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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年5月28日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1-1.供与国名

 アンティグア・バーブーダ国

1-2.案件名

 「バーブーダ島零細漁業施設整備計画」

1-3.目的・事業内容

 アンティグア・バーブーダのバーブーダ島における水揚げ・流通施設の整備を行うことによって、同島の零細漁業の振興を図るとともに、アンティグア島へ衛生的な水産物を安定的に供給する。供与限度額は13億2800万円であり、水揚桟橋、護岸、斜路(スリップウェイ)、荷捌き棟、漁具修理棟等の建設・調達を行う。同国は、東カリブ諸国における中心的な国であり、水産資源の持続的利用について我が国と共通の利害を有し、水産関係の国際会議の場等において我が国と立場の利害を同じくする等、同国との協力関係は我が国にとって重要。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がアンティグア・バーブーダ国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により建設あるいは整備された漁港の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)関連活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)アンティグア・バーブーダの国家開発計画「マニフェスト21」で水産業は「自国資源を活用し、国民の独立を促す重要産業」と位置づけられており、資源を持続的かつ最大限に活用することにより、国家経済へ貢献することとしている。具体的目標として漁獲・流通及び販売にかかる漁業基盤の整備、漁獲増による動物蛋白源の供給増及び漁獲能力の向上と零細漁民活動の活性化が挙げられており、本計画は同目標に貢献するものである。

(2)アンティグア・バーブーダの漁業生産量は、2001年から2007年にかけて増加したが、水産物需要の約35%は輸入が占めており、依然として国内水産物供給が不十分な状況にある。また、バーブーダ島の漁業生産は、製氷施設などの漁業基盤が未整備であるため、鮮度保持ができない等の原因から低水準に留まっており、漁業基盤整備と流通改善による同島の零細漁業振興が必要となっている。

2-2.効率性

(1)施設の配置は、魚市場を中心として人・魚の今後の増加を試算し、かつ円滑な流れを充分に考慮したものとした。製氷機の能力は、漁獲量の試算に基づき、荷捌・流通・保管に必要かつ適切な施氷量を設計した。

(2)桟橋等水揚げ施設の規模設計は、漁獲量等を考慮した必要かつ適切な規模・構造としている。使用資材の面でも経費を抑えつつも効果を発揮できるような設計とした。

2-3.有効性

(1)水揚げ桟橋の整備により漁獲物を直接船から水揚げできるようになり、水揚げ時間年間380時間程度(試算)が短縮されるとともに、バーブーダ島の水産物流通拠点の整備により、水産物を新鮮な状態で周辺地域やアンティグア島に供給することができるようになる。

(2)アンティグア・バーブーダは、東カリブ諸国における中心的な国であり、水産資源の持続的利用について我が国と共通の利害を有し、水産関係の国際会議の場等において我が国と立場を同じくする等、同国との協力関係は我が国にとって重要。本計画は、アンティグア・バーブーダが経済成長のため重要産業と位置づける漁業の重要施設の整備であり同国からも強い要請があったものであり、我が国との二国間関係促進にも貢献するものである。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)アンティグア・バーブーダ国政府からの要請書

(2)JICA基本設計調査報告書

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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