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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成20年4月7日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲

1.案件名

1ー1.供与国名

 タンザニア連合共和国

1ー2.案件名

 「オイスターベイ送配電施設強化計画」

1ー3.目的・事業内容

 本計画は、タンザニアのダルエスサラーム市において、電力の安定した供給等を図ることを目的とするものである。供与限度額は18.13億円(国庫債務負担行為。平成20年度2.15億円、平成21年度10.47億円、平成22年度5.51億円)であり、新オイスターベイ変電所を建設し、ウブンゴ変電所に送電用設備を増設するとともに、この2つの変電所を結ぶ送電線約7キロメートルを敷設する。

1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がタンザニア政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備された発電所及び送電線の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2ー1.必要性

(1)タンザニア第一の都市であるダルエスサラーム市では、近年の経済発展および人口増加に伴って、電力需要が著しく増加している。これに伴い、発電設備は拡充が進み、2000年以降、同市内にて火力発電所が稼動を開始し、更に2004年にはガスタービン発電所に燃料を輸送するための天然ガスパイプラインの運用が開始されている。他方、変電所を含む送配電関連施設の整備が遅れ、設備の拡充が発電機能の強化に偏ったことから、市内の基幹変電所であるイララ変電所が過負荷状態となるなど、送配電設備は重負荷の運用が続き、設備事故も多発している。このため同市では長時間の停電が生じており、住民生活や都市機能のみならず、経済活動にも支障が出ている。

(2)タンザニア政府も、送配電施設整備の遅れを解決するためのインフラ整備に高い優先度を付し、特にダルエスサラーム市内でも電力需要の伸びが著しい北部地区において、安定した電力供給を確保するための施設整備に必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。

2ー2.効率性

(1)本計画対象地に居住する住民及び病院等の社会公共施設等に対して、安定した電力供給を行うため、変電所及び送電線について必要最低限の設備構成となるよう設計を行っている。

(2)経済的な設計とするために、資機材の仕様については国際規格に準拠しつつ、必要最小限の設備構成とすることで効率性を確保している。

2ー3.有効性

(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。

(イ)新オイスターベイ変電所の33/11キロボルト配電用変圧器が整備され、同変電所区域の需要(約20万人余の電力)への供給力が向上する。

(ロ)変圧器の故障で過負荷となっているイララ変電所の負荷の一部を新オイスターベイ変電所がまかなうことにより、イララ変電所の過負荷状態が緩和される。

(ハ)ウブンゴ変電所から新オイスターベイ変電所間の電力損失が現状21.0%のものが改善される。

(2)タンザニア政府は、1999年に「タンザニア開発ビジョン2025」を策定して開発の方向性を示すとともに、本方針を国家開発戦略の基本方針としている。それを踏まえた形で2005年に策定された「成長と貧困削減のための国家戦略(第2次PRS)」では従来の貧困削減の方針を堅持しつつ、「持続的で裾野の広い成長の促進」が目標として掲げられており、民間セクター開発、技術革新等による生産性の向上、安定的かつ廉価なエネルギーの供給などを重要分野として掲げており、右は我が国援助方針とも合致する。

(3)本計画の実施により、日本とタンザニアの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)タンザニア政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

(3)無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/ugoki/sochi/3_komoku/3.html



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