評価年月日 平成20年12月9日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 柴田裕憲
1.案件名1ー1.供与国名タジキスタン共和国 1ー2.案件名「ドゥスティ-ニジノピャンジ間道路整備計画(2/2)」 1ー3.目的・事業内容本計画は、タジキスタンの首都から南北に延びる主要幹線道路の南部国境付近の区間を整備することにより、道路の走行性や安全性の改善等を図ることを目的とする。供与限度額は13.65億円であり、2/2期においては、ドゥスティ-ニジノピャンジ間道路(約24キロメートル)のうち15.4キロメートルの車道及び路肩の舗装、道路標識約80本及びガイドポスト約360本の設置等を実施するものである。 1ー4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点以下の事項がタジキスタン政府により実施される必要がある。 (1)本計画により整備された道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。 (2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。 |
2.無償資金協力の必要性2ー1.必要性(1)タジキスタン政府は、経済成長を促進するため、「国家投資・技術プログラム2006-2008」を策定し、道路網、鉄道網を整備し、貨物・旅客輸送の効率化を図ることを優先課題としている。また、本計画の対象道路は、同国首都を中心に南北に延びる主要幹線道路上にあり、隣国アフガニスタンを経由し、アラビア海に接続する重要なルートとしてタジキスタン国家長期計画(2006-2010)における優先道路となっている。更に、同道路は、中央アジアとアフガニスタン、南部アジアを結ぶアジアンハイウェイ構想の広域幹線道路としても位置づけられている。しかしながら、タジキスタン政府は、慢性的な予算不足のため、他国や国際機関からの援助に依存しながら、道路インフラ整備を進めざるを得ない状況にある。2007年8月にはタジキスタンとアフガニスタンとの国境橋が米国の支援により完成している。 (2)本計画の対象区間であるドゥスティ-ニジノピャンジ間の道路は、旧ソ連時代に建設されたものであり、既に30~40年が経過している。これまで限られた予算の中で日常的な維持管理は実施されているものの、機材不足等により舗装修復等の改修は実施されていない。また、地下水等の影響から基礎部分の状況が軟弱化しており、道路整備によって交通量、特に大型トラックやトレーラー等の大型車両が増加することが予測される中では、短期間で舗装に深刻なダメージが発生することが予見される。したがって、広域幹線道路としての機能を確保するためには、抜本的な改修工事が必要とされている。 2ー2.効率性道路の設計については、路盤材料は周辺地域から採取可能な砂とセメントを混合させ製造する。また、資材の再利用、路肩舗装を簡易舗装とするなど、効率化を図ることでコスト縮減を図った。 2ー3.有効性(1)本件の実施により、以下のような成果が期待される。
(2)タジキスタンでは、計画的にインフラ整備を行うために「長期運輸開発計画2006-2010」において、幹線道路網の整備が優先的に進められている。また、実施機関である運輸通信省は「国家投資・技術プログラム2006-2008」において、経済成長を促進するために道路網、鉄道網を整備し、貨物・旅客輸送の効率化を図ることを急務としており、本件の実施は、同国の開発計画に合致する。また、2005年に行われた政策協議においても、「インフラ整備」を重視した支援を行う方針としており、我が国の援助方針とも合致する。 (3)2006年6月5日に開催された「中央アジア+日本」対話第2回外相会合では、「中央アジアからアフガニスタンを経由する南方への輸送ルートの整備が内陸に位置する中央アジア諸国の発展及び繁栄にとり重要である」との共通認識が行動計画に謳われており、本計画はこの考えにも合致している。 (4)さらに本計画の実施により、日本とタジキスタンの二国間関係強化への効果も期待される。 |
3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等(1)JICAの基本設計調査報告書 (2)第41回無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。 |