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。) |