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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成20年9月29日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1ー1.供与国名

 タンザニア連合共和国

1ー2.案件名

 「第二次ザンジバル市街地給水計画」

1ー3.目的・事業内容

 本計画は、タンザニア連合を形成するザンジバル共和国の首都ザンジバル市において、対象地域に安全で十分な水が安定的に供給され、住民の生活環境が向上することを目標として、次の事業を実施するものであり、供与限度額は14.19億円である。

(1)水源施設の強化:2010年時点で不足することが予測される約7,000立法メートル毎日の水源を開発するため、井戸5箇所を建設する。

(2)送配水施設の強化:鉄筋コンクリート製配水池2池の建設、送水管、配水管(ダグタイル鋳鉄管約21キロメートル)を建設する。

(3)対象サイト:キヌニ配水区(需要量約8,300立法メートル毎日)とドーレ配水区(需要量約3,400立法メートル毎日)の給水施設及び設備に係る工事を行う。

1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がタンザニア政府により実施される必要がある。

 (イ)本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

 (ロ)給水施設の維持管理等、活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2ー1.必要性

(1)ザンジバルにおける給水事業は、1920年代に地下水・湧水を水源とした給水施設が建設され、1990年までに100キロメートルに及ぶ送配水管、送水場及び7ヶ所の配水池が整備されたが、財政難により施設の改修や拡張が行われず、老朽化により供給能力が極端に低くなっている。また、施設の老朽化のため汚水が流入し水質が悪化していることが水因性疾病の罹患率を高くしており、給水施設整備による生活環境の改善が緊急の課題となっている。

(2)タンザニア政府は経済回復計画の中で、基礎生活分野改善のため、安全な飲料水を安定的に確保することを重点優先分野としている。また、貧困削減戦略においても、住民への安全な水の供給は、重要政策課題に掲げられている。

2ー2.効率性

(1)本計画で対象とする配水管の整備については、全給水区域に対して既設管を利用して効率よく配水できるよう管網解析を実施し、必要と判断された配水本管の整備を行うこととしている。

(2)これまでに実施したソフトコンポーネントと併せて本計画が実施されることで、ザンジバル水道公社による施設の効率的な維持管理能力、会計・財務管理能力、住民啓蒙活動に係る能力等が向上し、より効率的な事業運営が期待される。

2ー3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

(イ)対象地域において給水能力が約4万7千立法メートル毎日から約5万4千立法メートル毎日へ向上する。

(ロ)24時間給水が実現し、水の安定供給及び最低配水圧が確保され、給水水質が向上し、裨益人口はザンジバル都市部約46万人となる。

(2)タンザニア・ザンジバル政府(注)では、「ザンジバルビジョン2020」(2000年1月策定)を策定し、社会経済インフラ整備の分野においては、(イ)良好な水にアクセスできること、(ロ)適切な水資源管理により全ての国民に継続的に水が供給されることを目標としており、水の安定供給を重要な政策課題として位置づけている。かかる方針は我が国の対タンザニア援助方針と合致する。

(3)タンザニアは政治情勢も安定し、地域の安定にも積極的に貢献し、国際社会の場における我が国との関係も良好である。連合国家の一翼を担うザンジバルは島国であり、その水供給事業は上記のとおりタンザニア自身がその開発上高い優先度を置いている。我が国が本計画を実施して基礎生活環境の改善に貢献できることは、いわゆる「日本の顔の見える事業」として外交的効果も大きく、本計画の実施により、日本とタンザニアの二国間関係強化への効果が期待される。

(注)タンザニアは、インド洋の島々からなるザンジバル共和国と大陸部のタンガニーカ共和国からなる連合共和国であり、本件対象の同国ウングジャ島は、面積約1,642平方キロメートル、人口約64万人である。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)タンザニア連合共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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