広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成20年4月4日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1ー1.供与国名

 トンガ王国

1ー2.案件名

 「離島間連絡船建造計画」

1ー3.目的・事業内容

 本プロジェクトは、トンガ王国における離島間連絡船であるオロバハ号の代替として新規船舶を建造し、安定的かつ経済的に、首都と離島との間において乗客や生活物資を輸送することにより、離島のライフラインを確保し、かつ離島の地域振興を図ることを目的とする。供与限度額は16億7,600万円(国庫債務負担行為。平成20年度8億1,000万円、平成21年度8億6,600万円)であり、離島間連絡船(全長53メートル、総トン数1,500トン)の建造及び関連機材の供与を行うものである。

1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がトンガ王国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により建造された離島間連絡船及び供与された機材の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2ー1.必要性

(1)トンガ王国の第8次国家戦略開発計画では、持続的経済成長、環境保全と災害リスクの低減等8つの目標を掲げている。その実現のためには、離島間交通の安定化、離島への生活物資の安定供給等が重要であるにもかかわらず、この役を担う離島間連絡船オロバハ号が老朽化のため危険な状況にあることから、同開発計画においては、海上のインフラ整備として新規連絡船を調達することにより、離島への海上輸送インフラを整備することとしている。

(2)離島間連絡船は、首都ヌクアロファからヴァヴァウ諸島のネイアフまで週1便、さらにニウアス諸島のニウアフォウ及びニウアトプタプへは2か月に1便運航されており、これら離島間における旅客輸送の約47%、貨物輸送のほぼ全量を占め、生活に必要な物資を離島に供給し、人々を往来させる地域振興の重要なライフラインとなっている。「ト」国政府は、政府所属のオロバハ号を政府が100%出資するポリネシア船舶公社に貸与し定期運航にあたらせているが、オロバハ号は船齢25年に達し老朽化が著しく、船体の腐食、諸機器の故障の頻発、安全設備の不備等により安全な運航が困難な状況に至っている。そのような危険な状態にも関わらず、貨物及び旅客を過積載した運航が常態化している。

(3)このような背景のもと、トンガ王国政府は「離島間連絡船建造計画」を策定し、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。

2ー2.効率性

(1)既存離島間連絡船の輸送実績から、関連法規・基準等と照らし合わせて、過載せず適正な状態で現在の需要を賄うことができるよう、貨物輸送能力及び旅客輸送能力を設計した。

(2)また、供与する機材についても、貨物輸送の効率化の観点から、貨物用コンテナ、フォークリフト及び検量装置を計画に含めているが、現在のコンテナ数、フォークリフト数及びその利用状況から、最低限の数量規模とし、本案件の効率性を高めている。

2ー3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

(イ)離島間連絡船において常態化されていた貨物過積載(2006年に53航海中47航海で過積載)や、乗客定員超過(2006年に4航海)がなくなるとともに、許容安全貨物運送能力が現状の200トンから400トンになること等により、離島のライフラインの安定・増強が期待される。

(ロ)離島産品の都市部への輸送が促進され離島の現金収入が増加したり、離島への物資の流入が盛んになり観光開発及び生活改善が促進するといった間接的効果が期待される。

(2)2006年の第4回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議において、我が国からは経済成長、持続可能な開発、良い統治、安全確保及び人と人との交流を重点分野とする3年間で450億円規模の支援を行うことを表明しており、運輸インフラの整備はこの支援方針とも合致する。

(3)さらに、本計画の実施により、我が国とトンガの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)トンガ王国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力実施適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



このページのトップへ戻る
目次へ戻る